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太陽光発電所を嫌悪する村、これはNIMBYですか?

[ワーカーズ問題]脱核、ショーミーザマネー

パク・タソル、ユン・ジヨン、チョン・ウニ記者 2017.07.17 14:31

[筆者注]文在寅(ムン・ジェイン)大統領の脱核宣言以後。 原発マフィアと核産業体の闘争が始まった。 彼らの組織的な抵抗はかなり刺激的で通俗的だ。 核カルテルを死守するための資本の生存闘争のようだ。 だがエネルギー市場を掌握するための彼らの生存ゲームは、すでに峠をひとつ越えた。 原子力発電所の塀の外では、すでに新しいエネルギーカルテルが形成された。 資本とエネルギー権力の想像力はいつも二歩先を行っている。

文在寅政権の脱核宣言で皆が浮き立っていたその時。 「ワーカーズ」に一通の電話がかかってきた。 慶北に住んでいるという彼は、新再生エネルギー事業のために死にそうだと訴えた。 はやく来て廃墟になった村を見てほしいと声を高めた。 本当の生存のための戦いは、別の場所で行われていた。 脱原発の代案、エネルギー転換の希望として脚光を浴びる新再生エネルギーは、 誰の手で怪物になって行ったのだろうか。

山の麓の村の果てに、どっしりとした設置物ができた。 松の森を切り開いた場所が穴のように黒かった。 その中に据え付けられた奇怪な板を見て、村の住民たちは舌を打った。 ある人はそれを「凶物」と非難し、別のある人は村の脈を断ち切ると憤激を放った。 朝、目を開けた時も、畑仕事をして頭を上げた時、その凶物が真っ先に目に映った。 住民たちは飛鶴山のふもとを削ってできたそれがいつも不安だった。 予想ははずれていなかった。 結局、静かな村に紛争が起きてしまった。 村の老人たちは、生まれて初めてデモというものをした。 たすきをかけて市庁に集まり、シュプレヒコールをあげた。 彼らは二度とあの凶物を村に入れることはできないと声を高めた。

[出処:サゲ]

村はずれを占有した醜いもの

慶北道浦項市神光面竹城1里の入口で会ったある老人は 「きれいな村をあれが汚した」と指を差した。 老人の指の先は、飛鶴山のふもとを削って作った太陽光発電所だ。 村の公民館の前を通りかかった別の老人は 「もうこの村に太陽光は絶対だめだ」と声を高める。 脱原発・親環境エネルギーの代案として浮上した太陽光発電所は、 なぜ村を酷い荒地にする怪物になってしまったのか。

竹城里の住民キム・ジョンファン氏は直接目で見なければわからないと言った。 キム氏のトラックに乗って狭い農路を走った。 村のはずれにつくと、飛鶴山のふもとを削って作った太陽光発電所が一目で入ってきた。 雲でさえぎられた海抜762mの飛鶴山のふもとがびっしりと並ぶ太陽光パネルで一杯になっていた。 何と5万m2ほどにもなる広さだ。 「あれをちょっと見てください。 美しいですか? 太陽光をすると言って飛鶴山の脈を断ち切ってしまいました」。 キム氏の声が大きくなった。

ある田舎の村のように、ここ竹城1里の老人たちも、飛鶴山の精気を信じて生きていく。 旱魃の時は山にのぼって雨乞いをした。 一生、山のふもとで畑を耕して暮らしていく老人たちに、土俗信仰は生存に向かう風のようなものだった。 最近、雨がふらないのも、山を削って作ったあの凶物のためのようだった。 土俗信仰であれ、自然景観であれ、ただ老人たちの意地のように思われる。 外部の人が見ればそうだ。 村の住民たちも知らなくはない。 「形而上学的な話は役に立ちませんし、本当に住民たちがどれほど被害を受けたのか知りたいでしょう?」 飛鶴山の説明をならべていたキム氏が急いで話題を変えた。

松を切って作った場所、真砂が襲った畦道

2年前、ここ5万m2ほどの土地に初めて太陽光発電所の建設工事が始まった。 ショベルカーが入ってきて松を倒していった時も、住民たちは何の工事なのか知らなかった。 ちょうどマツ材線虫病が流行していた時だ。 材線虫に感染して枯れた松を切る工事だとばかり思っていた。 住民の公聴会も開かれなかった。 松が切られた場所がそっくりあらわれた後に、住民たちは工事の本当の目的を知った。 「多くの木が切られてしまってから知りました。 その時始めて住民たちは反発しました。 業者が『工事を妨害すれば損害賠償を請求する』と怖がらせました。 老人たちはおじけづきます。 いくら調べても、今になって防ぐ方法もありませんでしたから。 笑わせるでしょう。 業者が切った松を売っただけでも土地代になったでしょう。」

村で初めての太陽光発電所はそうしてできた。 問題はその時からだ。 木が切られた地盤はどうしようもないほど弱くなっていた。 その上、太陽光発電所は農耕地の真上にあった。 昨年、あまり多くはない雨が降った。 雨で山を覆っていた真砂(花崗岩が風化してできた土)が畦道を壊した。 山から降りてきた土砂は田畑を襲い、村の入口まで流れてきた。 畑がだめになった住民たちは数千万ウォンの被害を受けた。 すぐにショベルカーで土を出さなければならなかった。 発電所は被害を受けた住民に個別に被害補償金を支払った。 「夜、会社が人々を呼び出して約300万ウォンずつ個別に金を払ったようです。 そして『住民たちが金を要求した』と虚偽の噂をたててまわりました。 だから住民の間に反目が生まれます。 うわさがうわさを呼んで。 住民の間で争いになって。 静かな村が廃墟になりました。 住民の間を仲裁して、私は円形脱毛になりました。」

