本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:文在寅政府、「仕事を通じた貧困脱出」にオールイン?
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1503127835543St...
Status: published
View


文在寅政府、「生計給付拡大」を回避して「仕事を通じた貧困脱出」にオールイン?

「第一次基礎生活保障総合計画」批判...「仕事を通じた貧困脱出」ではなく「福祉を通じた貧困脱出」を

キム・ビョンイン(聖公会大社会福祉研究所) 2017.08.16 10:21

2017年8月10日、文在寅(ムン・ジェイン)政府は第一次基礎生活保障総合計画案(以下、総合計画案)を発表した。 中央生活保障委員会の2018年度の生計給与の引き上げが、物価上昇率にも満たない1.16%と発表された直後なので、大衆の関心も大きかったのだろう。 キャンドル抗争のエネルギーで誕生した民主政府で、何よりも文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接扶養義務者基準廃止を公約したので、 あるいは多くの人々が期待していたかもしれない。 これに応えるかのように、総合計画の中には反貧困政策の目標を「国民最低線保障(National Minimum)」と提示し、 「すべての国民が人間らしく暮らす権利を享受できるように」努めるという抱負を明らかにした。

▲文在寅政府の反貧困政策方向、出処:第一次基礎生活保障総合計画(2018〜2020)(案)[出処]ビーマイナー

では今回発表された総合計画案が、そうした意志にふさわしく、 国民の最低線保障のための適切な手段を十分に担保しているのか? 労働所得がなくても人間らしい生活を営めるような画期的な改善案とロードマップを提示しているのか?

生計給与の萎縮と個別給付の拡大

貧困当事者と多くの市民は総合計画の中に生計給付の拡大方案が入ることを期待した。 特に扶養義務者基準の廃止に関するロードマップが入ることを望んだ。 だがこうした期待とは異なり、総合計画の中には扶養義務者基準の廃止についての具体的な方案は見つからない。 老人または重症障害者を含む扶養義務者世帯の基準緩和だけを提示しており、 実際に新規受給に入る世帯は22年までに合計6.6万程度に過ぎないことが明らかになった。 2015年を基準として中位所得40%水準で非受給貧困層が93万人であることを考慮すれば、 予測の規模は当初の期待に沿えない水準だ。 また、生計給付の水準に関しても「最低生計費適正性評価」程度に終わっている。

すでに中央生活保障委員会で生計給付の受給者と非受給貧困層の間での所得逆転現象を強調し、 生計給付の引上額を物価上昇率より低く策定した。 総合計画案でも所得逆転現象を生計給付の慢性的な問題点だと指摘している。 こうした理由なのか、総合計画案は生計給付の保障性拡大、 つまり扶養義務者基準の廃止と生計給付の現実化には微温的な態度で一貫している。

反面、個別給付の拡大方案は総合計画案で具体的な方案とロードマップが提示されている。 医療給付の場合、健康保険の保障性拡大と連動して「非給付項目の給与化」、 「補助具支援拡大」などの具体的な方案が含まれている。 住居給付の場合、扶養義務者基準の廃止と中位所得基準を現行の43%から45%に引き上げる方案が含まれており、非常に具体的だ。 教育給付も教育費支援事業との連係で、保障性拡大についての細かい方案が含まれている。

結局、生計給付の保障性拡大よりも個別給付の拡大に重さをおいた。 こうした側面のためか、非受給貧困層に対する対策は個別給付を拡大し、 生計給付と非受給の間で発生する所得逆転現象を緩和する方向で糸口をつかんだように見られる。

次上位階層に対する統合支援制度化方案も注目する必要がある。貧困予防のための第三回社会安全網で命名したのに、主な要旨は統合事例管理体系を改編して、危機介入と自立相談支援サービスを拡充するということだ。生計給与の拡大を排除して別途の次上位階層に対する管理方案を用意するという構想である。これは日本の『生活困窮者支援法』のように公共扶助の画期的な拡充なしで次上位階層のための別途対策を用意するというポイントでも確認できる。具体的に基礎受給資格に対する拡大よりは、次上位階層に自活・社会サービス雇用連係を強化して、所得保全に努めるようにするということだ。これは文在寅(ムン・ジェイン)政府が生計給与の保障性拡大にどれくらい微温的なのかを今一度確認させてくれるポイントだ。

自立・自活のためのインセンティブ拡大

自立・自活のためのインセンティブも総合計画案で重く扱っている。代表的な方案は資産形成プログラム|番組の拡大だ。『生計・医療受給世帯のための希望育てること通帳1』の加入要件緩和、自活給与の単価値上げ|引き上げ|印象などを提示している。

青年など勤労貧困層に対するインセンティブ拡充方案も眼に触れる。働く貧困層の貧困相続防止のために勤労所得に対する控除を拡大して青年資産形成支援を強化するという内容だ。以外にも社会保険納付金の警監、勤労貧困層に対する事例管理強化を脱給付と就職維持のための方案で提示している。

自活関連義務の拡大

自活関連義務拡大方案もつくづくと調べる必要がある。現行国民基礎生活保障制度は勤労能力者中で条件付き受給者を指定して、自活参加を要求している。条件付き受給者は雇用センターが主管する就職成功パッケージに参加したり地域自活センターの自活勤労事業に参加しなければならない。これを遂行しなければ受給資格や給与額が喪失になれる。

