新古里5・6号機、「避難方法、復旧力、防災能力がなく、再検討が必要」

古里地域の最大地震7.72、耐震設計は6.5〜7.0

新古里原子力発電所5、6号機、作るべきか? 新古里5・6号機は避難方法、復旧力、防災能力などについて社会的な対処能力を確保していないため、 建設には再検討が必要だという指摘が提起された。 また、昨年起きた5.8規模地震を教訓にして、 今まで予測できない状況に備えて設計基準も変えなければならないという主張だ。

▲慶州地震1年をむかえて蔚山地域の政界と市民社会が9月14日、蔚山市民連帯教育館で「新古里5、6号機は安全か」を主題に討論会を開いた。［出処:ヨン・ソンノク］

9月14日、尹鍾五(ユン・ジョンオ)、キム・ジョンフン国会議員と新民衆政党蔚山市党、 新古里5・6号機白紙化蔚山市民運動本部が 「慶州地震1年、新古里5、6号機は安全か」を主題として蔚山市民連帯教育館で討論会を開いた。 キム・ソンウク博士(地質学博士、(株)ジーアイ地盤研究所代表)は討論に先立つ講演で、 新古里5、6号機建設は再検討するのが正しいと主張した。

キム・ソンウク博士は 「歴史の地震目録を見れば、古里地域の最大地震はマグニチュード7.72だ。 だが国内の原発は6.5〜7.0で耐震設計されている」と指摘した。 歴史の地震記録によれば、マグニチュード8以上は15回、マグニチュード5以上が440回発生していた。 周期的に大規模地震が発生していたのだ。

キム博士はまた 「古里と月城地域原発の敷地は活断層帯なので (核発電所建設計画に対する)全面的な再検討が必要だ」と指摘した。

彼によれば、韓国の活断層は1990年以後に報告され始め、 初期にヤンサン断層周辺で活断層が集中的に発見された。 またその後、分布範囲がヤンサン断層、トンネ断層、イルガン断層などに拡大した。 キム・ソンウク博士は「最近60余りの活断層が発表されたが、 これは一部に過ぎない」とした。

また昨年起きた多くの余震を見ても、核発電に安全な地域だとは言えないと指摘する。 討論者として出てきた草の根住民連帯のホン・インス事務局長は、 600回以上の余震を指摘して 「これは地震エネルギーが減少しているのか」と質問したが、 キム博士は「余震が多かったからといって、本震のエネルギーが小さくなるとは見ない」と説明した。 「本震のエネルギーが大規模に放出されなければならないが、余震が多いことは良い兆候ではない」という。

▲キム・ソンウク博士が討論会で新古里5、6号機建設は再検討が必要だと主張した。［出処:ヨン・ソンノク］

放射能事故による避難措置が不在である点も、 もうひとつの問題だと指摘された。

新古里5、6号機白紙化蔚山市民運動本部のファン・ヘジュ常任共同代表は 「活断層帯の上に核発電所があるのに避難施設もなく、 追加で核発電所を作ろうという主張には蔚山市民としてうんざりだ」とし、 核発電所事故時の対処方法について尋ねた。

これにキム博士は 「韓国には放射能事故がおきても市民は避難する場所がない」と指摘した。 救護所のほとんどが学校に指定されているが、 学校の建物は放射能を防ぐことができず、 放射能漏出時の食糧や飲料水など最低限の物品も供給するのが難しい条件だと指摘した。 彼は「もし放射能が漏出すれば、物品の受け渡しも難しいだろうし、 収容人員に供給する最低限の飲料水、医薬品、米などを事前に備えなければならない」と付け加えた。 彼は「新規に原発を作るなと要求することも重要だが、 既存の原発に対する対処方案を要求する方が必要だと思われる」と述べた。

一方、討論会のキム・ヒョングン進行者 (新古里5、6号機白紙化蔚山市民運動本部共同執行委員長)は、 福島のような津波が押し寄せた時、 防壁を作ることが実効性ある対処方法かについて尋ねた。

キム博士は 「古里地域に積んだ防壁は防波堤程度でしかない」とし、 「防壁は地震の津波に対処できるような高さと長さ、厚さで作るべきだが、 費用面での効率が低く、防壁による別の災害を呼びかねない」とした。

キム博士はまた 「事故の時に対応方案がない原発が住居地域近くにあるということそのものが問題」とし、 「実効性ある事故対応方案を積極的に要求する必要がある」と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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