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文在寅印の「正規職化」をめぐる労働界の悩み

子会社正規職転換、職務給制度導入...もうひとつの『間接雇用』を作るのか

ユン・ジヨン記者 2017.06.21 21:43

文在寅(ムン・ジェイン)政府の公共部門正規職化方案をめぐり、労働界の憂慮が深まっている。 最近、仁川空港公社の子会社設立による正規職化方式も、 職務給制度導入の議論がもうひとつの間接雇用形態を拡大させると指摘されている。 政府の正規職化の方式をめぐる労働界内部の温度差もある。 会社の形態だけで正規職かどうかを判断するのは難しいという意見と、 現在の「間接雇用正規職化」のフレームを「直接雇用正規職化」に転換させるべきだという要求もある。 そのため民主労総は6月21日午前、征東フランチェスコ教育会館で 「間接雇用問題の正しい解決法探し」討論会を開き、 文在寅政府の正規職化方式について意見を交わした。

「子会社-職務給制度、低賃金固定と元請への責任要求が難しい」

問題提起に出た韓国非正規労働センターのナム・ウグン政策委員は 「公共機関正規職化の有力な方案として検討されている子会社の形式が果たして正規職化の本質を表わせるのか、 あるいは見かけだけはもっともらしい見せかけ7日については、真剣に調べなければならない」と強調した。 ナム政策委員が事例として提示した公共部門の子会社転換事業場は、 都市鉄道ENG、メトロ環境、郵便局施設管理団、タサン・コールセンター、慶煕大社会的企業だ。 このうち都市鉄道ENGと郵便局施設管理団は「構造調整」の目的で子会社を設立した。 彼らは劣悪な賃金と同種の類似業務の正規職との深刻な差別、労使対立に苦しんでいた。 郵便局施設管理団の場合、構造調整が試みられていて雇用も不安定だった。 間接雇用の解決法として子会社を設立したメトロ環境とタサン・コールセンター、慶煕大社会的企業は、 雇用の安定は保障されたものの賃金は既存と同じか部分的な改善だけだった。

ナム・ウグン政策委員は 「子会社方式が構造調整の手段であれば、所属労働者たちは賃金、雇用で劣悪な条件に処することになる。 間接雇用の解決法としての子会社は、雇用安定は実現するが賃金などの労働条件向上は別途議論すべき事案」だと説明した。 子会社方式が「元請使用者責任認定」まで担保できるのかも未知数だ。 ナム委員は「子会社方式は本社(元請)の直接雇用ではなく、遠距離雇用の一形態であり、 これにより元請の法的責任が要求できない構造」だと明らかにした。 公共部門が直接雇用を回避する最大の理由は、人件費を統制する総額人件費制(基準人件費制)のためだ。 これは政府が現在考慮している「職務給制度」導入とからんでいる。 直接雇用正規職に転換すると、既存の年俸方式を適用しないのは難しく、 子会社を設立して職務ごとに別途の賃金体系を樹立するということだ。

もうひとりの発表者である民主労総未組織非正規戦略事業室のオ・ミンギュ室長は 「清掃労働者だけでなく、労組を持つこともできない大部分の未組織・間接雇用労働者の賃金体系で、基本給はぴったり最低賃金の100〜120%に設計されている」とし 「韓国の使用者は職務全体を外注化、下請化する方式で非常に歪んだ職務給制度を間接雇用非正規職にすでに強要してきた」と説明した。 過去の正規職転換が「無期契約職」というもうひとつの差別的な職群拡散として現れたように、 「子会社設立」は歪んだ間接雇用方式になる可能性があるという憂慮もあがった。 オ・ミンギュ室長は「子会社に転換しても元下請の関係は本質的に変化せず、 ストライキをすれば元請の資本が直接代替要員を投入する現象も、 用役、委託業者の時と同じように行われることもある」とし 「いくつかの子会社を作る方式で事実上、用役、請負業者と違わない運営がなされる事例もある」と明らかにした。 現在、民主労総は、 △元請の使用者責任認定、 △常時持続業務の直接雇用、正規職化という2種類を基本方向としている。