だが現行国民基礎生活保障制度は世帯条件と事情で直ちに脱給付が難しい勤労能力受給者に自活プログラム|番組参加を免除している。主に基礎受給者の子供の大学生と学令期以下の幼い子供を直接世話するある父母および貧困女性などが代表的だ。障害を持ったり闘病中の世帯構成員を世話するケア提供者(carer)も同じだ。月60万ウォン以下を儲ける短時間-低賃金労働者たちも『労働』で認めて、自活参加を免除している。彼らを『条件付き科儒隷字』と呼ぶ。

▲[出処]ビーマイナー

総合計画案は条件付き科儒隷字に対する自活努力強化のための方案で、条件賦課猶予|延期所得基準上方修正(ヒョン60ウォン-〉 90万ウォン)を提示した。また条件付き科儒例で新しく進入する人口約3万2千名に自立支援教育・相談プログラム|番組を強化すると明らかにしている。所得基準上方修正の場合その基準が高まることによって、60万ウォンから90万ウォンの間の労働所得が発生する条件付き科儒隷字は条件付き受給者に変更されながら、自活参加義務の賦課が避けられない。

家族構成員を世話する養育者、青年大学生などに対する自活関連義務導入も注目する必要がある。総合計画案は現在雇用福祉+福祉センターで条件賦課例柚に対する就職教育・相談プログラム|番組を運営していると明らかにしているのに、これを段階的に全国化するという趣旨だ。就職教育・相談プログラム|番組は分岐(奮起,分期)1回1.5時間(年6時間)にかけて、条件付き科儒隷字の参加を要求している。また養育者と60才以上高齢者に対する時間制勤労も導入すると明らかにしている。

このように条件付き科儒隷字に対する自活関連義務拡大強化は総合計画案でも比重あるように扱っている。だがこうした政策基調が適切なのか論争的だ。大学生の場合学業労働にも手にあまるはずなのに、雇用センターに出席を要求するのが彼らに社会的烙印と剥奪を植え付けないのか憂慮される部分だ。養育者も子供をはじめとする家族構成員を世話するのが過重な労働でしょうに、自活関連義務を強化するのが彼らと家族に最善の選択なのか疑問をかもし出すようにする。就職中の条件付き科儒隷字も同じだ。彼らは自活プログラム|番組参加の代わりをするために短時間労働を選択した可能性が高い。彼らの事情を十分に考慮しないで条件付き課を強化するのが適切なのか確かめてみる必要がある。

▲パク・ヌンフ福祉部長官が去る10日政府ソウル庁舎で第一次基礎生活保障総合計画ブリーフィングをしている。[出処]ビーマイナー

結局『仕事を通した貧困脱出』

以上を調べたように、総合計画の中に貫く主な流れは生計給与拡充に対する微温的な態度だ。代りに個別給付の拡大、自立・自活のためのインセンティブ拡充、そして次上位階層のための別途方案と自活関連義務強化などで満たされている。利点に照らしてみれば文在寅(ムン・ジェイン)政府の反貧困政策の基調は朴槿恵(パク・クネ)政府の『仕事を通した貧困脱出』を継承していると評価することができる。

朴槿恵(パク・クネ)政権時代国民基礎生活保障制度が統合給与で連携型個別給付に変更されることによって生計給与の保障性が縮小されたとのことは広く知られた事実だ。総合計画案でも連携型個別給付に変更されながら、1ケ給与以上脱皮した受給者が4.6%(総87千名)に達するという点を言及しながら、肯定的な評価を下している。歴史的に『仕事を通した貧困脱出』という政策基調が国民基礎生活保障制度の保障性に悪影響を与えたとのことは否定できない事実だ。したがって時代的要求は脱給付と自立自活に合わされた政策基調でない、所得保障の拡大を要求している。生計給与の保障性拡大が真剣に検討にならなければならない理由だ。

生計給与は国民基礎生活保障制度の心臓だ。労働所得なくても人間らしい生活を保障するための最低生計費の基本土台だ。生計給与の保障性は貧困当事者だけでなく市民にも格別の意味を持つ。失業、疾病、障害など社会的危険に直面したり、子供養育、家族構成員のための介護などで所得活動中断を経験した市民らに最低限の生存手段であるためだ。労働市場の構造的な排除や差別に直面した脆弱階層に生計給与の保障性拡大方案は必須の要求だ。そのような意味で今回の総合計画案は核心目標で設定した国民最低線確保という側面で明白な限界を見せる。

こうした脈絡で『仕事を通した貧困脱出』という政策基調から抜け出して、『福祉を通した貧困脱出』を真剣に模索しなければならない必要がある。扶養義務者基準廃止を要求する貧困当事者の声に傾聴しなければならない理由(原因)だ。キャンドル抗争を継承したと自負する文在寅(ムン・ジェイン)政府がこうした市民の必要と要求に応えることを期待する。[記事提携=ビーマイナー]

付記

この記事はビーマイナー記事です。チャムセサンは提携社記事の同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-08-19 16:30:35 / Last modified on 2017-08-19 16:30:38 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について