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多国籍企業ボッシュ、労働権と人権はドイツに置いてきたのか?

[連続寄稿]すべての労働者に労働三権を-労組破壊禁止・交渉窓口一本化廃棄を叫ぶ(1)

イ・ファウン(金属労組ボッシュ電装支会) 2017.07.10 17:15

[連載を始めるにあたり]大田・忠北地域は労組破壊・複数労組事業場が多い所です。 2011年のユソン企業を始め、ボッシュ電装、コンチネンタル支会などの労組破壊事業場をはじめ、 NTEC、韓国タイヤ、星宇メタルなど6つの事業場はすべて複数労組事業場です。

会社は複数労組強制的交渉窓口一本化を悪用し、 少数労組に転落した金属労組の労働三権を無力化させました。 ユソン企業は金属労組が過半数労組を占めているのに、 御用労組を利用して差別を正当化し、労働三権を無用の物にしました。もう7年です。

労組破壊禁止を通して労組する権利を保障しなければなりません。 交渉窓口一本化廃棄を通して少数労組にも労働三権を保障しなければなりません。 すべての労働者に労働三権を保障することでこそ、労組する権利が保障されるのです。

大田忠北地域複数労組事業場の労働者たちは7月から政府総合庁舎と民主党本部事務所の前で 「すべての労働者に労働三権を、労組破壊禁止と交渉窓口一本化廃棄」のための1人デモに突入しました。 労組破壊・複数労組事業場で起きる現場の問題も知らせていこうと思います。 そのために闘争する労働者たちが直接連載する現場の文に大きな関心をお願いします。

▲労組事務室で裁判所が雇用した用役が押しかける場面

少数労組がどうして現場労組事務室を?

「支会長さん、こいつらが攻め込みました」 結局、労組事務室に裁判所が雇った用役数十人が押しかけた。 あわてて仕事を止めて組合員が労働組合事務室の前に三々五々集まってきた。 真昼に用役が押しかけた理由は、労組事務室のためだ。 会社は絶えず労組事務室を空けろと要求した。 一言で「わずかしかいない組合員がなぜ大きな労組事務室を使うのか」ということだ。 複数労組ができてからのことだ。 労組がこれを拒否すると、会社は仮処分申請を出し、裁判所は会社の味方をした。

労働者たちが労組事務室で頑張ると、裁判所の職員と用役は労働組合が公権力行使を遮ったとして写真を撮り、 その上民事刑事上の責任を問うという見えすいた脅しをして帰った。 生まれてはじめて警察署の敷居を越えた組合員たち。 しかし彼らは偉いお国の公権力に対抗して、法律では解けない不当さを訴えている。

現場の真中でなんとか粘ってこの25年間、私たちと生死苦楽を共にした労働組合事務室。 現場と近いので勤務時間でもいつでもカップラーメンで空腹をなだめてくれる所。 管理者ではなく会社の社長も労組の許諾がなければ、一歩も勝手に入れない所。 ここがまさにわれわれの労働組合の事務室だ。 ところが会社は2012年の労組破壊開始と共に、ここを奪おうとあらゆる手段を使った。 結局、国内最高のローファームを雇った会社は、裁判所で被害者と加害者を逆転させる手際の良い魔術を見せた。 裁判所は何枚かの書類だけで労組事務室を空け渡さなければならないと会社の主張を認め、 われわれはこの25年間一緒にした労組事務室から追い出されてしまった。 ここはまさに6年間、労組破壊が続く現場、戦場のようなボッシュ電装だ。

