本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:光化門野宿座り込みを始めた全教組
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1497738081354St...
Status: published
View


「『大統領がみんなしてくれる』が一番危険」

[インタビュー]光化門野宿座り込みを始めた全教組...「法外労組撤回! 教員労組法改正! 労働三権争奪!」

パク・タソル記者 2017.06.12 06:37

光化門を正面から見て政府ソウル庁舎の反対側に、大小の座込場が集まっている。 全教組中央執行委員と専従は、そのうちの一つの座込場で15日間野宿座り込みをしている。 政府に「法外労組撤回! 教員労組法改正! 労働三権争奪!」を要求するためだ。

全教組は2013年10月24日、雇用労働部から飛んできた 「法外労組」通知文書一枚で突然、法外労組になった。 その後、教育部、労働部などは各種の文書で全教組を「いわゆる全教組」などと呼び、その存在を否定した。 専従者を解雇して、全教組と共同で設置した教育事業を中止して、支部事務室を取り上げるなどの方法でつぶそうとした。 昨年、朴槿恵(パク・クネ)、崔順実(チェ・スンシル)ゲートが起きて公開された故金英漢(キム・ヨンハン)前大統領府民情主席の業務日誌には、 全教組の弾圧が政権次元で企画された作業だったことが書かれていた。 疑ってはいたが、全教組への狙い撃ち弾圧をこの目で確認した瞬間だった。

新政府の「改革」政策は、人事や政策の部分で大きな好評を得ている。 教育分野では韓国史国定教科書の廃棄を指示し、教育界の積弊清算の信号弾を打ち上げたという評価を聞いた。 だがなぜか新政府の改革は全教組を避けたまま進んでいるようだ。 全教組の公約履行の要求に対して保留の立場しか明らかにしていない。

6月11日、文在寅大統領は金相坤(キム・サンゴン)前京畿道教育監を教育部長官兼社会副総理に、 趙大ヨプ(チョ・デヨプ)高麗大学校労働大学院教授を雇用労働部長官に指名した。 金長官候補者は大統領選挙で共同選対委員長として教育公約全般に関与したと伝えられている。 主な履歴では「民主化のための全国教授協議会(民教協)」の創立を主導し、 「全国教職員労働組合(全教組)」創立の時に教授委員会結成を率いた点がある。 全教組と長い縁がある金長官候補者は、では全教組法外労組撤回問題をどう解いていくのだろうか? 6月9日、光化門全教組野宿座込場で全教組のチョ・チャンイク委員長、全教組のユン・ソンホ全北支部長、全教組のソン・ホマン大邱支部長2年目の解職教師と会って、話を聞いた。

▲6月9日、政府ソウル庁舎前の全教組座込場でインタビュー中のソン・ホマン全教組大邱支部長(左)とユン・ソンホ全教組全北支部長(右)。

解雇後に変化があったか?

ソン・ホマン大邱支部長: 家族、親戚、知人が「そんなに大変でどうするのか」と心配してくれる。 だが解職を覚悟して専従になったし、忠実に専任活動をすることにしたので生活に大きな変化はない。 大邱ではどの地域より早く懲戒され、セウォル号真相究明契機授業なども制止されるなど、弾圧が強かった。 その過程で組織に大規模な離脱があるのではないかと心配していたが、むしろこうした時こそ結集しようという雰囲気ができた。 最近の心配は、政権が変わって組合員の間で執行部が、また政権がうまくやってくれるだろうという漠然とした期待が高まっていることだ。 「大統領がみんなしてくれる」と期待することを一番警戒している。 組合の力で突破すべきことだが、悩みが大きい。

ユン・ソンホ全北支部長: 心よりからだが疲れていくことを感じた。 予測された状況だったので解雇後の状況はあまり大変ではなかった。 また解雇後にどれほど大変だったのか、あえて話したくない。 全教組は弾圧されているが、関心の対象でもある。 だが劣悪な労働環境の中で働く労働者がいて、 甲乙オートテック、ハイテクのような長期闘争事業場がある。 非正規職が労組を作って弾圧されているのに全教組問題とともにはやく解決すればという気持ちだ。

*保守言論は朴槿恵-崔順実ゲートが起きた後も1面を使って全教組を攻撃した。朝鮮日報の主敵が全教組という笑い話もある。なぜ保守言論が全教組を総攻撃すると考えているのか?*

