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お母さん、今日学校で肛門性交を習いました

[ワーカーズ]レインボー

ナヨン(地球地域行動ネットワーク) 2017.09.14 14:14

2011年、ソウル市議員会館ロビー。 ソウル市学生人権条例の住民発議案原案の通過を要求する性少数者共同行動の座り込みに反対するために来た人たちのプラカードにこんな驚くべき文句が書かれていた。 「お母さん、今日学校で肛門性交を習いました」。 恐らくこの時が保守プロテスタント・グループの嫌悪扇動の文言で、 初めて「肛門性交」が登場した瞬間だったのだろう。 まさにこのプラカードにさらに驚いた人たちは、 議員会館で座り込みをしていたクィアー活動家たちだった。 「私たちもなかなか口にできない言葉をあんなに自然に使うとは!」

実際にスイス、カナダなどでは中等学校以上の過程なら、性教育の時間に肛門性交にも言及し、討論することができる。 もちろん「肛門性交の方法」を学ぶのではない。 だが肛門性交というものがあるという事実はあえて隠さない。 青少年はすでに多くの情報に接しているだけでなく、自ら多様な性的経験をし、共有しながら生きている。 すでに存在しており、いつでも見たり聞いたり経験できることなら、 いっそきちんとした情報を知って、自らそれに対する観点と態度、自分と相手の権利、 互いを尊重する関係の方式を習っておいた方が良いと判断しているのだ。 性的指向と性自認の幅広いスペクトラムを学び、 自分のアイデンティティを探索すること、 自分だけでなく、多様な人々のからだと欲望について調べて理解すること、 権利と関係について討論し、避妊、妊娠、出産、疾病などを深く理解しながら、 さらに性に関する社会の認識と構造を批判的に見られるようにすることがすべて性教育の内容にならなければならない。 そしてそのためにはまず性に対する禁止と羞恥心をなくし、 自然な探索と討論が形成されるようにすることが重要だ。

▲保守キリスト教団体会員が2014年クィアーパレードで暴れている[出処]資料写真

逆行する韓国の性教育

去る3月、中国では北京師範大学出版部が出した新しい性教育の教材が大きな問題になった。 この教材は小学校2年から性別とは無関係に、多様な職業を選択することができると教え、 お母さんとお父さんがどのようにして子供を生んだのかを説明して、 男性器が女性器に入っている場面などをわかりやすく絵で表現して見せる。 知らない人だけでなく、よく知っている人も自分に不適切な要求や身体接触をすることがあり、 そんな時はどう対応するべきかについて例を上げて見せてくれる。 そればかりか、4年の教科書では同性間でも恋人になる可能性があることを話し、 5年の教科書では異性間でも同性間でも、性関係の時には性病予防などのためにコンドームを使わなければならないという内容を、 6年の教科書では両性愛についての内容をのせた。 また、すべての人々は性的指向とは無関係に平等に応対されるべきで、 外国では同性間の結婚も法的に認められているという内容が含まれている。 北京師範大学出版部は9年間の研究とモデル教育をした結果、 この教材が学生たちの性認識に肯定的な影響を与えることが明らかになったと報告した。

だが韓国はむしろ反対に行っている。 2015年、朴槿恵(パク・クネ)政権当時6億ウォンの予算をかけて製作した「国家水準学校性教育標準案」は、 性暴力を防止するには満員の地下鉄では女性がカバンのひもを長くしたりうまく判断してその場から逃げなければならず、 友人どうしで旅行にも行かず、 アルバイトをするなと教える。 同性愛に対する教育は言及さえない。 学校現場において、これは事実上、同性愛に対する「教育禁止」の効果を持つ。 性別二分法とそれによる規範、性役割、歪んだ性認識を正解であるかのように教える内容は、 多様な性的指向と性自認、性平等についての関心を基本的に遮断しようという意志を反映しているのだ。

最近ではフェミニズムへの攻撃もさらに強まっている。 去る7月、小学校でフェミニズム教育をしているとインタビューに答えたある教師は、 SNSで映像が配布された後にあらゆる悪性コメントと人身攻撃はもちろん、 学校と教育庁に降り注ぐ苦情で大きな苦しみを味わうことになった。 主な反応を見れば、この教師が攻撃された理由は大きく3つだ。 インタビューで「なぜ女の子は運動場を持てないのだろう? なぜ私が走る身体活動の場を男の子がみんな専有するのだろう?」という疑問を提起したこと、 机のパーティションにフェミニズムと性少数者に関するさまざまなキャンペーンのビラやバッジが付いていたこと。 そして普段、個人のSNSでフェミニズムや男性卑下に関する掲示物を共有したり作成したということだ。 ある人たちは、パーティションに「まだ社会的合意もない」掲示物を付けることが 「政治宣伝物」付着に該当するので国家公務員法違反とまで言う。 その上、数週後、女性新聞に自分がしている性平等授業が紹介された別の教師も、 学校と教育庁に降り注いだ抗議電話に苦しんでいる。 こうした状況はむしろフェミニズムと性少数者運動、 そしてこの内容を教育することがいかに重要なことなのか語る。

フェミニズム性教育が必要な理由

「お母さん、今日学校で肛門性交を習いました」という文句は当然、 同性愛への嫌悪と反感をひき起こす内容だと判断した人々は、 それだけ自分たちが性に対して非常に狭く偏狭で、歪んだ認識を持っているという事実を示す。 この文句は次のような「誤った」認識が前提になっているためだ。

  • 性を『性交』を中心に考える。
  • 性交はそのまま男性器の『挿入』だと認識する。
  • そのために、ある男性が自分の性器を「女性器の代わりに」他の男性の肛門に挿入することがまさに同性愛だという歪んだ認識を前提とし、これに対する嫌悪を扇動する。

性について思い出すのはセックスが全てで、 セックスは男性が女性のからだに自分の性器を挿入することが全てだと認識し、 すべての社会が今まで多くの差別と暴力を引き起こしてきた。 これらすべての前提が誤っていることをはっきりと知らせるのが性教育だ。 性教育はからだと欲望、アイデンティティと関係について理解して、疎通して、尊重するもので、 私たちの人生の隅々まで組織している日常と文化について批判的に思考することで、 これを通じて社会と世界、歴史を新しい視点から理解することだ。 そして、こうした性教育の明らかな前提と観点をうち立てるものがまさにフェミニズムだ。 学校だけではなく、誰もが一生の間、しっかり学ばなければならないことだ。[ワーカーズ34号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-21 21:27:02 / Last modified on 2017-09-21 21:27:04 Copyright: Default

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