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核発電のやっかいもの? 「高レベル核廃棄物」

[ワーカーズ]緑は赤

イ・ホンソク(エネルギー正義行動代表) 2017.09.13 10:15

「もし安全な核発電所があれば、脱核の必要はないのではありませんか?」

たびたびこうした質問をする人がいる。 核発電所に反対する理由を「事故の危険性」のためだとたくさん説明してきたためだ。 スリーマイル、チェルノブイリ、福島のような大型の核事故を経て、 核発電所の安全性がますます高まっているのは事実だ。 過去になかった安全装置が追加されたり、 津波のような自然災害を防ぐために高い障壁を築いたりもしている。 だがこのような努力にもかかわらず、 人的ミスをはじめとする多様な核発電所の事故要因は完全に除去できない。 それだけ核発電所は危険で複雑な施設だからだ。

だが「本当に」核発電所が事故なく正常に稼動すれば、他の問題はないのだろうか? 結論から言えばそうではない。 核発電所からは絶えず核廃棄物が出てくるが、 これを処分する方法が難しいからだ。 その上に固体の状態の核廃棄物は別途集めて核廃棄場に送るが、 液体や気体の状態の核廃棄物は量が多く、保管も難しいので、 定期的に核発電所の近くに放出する。 核産業界はこれを「基準値以下なので安全だ」と言うが、環境の議論は絶えない。 何よりも核発電所近隣に放射性物質を捨てているのは否定できない事実だ。

[出処:ヨン・ソンノク]

高レベル核廃棄物、未来の世代に対する責任

核廃棄物による問題はこれだけではない。 核発電燃料から出た「使用済核燃料」は、放出する放射線準位が高く、高レベル核廃棄物に分類される。 他の核廃棄物と比べて放出する放射線の量が多く、周辺の生物体を短時間に「即死」させるほどだ。 また多くの熱を出しており、迅速に冷まさなければ核分裂臨界反応が起き、大事故につながる可能性が常に存在する。

高レベル核廃棄物の処分方法はまだ思わしくない。 自然状態で、放射性物質がもう放射線を出さなくなるように待つしかないが、 それに必要な時間は最低10万年に達するほど長い。

現在、核発電所1基を稼動させる期間はせいぜい30〜40年にすぎないという事実を考えれば、 現在、人類は後の世代はもちろん、地球上にあまりにも大きな荷物を押し付けているのだ。 核発電の経済性や安全性、環境的問題点以外にも倫理性が提起される理由はまさにここにある。 地球上で生きているどんな生命も、これほど長い間否定的な影響を後世に与えたことはない。 だが20世紀末から21世紀初頭に生きている人類は、核エネルギーを利用しつつ、こうした荷物を一方的に後世に押し付けているのだ。

韓国の臨時貯蔵庫が埋め尽くされた

1978年に古里1号機が商業稼動を始めた後、今まで発生した高レベル核廃棄物は合計44万8千本に達する。 それらは現在、核発電所の敷地内にある臨時貯蔵庫に保管されている。 一部は冷却のために深さ10メートルのホウ酸水の水槽に入れられており、 一部は外部に取り出して、乾燥式貯蔵庫で保管している。

核発電を続けながら、高レベル核廃棄物の量は順次増えて、保存する空間はますます狭くなるという問題が最近発生している。 世界的に多くの核発電所を作った1970〜80年代の核産業界は、核廃棄物問題にあまり関心を持たなかった。 遠くない時間内に核廃棄物処分技術が開発できると期待していたためだ。 だが長い間、高レベル核廃棄物を安全に保管する技術も開発されず、 保管場所を見つけるのも容易ではなくなった。 長い間、地震や津波、自然災害から安全な場所を探すためには多様な研究が必要だが、 人類の研究水準はその程度に至っていなかった。

韓国でも同じことだ。 2019年慶州、月城核発電所を始め、2024年には古里とハンビット(霊光)核発電所の臨時貯蔵庫が飽和する。 核廃棄物の臨時貯蔵庫が埋め尽くされるということは、核発電所が運営できないということを意味する。 煉炭ストーブは焼け残りの煉炭灰を取り出さなければ新しい煉炭が入れられないように、 使い果たした核燃料を取り出せなければ新しい核燃料を入れることができないためだ。 それでもこの危険な物質は、そのまま路上に放置することはできないので臨時貯蔵庫が埋め尽くされるまでに新しい臨時貯蔵庫を作れなければ、 やむを得ず核発電所を止めなければならないという状況になるのだ。

脱核のために共に解決すべき宿題、高レベル核廃棄物

最近、新古里5、6号機の建設中断と脱核政策をめぐる論争が熱い。 これまで韓国の社会における核発電論争は、危険性と安全性に合わせて進められてきた。 事故の危険性は核発電が持つ致命的な問題であることに間違いない。 だが原子力界が主張するように、事故を起こさず安全に稼動したとしても、 核発電は核廃棄物という致命的な弱点を持っている。

原子力界は地域住民の反対にもかかわらず、臨時貯蔵庫を増設して核発電を続けていかなければならないと話している。 またまだ技術は開発されていないが、いつか十分に安全な技術が作られるというバラ色の展望を出してもいる。 数十年前に各国の政府が原子力界の全く同じ話だけを信じて核発電所を作ったが、 まだその問題を解けないでいるのにだ。

新古里5、6号機建設に対する公論化が終わる今年末、 文在寅(ムン・ジェイン)政府は高レベル核廃棄物問題に対する公論化計画を推進すると明らかにした。 高レベル核廃棄物公論化は新古里5、6号機の公論化よりもさらに複雑な問題だ。 今すぐすべての核発電所の稼動を止めても、すでに発生した核廃棄物を処分する方法はないからだ。 どこかに保管しなければならないが、どこの誰も望まないこの核廃棄物をどのようにして保管するかは、 核発電所を運営するすべての政府にとって「やっかいもの」の一つだ。 決まった正解はないが、韓国社会が解くべき問題がもう一つあるわけだ。 あれこれ考えてみると、核発電所は国民に宿題を投げかけてばかりいる。[ワーカーズ34号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-21 21:24:58 / Last modified on 2017-09-21 21:25:00 Copyright: Default

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