ソン・ホマン大邱支部長: さまざまな理由が考えられる。 80年代から今まで、自主的で民主的な性格を強く維持してきた労組は多くない。 全教組が活動を続けて認知度も高まり、剛性イメージがあるので、象徴的に叩くのに都合が良い労組になった。 他の理由は「教育」は国民すべてを動員する最良の分野だ。 学校で習う公教育が未来世代の思考を左右すると思うからだ。 すべての国民に機能するイデオロギー戦で優位を得るために、 執拗にアカ呼ばわりしてきた。 一方では韓国の人のほとんどが「教師は師匠」だという中世的な教師観を持っている。 そのため初期には「なぜ教師が労働者になるか」につながるが、前からこの点を根拠として強く攻撃してきた。

ユン・ソンホ全北支部長: 保守勢力と彼らが掌握する言論が作ったフレームの中で攻撃するのに本当に都合が良いところが全教組だ。 保守は全教組を攻撃しながら結集する。 初期に共産主義アカ集団だと言った理性的にもおかしな持続的な黒色宣伝を私たちが防御できなかったというのは、活動家として反省する部分だ。 だが28年以上活動しながら、全教組も積極的に対応したし、従北攻撃の反響はもう鈍った。 また、教師も労働者だという認識がかなり拡大した。労組をする権利もそうだ。

中央日報、JTBCが属する中央メディアネットワークで「全教組復活」賛否調査をした。12万人以上参加したが合法化反対が54%で少し高かった。こうした世論をどう評価しているか?

ユン・ソンホ全北支部長: 国民の否定的世論も明らかに存在するが、この調査結果は信頼できない。 質問の初期には合法化賛成が9:1から7:3だった。 最後にそのように反転したのだが、IPが違えば重複投票もできて、さまざまな弱点があり、 一部の勢力が介入する暇があったと見る。 全教組合法化は賛否の問題ではなく、政府によって企画された全教組法外労組化を正常化する過程だ。 労組の法的地位を剥奪することは憲法と法律に基づくべきだが、 それが不備なので結局施行令で突破したのではないのか。 新政府が法外労組通知を取り消しせば一定の抵抗は受けると思うが、その抵抗をとても恐れているようだ。 だが多少騒乱があっても韓国史国定化教科書撤回過程のように一定期間で終わる。

ソン・ホマン大邱支部長: 中央日報は「スクープ」と付けて、新政府国政プラン報告書に「全教組合法化方案」が主要課題に入っているという記事を出した。 「政権が全教組を合法化するらしい!」と言って緊急な雰囲気を造成しているわけだ。 保守層の労働排除的な思考に力づけられて、朝鮮、中央が意図的に強調したと見る。

新政府は法外労組通知撤回に線を引くような姿だ。 青瓦台社会首席が議論していないといったり、 李洛淵(イ・ナギョン)国務総理は大法院(最高裁)の判決を待つといった。

ソン・ホマン大邱支部長: 大統領も法外労組措置は誤った部分だと認めたし、撤回を約束したので、 政権発足後は当然措置がなされてもよかった。 だが次第に疑問が強まっていっている。

ユン・ソンホ全北支部長: 対政府闘争を今始めなければならない理由だ。 だが誰かが戦いを簡単に決めることはできない。 大統領選挙で全羅道は進歩政党への支持率が最も低いところのひとつだった。 組合員も相当数、文在寅を支持しているが、 政権の序盤期から対立することを憂慮している。 さっきも話したが「まだ待つべきではないのか」という組合内の雰囲気が心配だ。

*文在寅は公共機関成果年俸制(成果退出制)廃棄すると公約した。教育界にも成果年俸制がある。教師をS、A、Bに等級付けて成果賞与金が差別支給される。毎年要求している成果給廃止はどうなるだろうか? 多数の教師が反対しているのになぜ教育部は我を張っているのか?*

ユン・ソンホ全北支部長: この前、人事革新処が公務員の年休活用拡大のために年休事由を書かずに電子決済をしろという指示を出した。 全北の学校もこうした指針を受けたが、一部の校長が教育部に電話して確認すると、教師ではないという回答をしたという。 公共部門成果退出制廃棄の公約についても、行政自治部に問い合わせたようだが、 教師、公務員は含まれないという回答がきたという。 現在、公務員がはっきり理解できずにいる。 公共部門の核心は教育と一般行政なのに、それを置いて公企業成果退職制だけ触ろうとしているので問題だ。 文大統領の成果退出制廃棄公約の観点から見れば、教員評価、成果給制も当然消えるべき制度だ。

