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全教組が「期間制の選別的正規職化」を持ち出すとは

[チャムセサン企画]全教組の「学校非正規職立場」議論(2)

ユン・ジヨン記者 2017.09.04 18:10

[編集者の言葉]去る8月25日、保守言論を中心として「全教組が期間制教師の正規職転換に反対している」という報道が続いた。 彼らは「正規職教師中心の二大教員団体(全教組、教総)が集団利己主義的な姿を見せている」、 あるいは「文在寅(ムン・ジェイン)政府が全教組合法化を進める状況で、まさに全教組は政府の『非正規職ゼロ』政策に制約をかけた」と特筆大書した。 一方では教育現場で正規職と非正規職間の内紛が深まっているとし、「互いに譲歩できる線がある」と応援した。

過去、全教組に対する保守言論のイデオロギー攻勢方式とは明らかに調子が違っていた。 以前は全教組を「不穏」な集団と罵倒したとすれば、今は利益団体としての動きを強調する。 全教組が非正規職問題で右向け右をしたという点に喜色を示しつつ、 「既得権勢力」というレッテルで警戒する調子だ。 非正規職に対する全教組の立場は、進歩運動内でも論議の的だ。 労働社会団体や非正規職闘争事業場などは声明書を発表し、 全教組が「学校非正規職を含むすべての非正規職撤廃」に同意しろと訴えている。 さまざまな利害関係が鋭くからみ、全教組の身動きの幅も狭くなった。 全教組の内部では「どう話しても問題になる」という情緒もかなり強い。 この28年間、社会変化運動の先頭に立ってきた全教組は、なぜ既得権の議論に包まれるようになったのか。

「常時持続的」期間制だけを正規職に転換、残る83%は「任用試験」を受けろ?

全教組中央執行委員会決定文の中で一番問題になったのは、 「現在勤務中の期間制教員の一括的かつ即刻の正規職転換主張に同意しない」という文言だ。 厳密に言えば、保守言論の「全教組が期間制教師の正規職転換に反対する」という主張は正確な報道ではない。 全教組の中執が期間制教員の問題解決の方向として決めたのは「常時持続的」に働く期間制教員は、 政府が責任を持って雇用安定方案を用意しろということだ。 これはそのまま常時持続性による選別的な正規職転換を意味する。 もし正規職転換の範囲に入らない期間制教員はどうなるだろうか。 全教組が出した方案は「正規教員の増員方案を早く用意して、 予備教師と期間制教員の任用機会を拡大」するということだ。 つまり「任用試験」に合格して、正規職教師として任用しろという意味だ。

全教組によれば、2007年に1万7000人ほどだった期間制教員は、 昨年は4万6000人へと急速に増加した。 現行法によれば、期間制教師は正規職教師の休職、派遣、研修、停職、職位解除などの状況で一時的に採用できるようになっている。 期間制教員が増加したのは正規職教師の休職や研修、停職が急速に増えたからではない。 他の職種と同じように、教育現場も正規職の席を非正規職が埋める雇用の柔軟化が進んだからだ。

期間制教師は教員免許を所持しているが、任用試験を通過していない教師だ。 期間制教師の割合は私立学校が国公立学校より特に高い。 全教組は4万6000人ほどの期間制教員のうち83%ほどが休職などを代替する要員で、 残りは勤続年数がかなり長い常時持続勤務者と把握している。 全教組が明らかにしている正規職化の該当範囲は期間制教師の17%程度だ。

2日に開かれた全教組代議員大会で全教組のキム・ハッカン政策室長は 「現在、任用試験という制度がある。 (休職代替教師の)問題は求職中の予備教師と学校非正規職として働いている期間制教員の立場が衝突するので社会的合意が必要だ」とし 「そのために一括的、即刻正規職化は同意しないと整理した」と明らかにした。 だが統計によれば、2015年の期間制教師のうち、担任を受け持っている割合は53%にのぼるなど、 正規職教師と同じ仕事をしながらも分割契約と中途解約、成果給除外などの差別を受けている。 休職や代替要員の「定員内期間制」と、正規職教師を代替する「定員外期間制」の境界もかなり曖昧だ。 休職代替教員がさまざまな学校を経て「常時、持続的に」長期間働く事例もある。