金の問題で村が騒々しくなったのは初めてではなかった。 住民たちが初めて発電所の建設を受け入れた時、業者は村の発展基金として3000万ウォンを払った。 その時も住民が金を要求したという噂が飛んだ。 警察まで村にきて調査した。 清潔だった村はしばらく泥沼の戦いをしなければならなかった。

二つ目の太陽光発電所

発電所が初めて電気を送った日には、村全体がブラックアウトになる騒ぎを体験した。 発電所の電気は三相の送電線で韓電に送られる。 村の住民100世帯が使う地下水のモーターなども三相の電気を使っていた。 突然、電力量が多くなり、モーターがダウンしたようだった。 キム氏はその時を思い出しながら憤激した。 「昼間から村全体の電気がみな切れてしまいました。 私もさつまいもの低温倉庫が作動せず被害を受けました。 しかしなぜ停電になったのかわからなかったんですよ。 翌日、韓電に尋ねると、太陽光の電気を送出した日だったそうだ。 損をしたことがあれば法的にしろと言われました」。 だがその時も、住民たちは物理的な戦いを想像していなかった。 彼らが集団行動を始めたのは、村に二つ目の太陽光発電所の工事が始まってからだ。

今回は村の上方にある6000m2ほどの規模の発電所だ。 住民たちはドシンドシンという音を聞いて、二つ目の発電所ができるという事実を知った。 その土地には発電所を作らないと住民と約束した土地だった。 竹城1里のチャ・ミョンソプ里長は 「大きな土地に発電所を作る代わりに、そこは手をつけないと約束していた。 だが施行会社は約束を破ってその土地も買いとって工事を行った」と説明した。

また工事車両が村の中に入ってきた。 住民たちが昨年、精魂を込めて作った農路が壊れて傷ついた。 結局、住民たちは工事車両を阻止した。 工事現場に駆けつけてショベルカーに乗った。 「ショベルカーが村にきたという知らせが聞こえれば、仕事を止めておばあさんたちを車に乗せて山に駆けつけました。 平均年齢85歳の老人たちがあの寒い冬にショベルカーの上に乗りました。 会社はしないと言いながら、夜にきてまたこっそり工事をする。」

国策事業だというのに、なぜ個人事業者だけが腹を肥やすのですか?

住民たちの反対が激しくなると、施行会社は告訴告発と損害賠償というムチで対抗した。 キム氏も工事車両を耕運機で妨害したという理由で施行会社から告発された。 チャ・ミョンソプ里長は損害賠償の脅迫まで受けた。 「その(工事車両が通った)道は許可された道ではありません。 昨年、農民が土地と金を出し合って広げた農路です。 しかしその道を塞いだからと損害賠償を請求するという内容証明を送ってきました。 工事が遅れたので10億ウォンを賠償しなければならないって。 田舎の人を脅迫するんです」。

チャ里長も昨年の土砂流出で大きな被害を受けた。 崩れた畦道を自分たちで直しても、施行会社に損害賠償を要求することができなかった。 「住民が金をむしりとる」という流言が出るかと思ってだ。 鬱憤が積もり積もる。 彼をはじめとする住民たちは、かなり前から、そして頻繁に警告してきた。 「何百年もの松があって、真砂の地域なので農家の被害も憂慮されるので、発電所を作ることには慎重でなければならないと市庁に何度も請願を入れました。 市は行政指導で解決できると言いました。 しかし結局こうして乱開発されました。」

住民たちの被害と対立が深刻な水準に達すると、市は工事中止命令を出した。 今から住民の同意なく竣工を許可しないという約束もした。 だが工事が行なわれた土地は施行会社が買い取った私有地地だ。 当然だが、近い将来、施行会社は行政訴訟を提起する可能性が高い。

住民たちは今も理解ができない。 環境保護という名目の「新再生エネルギー」事業が逆に環境を破壊する皮肉さを。 そして国策事業という名の太陽光発電所の工事が結局数社の事業者の腹をふくらませるだけだという事実も。 キム氏はむなしい笑いを浮かべた。 「新再生エネルギーだそうです。 趣旨は良いです。 しかし太陽光の電気を1kW生産するために何百年もの松100株を切るのはどう考えればいいのでしょう? そして国策事業だというのになぜ個人の業者だけが腹を肥やしているのでしょうか。 国家が主導して、住民たちが参加する事業なら、 少なくとも住民公聴会さえ開かれていれば、 乱開発ではなく慎重な工事だったら、私たちもこうしなかったでしょう。」

主客が転倒した事業。 方向性を見失った太陽光発電所事業は嫌悪施設に転落して久しい。 「この村に太陽光は絶対無い」というある老人の怒号は、 単に「NIMBY現象」のような地域利己主義で片付けていいのだろうか。[ワーカーズ33号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-20 08:05:28 / Last modified on 2017-07-20 08:05:29 Copyright: Default

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