*教育政策についてはどう見るか? 国政企画諮問委員会が文在寅の教育公約をたくさん失ったと評価されている。つまり憲法機構である国家教育改革委員会を設置するのにどんな役割を果たすようになるだろうか? 期待しているか?*

ユン・ソンホ全北支部長: 委員会の発足が少し遅い感がある。 他の部分は可視的で議論中だが、教育の部分はまだそうすることができないようだ。 特に教育公約の「高校学点制」は心配な部分が多い。 公教育正常化のための大きな下絵がない。 政策も断片的だ。 一緒に働く人の口から出てくる断片的な情報に依存して構想する教育政策を教育政策とはいえない。

ソン・ホマン大邱支部長: 準備された大統領だといったが、教育の部分は準備できていなかったようだ。 金大中盧武鉉政権も教育政策は失敗した。 その時、開かれた教育だとかなんとか言っていたが、実質的に現場に来ることもなかったし、 盧武鉉政権の時はむしろ新自由主義教育が入ってきて教員評価制を始めた。 大きな失敗の経験があるので中途半端に教育政策を出さないのかもしれないが、 教育に対するイメージを明確に提示できない点は残念だ。

先日、特性化高校の学生が実習中に自殺した。教師も評価制度で大きなストレスを訴える。全教組が見る現在の教育現場の状態はどうか?

ソン・ホマン大邱支部長: あいにく名門大合格競争をしている二つの地域の支部長が集まった。 光州、大邱地域の入試競争さえなければ、韓国の入試競争はずいぶん緩和されるという話もあるほどだ。

ユン・ソンホ全北支部長: 故ホン・スヨンさんが働いていたLBヒューネットの責任を問うために、全北地域共対委と一緒に4か月戦った。 深刻な青年失業率と非正規職雇用が多い状況で、企業は現場実習生を使い捨てのチリ紙のようにたった数か月で使い捨てる。 教育部が管理する実習所で教育課程次元での実習が行われなければならない。 どうしようもない需要があれば、極めて例外的な規定を作って実習に送らなければならない。

特性化高校の問題が注目されているが、教育原則を破壊しているのは人文系の高等学校だ。 この前、ある会合で特性化高校の教師が「特性化高校だけが問題であるかのように言われるが、 多数を占める人文系と教育の混乱が特性化高校よりも深刻ではないか」と問題を提起した。 本当に痛かった。 人文系高で入試中心の競争教育をしたことで、特性化高校まで大学にしがみつくようになった。 教育革命を叫んでいるが、28年間の入試中心競争教育体制を破れずにいる。

全教組内部の良い知らせはないか?

ソン・ホマン大邱支部長: 若い組合員が増加しているということか? しばらく組合員数は停滞していた。 全教組弾圧を経て、ものすごく減るだろうと思っていたが、幸い心配した程ではなかった。 そして昨年の弾劾局面からは少しずつ増加している。 28年過ぎて、全体的に老いていると言われるが、最近はずいぶん変化を経ている。 小学校中心の若い教師がぐんぐん増えている。 今は小学校の組合員が過半数を越した。

全教組はこれからどんな闘争を計画していくのか?

▲チョ・チャンイク全教組委員長

チョ・チャンイク委員長: 4月に教育主体、市民社会が集まって社会的教育委員会を作り、教育積弊清算のための5大、10大課題を粘り強く話してきた。 法外労組撤回と教員の労働基本権・政治基本権保障、競争主義教員政策の成果給と教員評価廃止、 入試競争教育廃止のための大学入試資格試験の実施と大学序列化の解消などが主な課題の一つだ。 同じ重さで接近する課題だが、今の時期は成果給と教員評価を廃棄するいい時期だと見ている。 入試体制に亀裂を入れる大学入試資格試験の導入も重視して推進している。 全教組は一斉試験廃止などの関連政策を伝えたが、大統領の選挙公約に十分に反映されなかったという惜しみがある。 教育部と交渉できるなら、積極的に教育政策を提示する予定だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-06-18 07:21:21 / Last modified on 2017-06-18 07:21:22 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について