全教組も「常時持続的」教員を選ぶのが容易ではないことを知っている。 それでも休職代替要員まで正規職化するのは「公平性」の問題を提起する内部の組合員や予備教師などの反発も少なくないという立場だ。 全教組の関係者は「任用を準備している期間制教師で1か月働いて正規職に転換されたとすれば、途方もない公平性の議論が起きるだろう」とし 「反対に10年間休職代替期間制として働いたのに、正規職転換の時に働いていなければ、また違う公平性の議論に苦しむだろう。 すべての前職・現職の期間制に対する全数調査を実施するべきだが、不可能ではないだろうか」と吐露した。

だが期間制教師たちは、すでに期間制教師を「探す」のは、 今後の期間制教師の正規職転換をさらに難しくすると憂慮している。 文在寅(ムン・ジェイン)政府が発表した 「公共部門非正規職正規職転換ガイドライン」で期間制教師が転換例外対象から排除されただけに、 まずは「非正規職撤廃」という大義を支持しなければならないのではないかという指摘だ。 実際に教育部門で最も節度ある進歩的教師団体が学校非正規職対策にどのような立場を出すかは、 今後の政府の政策にも大きな影響を与えるほかはない。

全国期間制教師連合会のパク・ヘソン代表は 「教育部の正規職転換審議委員会でも期間制教師が正規職化対象から除外されるかも知れないという話が出ている状況だ。 まずさらに多くの正規職転換を支持するべきだと見る」とし 「さまざまな細かい問題は、期間制教師が十分な討論などを経て、適当だと思われる基準を用意することもできる。 何よりも政府に正規職転換対策と基準を要求しなければならない状況ではないか」と説明した。

全教組の内部でも「選別的雇用安定」に問題を提起する声が高い。 代議員大会に参加したある教師は 「休職も常時持続的業務だ。 休職代替教員としていろいろな学校で5年、10年以上働いた人もいる。 選別的雇用安定は、期間制教師内の対立をあおり、闘う前にばらばらに分裂するだろう」とし 「特に全教組の方向は、近い将来発表される政府の正規職転換対策に免罪符を与えることになる」と指摘した。 また「最大の争点である予備教師との逆差別問題の場合、 予備教師と期間制をすっぱりと区分することはできない。 任用試験の準備をしていたが金がなくて期間制や講師になる場合が多い」とし 「定員内、定員外の分離も現実的には容易ではない。 いっそ予備教師と正規職、非正規職が共に教員の大幅拡充を要求して、 共存する道を見つけなければならないのではないか」と声を高めた。

期間制教師や労働団体などは、教師の定員を大幅に拡充して休職や代替などの席も正規教員で埋める方案を考えるべきだと要求している。 パク・ヘソン代表は「期間制教師が必要だと主張する理由は、 休職や代替を一時的と見る観点のため」とし 「だが現在、学校ではほとんどが女性教師という現実で、 育児休職などは常時的に発生する。 この席を必ず非正規職によって解決しなければならないという理由はない。 正教師をたくさん確保して、計画をたてて運営することも可能だろう」と説明した。

期間制教師の「選別的正規職化」方案は、 「学校の中のすべての労働者は正規職でなければならない」という全教組の大原則に反する部分だ。 そればかりか、全教組は約16年前に「任用試験」制度に反対して闘争を展開した。 そのためこれらの団体は任用試験という制度の中に閉じ込められて、 対策を立てるのではなく予備教師を競争に追いやる制度自体をまず変える闘争をするべきだと注文している。 42の労働、人権団体などは9月1日に共同声明を発表して 「資質ではなくTOが当落を決める任用試験は、すでに合理的な教員選抜手続きではない」とし 「当初、盧泰愚(ノ・テウ)政権が教育民主化運動を抑圧するために作った任用試験を万古不変だと前提にした瞬間、 教師の需給構造と任用制度の改革は不可能だ」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-17 06:02:09 / Last modified on 2017-09-17 06:02:11 Copyright: Default

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