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嫌悪に便乗して人権の価値を捨てた国会、「退行を止めろ!」

市民社会団体、「人権的価値に基づく民主主義の進展に障害」と批判

チェ・ハンビョル ビーマイナー記者 2017.09.20 10:06

▲嫌悪便乗国会糾弾記者会見が19日午前国会前で開かれた[出処:ビーマイナー]

最近、国会が性少数者、良心的兵役拒否、移住労働者、思想の自由など、 多様な懸案に対して反人権的定規を突きつけているのに対し、 市民社会団体が反発している。

9月19日午前、国民株も憲法改正全国ネットワーク(準)(以下、国民主導改憲ネット)などの 人権、市民社会団体は国会前で記者会見を行い、 「国会が反人権の競演場になりつつある」と糾弾の声を上げた。

彼らは9月11日、キム・イス憲法裁判所長候補者の任命同意案否決と金明洙(キム・ミョンス)大法院長候補の任命同意案も否決の危機に置かれた点を上げて、 国会の反人権、反民主的態度を指摘した。 キム・イス憲法裁判所長人事聴聞会の当時、自由韓国党の議員らは金候補者が 「軍隊内同性愛処罰規定」の軍刑法92条6項は違憲だという意見を出し、 統合進歩党解散に反対する少数意見を出した点などを指摘して、 「進歩的に偏向している」と任命反対に火をつけた。 キャスティングボートを握る国民の党もこうした「理念論争」を認識し、 任命反対に力を貸した。 結局、キム・イス候補者は憲政史上初めて任命同意案が否決された憲法裁判所長候補者になった。

金明洙大法院長候補も、性少数者人権に関する過去の行跡により野党圏の強い反発を受けている。 野党圏は金明洙候補者が国際人権法研究会の会長を歴任していた当時、 性少数者の人権に関する学術大会を開催した点を上げて 「不適格な人物」だという立場を固守している。 特に金明洙候補者の人事聴聞会で、 李チェ益(イ・チェイク)自由韓国党議員は 「同性愛を認めれば近親相姦ばかりか小児性愛や獣姦まで許容するようになる」と発言をして 金明洙候補者の立場を批判した。 国民の党の議員らも保守プロテスタント界から「金明洙候補任命反対に投票しろ」という内容の「メール爆弾」を受けているという。

市民団体はこうした国会議員の態度を糾弾し 「人権に対する信念を『政治的偏向』に変身させる歪曲を中断しろ」と要求した。 人権運動トハギのララ活動家は 「人権と民主主義に対する価値よりも、誰をどれほど嫌っているかを人選の基準にする国会の態度を糾弾する」とし 「国会はもう自分たちの利害関係に人権を利用する『退行』を止めなければならない」と強調した。

民主社会のための弁護士の会所属のパク・ハニ弁護士は 「憲法はすべての人の平等を保障しているが、国会はこれを公然と無視している」とし、 各種の人事聴聞会で登場する「同性愛賛否」についての質問を批判した。 パク弁護士は「大統領が任命した憲法裁判所長や大法院長が国会の同意手順を踏むのは、 国民の代表である国会が行政権力を牽制し、 司法機関の民主的正当性を確保するため」だとし 「しかし国会はこのような過程で支持勢力を誇示し、政治闘争に活用しているだけだ。 これがどうして三権分立の価値を守る姿だといえるのか」と指摘した。

性少数者差別反対ムジゲ(虹)行動のイ・ジョンゴル執行委員は、 李チェ益自由韓国党議員をはじめ、 洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党議員、朴智源(パク・チウォン)国民の党議員などが公開の席で性少数者嫌悪発言をして嫌悪勢力に支持を表明した事件を指摘した。 イ執行委員は「嫌悪勢力に対抗して人権の価値を守る義務がある国会議員が、 むしろこれに同調して先頭に立って嫌悪している姿は民主政治では許されない」と怒りの声を高めた。 彼は「彼らの発言は職務とは無関係な暴力、侮辱に該当し、 免責領域に該当しない」とし、 「正当性のない暴力行為」だと糾弾した。

改憲議論が行われている真っ最中に、嫌悪に積極的に便乗したりこれを幇助する国会の態度は人権的価値に基づく民主主義の進展にとって障害になるという憂慮もある。 国民主導改憲ネットのハン・サンヒ政策諮問委員は 「昨年の冬、韓国の国民は前政権の抑圧に対抗してキャンドルを持った。 だが積弊を清算し、国民の意思を改憲に反映させるべき国会が嫌悪の先頭に立っている」と糾弾した。 彼は「改憲局面は、抑圧されるすべての国民に対して開かれていなければならないが、 まさに改憲の過程は一部の宗教集団によって掌握され、 すべての議論が『同性愛反対』に帰結する状況に置かれている」とし 「政教分離国家では有り得ないことをむしろ国会は放置することにより、 国民の要求が改憲の過程に集約されることを妨げている」と批判した。

保守プロテスタント界と極右勢力を中心とする「嫌悪」は、 単に性少数者だけに向かうのではない。 記者会見の「主催側は(国会が)権力により強制された政党解散の歴史を反省するどころか、 ともすると『統合進歩党』を口にして古臭い理念論争を復活させており、 奴隷制だという批判により廃止されて10年になる『産業研修生』をまた作ろうだとか、 最低賃金も払わないだといった発言までが国会から出ている実情」と批判した。 それだけではなく、イスラム嫌悪、良心的兵役拒否者をはじめとする多様な思想に対する排除を放任する国会の態度も批判の対象になった。

人権財団サラムのパク・レグン(パンネグン)所長は 「昨年のキャンドル政局の時から議員や政党代表と会って話してみると、 しばしば『なぜ私がここにきて、こんなことを話さなければならないのか』という自己恥辱感を感じた」とし 「国会議員は自分たちがするべき仕事を忘却したまま、 国民が背中を押すとやっと世論が高まらなければというふりでもするようだ」と批判した。 パク所長は「憲法と国際規範などの基本的な内容も一つ一つ説得しなければならない国会議員を見ていると、 本当に国会はひどい状況に来ているという疑いを感じる」と吐露した。[記事提携=ビーマイナー]

▲発言しているパク・レグン所長(左から三人目のマイクを持っている人) [出処:ビーマイナー]

[出処:ビーマイナー]

付記
この記事はチャムセサン提携報道機関、ビーマイナーの文です。

原文(ビーマイナー/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-23 17:18:36 / Last modified on 2017-09-23 17:18:38 Copyright: Default

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