▲ボッシュ電装の労組事務室として使われていた空間。1月に労組は事務室から追い出され、近くにテントを張って活動している

交渉だけでも数百回、無力化された少数労組の交渉・スト権

ボッシュ電装は旧マンド機械の事業場だ。 振り返ると、これまで大きな摩擦なく順調だった労使関係であった。 そのうち去る2011年、現代自動車が部品メーカーの事業場の中にい、 わゆる剛性執行部がある所だと言い始めてから会社の本格的な労組狩りが始まった。 2012年に創造コンサルティングと共謀した労組破壊は2人を解雇し、3人は停職、 5人は出勤停止で殺戮を始めた。 団体協約は解約され、正門からの出入は封鎖され、息詰まる統制はいまや私たちの日常になってしまった。 それだけではない。 会社は金属労組の旗を放棄しなかったことへの苛酷な刑罰として、金属組合員だけに 2012年と2013年、そして2014年まで3年間、賃金を差別支給している。 交渉はすでに数百回を突破した。 しかしやむをえず出てきた代表理事の浅い笑いの裏には、交渉を妥結させる意志も悩みも、何も見えない。 労組破壊以後に生活苦で1人、業務上ストレスで1人、このように2人の組合員が命を絶つ恐ろしい事件も発生した。 時間が経つほどに人間関係は断絶し、破壊されて、それだけ会社の現場掌握力は次第に高まっていった。 会社は現行法をあざ笑い、会社の労組破壊は露骨になった。

労働部に行って抗議もしてみた。 検察に数十回も告発状を提出し、付けたし裁判所の前で野宿もしながら訴えたが、 いつも国家権力には馬の耳に念仏だった。 冷たいコンクリートの床の上で数年間座り込みをして差別を解消し、労組弾圧を中断しろと叫んだ。 しかしすでに労組破壊という甘い麻薬に酔った会社には、そんな常識は聞こえるはずもなかった。

▲ボッシュ電装労働者が政府ソウル庁舎の前で労組破壊禁止と複数労組窓口一本化廃棄を要求して1人デモをしている

▲ドイツ大使館の前でボッシュ電装労働者が1人デモをしている

今度は風景が変わったというソウルで!

「私たちは金がないだけ、自尊心もないのか」 酒さえ飲めば組合員たちと酒杯を傾けながら叫ぶ代表的なレパートリーだ。 金の前に全てを屈服させられるという傲慢な資本の前で、金より貴重な価値があるということを知らせたかった。 私たちが頑張って戦う理由だ。 最近、組合員たちと新しい闘争を決意した。 労働者たちの闘争に最後はないが、最後だという気持ちで最善を尽くそうと言って、組合員たちとまた意気投合した。 一番最初にドイツ大使館に駆けつけることにした。 ドイツ大使館に行ってボッシュという多国籍企業の素顔を、その実体を告発することにした。 ご存知の通り、ボッシュという多国籍企業の本社はドイツだ。 ドイツ政府は2016年12月21日に企業と人権NAPを発表した。 ドイツ政府がドイツ企業の人権と労働基本権尊重の問題を自ら管理監督する責任があるという内容を明示したのだ。 企業に対し、自主的に人権侵害について実態を調査しろという勧告で、すべてのドイツ企業に適用される。 しかし相変らず現場は不法が大手を振って闊歩し、労働基本権の問題はきちんと守られずにいる。 人権と労働権は見かけだけの宣言として存在するだけで、何の実効性もない単なる不渡になった白紙小切手と同じだ。

政府総合庁舎の前でも組合員たちが一人デモをしている。 少数労組が労組する権利を奪う交渉窓口一本化の廃棄を要求するプラカードデモも同時に行っている。 たとえすぐ賃金差別が解消されても、交渉窓口一本化という悪法が存在する限り、 現場ではきちんと民主労組を守ることは不可能に近いということを知らせるためだ。 地域に同じ複数労組事業場の韓国タイヤ、ユソン企業、コンチネンタル、星宇メタル支会の組合員たちも同じ要求をかかげて共に戦うことにした。 容易ではない戦いであることはよく分かる。 しかし克服できない戦いは決してないと考える。 労組破壊6年。 新しく始めたわれわれの闘争。 とうとうと流れる水の流れのように、穏やかに、静かに、しかし明るく鮮やかに歩いていけば、 結局民主労組は力強く復活するだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-15 10:22:12 / Last modified on 2017-07-15 10:22:13 Copyright: Default

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