「子会社と職務給制度は『差別』ではなく『差異』だ」

しかし韓国労働研究院のペ・ギュシク専任研究委員は「差別」と「差異」を混同してはいけないと強調した。 遂行する業務に対する差異は存在せざるを得ず、間接雇用の正規職転換も元請直接雇用だけに固執するのは難しいという説明だ。 ペ・ギュシク研究委員は「同じ学歴と資格条件が似ていても、遂行する業務が質的に異なる場合、異なる賃金が支払われることを許容しなければならない」とし 「元請の正規職より、数字が少なく既存の正規職と違う職種である間接雇用非正規職の場合、 職種別に賃金、昇進体系を別に用意して、既存の正規職と差をつけて管理し、 差別はなくす方法で可能だろう」と説明した。 また公共部門の間接雇用非正規職の労働者数が元請正規職の数より多ければ、 子会社の正規職採用が避けられないと付け加えた。 また彼は労働界の「元請の使用者責任」の法制化に対しては、現在の与小野大という国会状況のために当面の現実化は難しいと見通した。

ペ・ギュシク研究委員は「いくら文在寅政府に意欲があっても法改正を要求して、 国民的同意を必要とする改革や固まった構造を変える改革、 多額の財政が必要になる改革は容易ではない。 何か月かで実現できる力量も、財政も、国民の支持率も確保されていない状態で、 労働界の高く多い要求は耐えられない状態になる」とし 「10年ぶりにやってきた機会なのだから機会を逃さないように、 時には政府と協力しながら改革や要求を達成する方法として戦略をたてなければならない」と強調した。

仁川空港地域支部の上級団体である公共運輸労組は、民主労総の直接雇用・正規職転換の原則には共感するが、 「子会社雇用」を「非正規職維持」と見ては困るという立場だ。 公共運輸労組のチョ・ソンドク副委員長は 「会社の形態が正規職かどうかを分ける基準と見るのは難しい。 公共機関では専門性、独自の収益などを考慮して別途に設立された子会社もあり、 良好な雇用条件を持っている事例もある」とし 「特別な事由がない限り、親会社が望ましいのは事実だが、 すべての場合に『子会社の雇用は非正規職の維持だ』とだけ思われても困る。 具体的な状況や労使(政)交渉を共に考慮して決定しなければならない」と強調した。

別途の職務、職群分離に関しても 「大きく職務が異なる場合(今回の公共部門非正規職の正規職化の過程では、清掃、施設管理などが多い)、 既存の正規職と同じ賃金体系を直ちに実現するのは難しい」とし 「職務の差があれば、転換の初期には利益と管理費を全額非正規職の処遇改善に使い、 福利厚生で正規職との差を完全に廃止することから始めるべき」と主張した。 また最低賃金に近い職種の処遇改善は、最低賃金1万ウォンの早期実現により賃金を現実化すべきだと付け加えた。

しかし全国不安定労働撤廃連帯のキム・ヘジン常任執行委員は 「子会社方式は元請の使用者責任がきちんと認められず、 いつでもストライキ代替人員を投入できるなど労働権が保障されない点で用役業者と違わない」とし 「今、公共部門で運営されるほとんどの子会社は『人員派遣子会社』」だと指摘した。 職務給の議論についても「職務給制度で賃金差別を正当化する基準は非常に政治的で恣意的にならざるをえない」とし 「社会的に職務に対する差別認識が高く、いわば多くの賃金を受ける職務を『熟練度』で認めるのではなく、 競争で勝利した結果だと認定する韓国社会において、 職務給はいかなる形であれ歪んだものにならざるをえない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-06-25 22:12:35 / Last modified on 2017-06-25 22:12:36 Copyright: Default

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