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九宜駅惨事から1年を評価する

「君を忘れない」九宜駅惨事1周年追慕討論会

パク・タソル記者 2017.05.25 16:33

昨年5月28日の九宜駅惨事以後、「安全の外注化」システムが韓国社会の積弊として注目されるようになった。 乗客と労働者の安全を威嚇する地下鉄運営システムを綿密に調査するための真相調査団が組まれ、 彼らは昨年、2回にわたり報告書をだして関連対策をソウル市に勧告した。 朴元淳(パク・ウォンスン)市長は謝罪談話文の発表とともに市民の生命と安全に直結する業務については直営化を推進するという内容の対策を発表し、 安全の外注化の問題解決に積極的な意志があることを表明した。

真相調査団を提案した市民対策委は1年経った時点で、これまでの対策を点検し評価する時間を持った。 ソウル市議会民生実践委員会、地下鉄非正規職死亡災害解決と安全社会のための市民対策委(以下市民対策委)は5月25日午前10時、 ソウル市庁西小門庁舎2棟の第2大会議室で「君を忘れない」という名の追慕討論会を開いた。 この1年間のソウル市の対策を評価して、安全社会へと進むためにぜひ推進すべき青写真を提示した。

対策は続々と出てきたが実行は「まあ…」

対策委はソウル市に合計58の対策を勧告した。 問題提起に乗り出した仕事と健康のハン・イニム事務局長は、 ソウル市の勧告案履行について「ちょうど半分」と評価した。 真相調査団とほぼ毎週にわたる調査と会議に参加し、 改善方向を設定していく「協力政治」の姿を見せたという所にソウル市の動きは良い評価を受けた。

だが真相調査団が核心的な勧告案にあげた「労使民政安全委員会」については、 ソウル市が全く実行の兆しを見せていないという指摘があった。 労使民政安全委員会は、市民社会(外部専門家)、労働組合(一線作業者)が参加して政策決定者が見のがした部分を補完するグループだ。 ハン事務局長は「垂直的かつ、硬直した対応方式を緩和すると同時に、 新しい安全パラダイムを定着させるしくみとして、 持続可能な地下鉄安全を達成するために最も至急推進すべき事項」と強調した。

討論に参加した安全社会市民ネットワーク(準)のパク・スンチョル事務局長も 「制度だけでなく文化を変えるには、労使民政のガバナンスが核心」と明らかにした。 パク事務局長は「現場労働者が危険な作業を拒否したり中断する権利、 業務情報を知る権利が保障されなければならないが、 具体的な実践に連結させるためには一緒に額を突き合わせて話合う場が必要だ」と説明した。

当事者の叫び

雇用に関しても弱い部分が眼についた。 直接雇用に転換はされたものの、安全業務職という職群で正規職と分離した点、 安全業務を分けて直接雇用を試みた点、 用役会社と違わない子会社を設立した点が問題と指摘された。

パク・スンチョル事務局長は 「安全のために労働者たちの情報交換が大変重要で、そのために直接雇用転換を推進したが、 相変らず『安全業務職』という名前で正規職と職群が分離されている」とし 「階層が残っていると情報交換の邪魔になるので、 メトロとソウル市はぜひ職群を統合した正規職化計画を提出しなければならない」と要求した。

ソウル都市鉄道公社の子会社である都市鉄道ENGの事例も問題として議論された。 都市鉄道ENG労組は最近まで消防、電気、給水、換気などの駅施設整備業務の直営化をソウル市に要求した。 昨年9月、電車整備と軌道保守の分野だけを除いて、直営化が推進されたためだ。 5月21日の地下鉄両公社代表者会議で「安全関連業務は委託契約終了時にまず直営化し、 未転換分野は今後論議する」と決定したが、 「安全分野転換の対象は、消防設備、電気、冷房、換気とする」という条件がついた。

討論会に参加した都市鉄道ENG労組のユン・ドンイク事務局長は 「今の業務のうち、安全に関係しないものはないのに、また分割する直営化が決定された」と批判した。 続いて「コスト削減のために最低の人員と賃金で子会社が運営されているが、 2人1組が不可能な時間帯が存在しており、夜間には勤務者がまったくいない。 真相調査団の報告書でも2倍の人員が必要だとされているが、 現在は保守業務に汲々として点検業務はできない危険な状況だ。 転換から抜けた業務も直営化するように政策的検討が必要だ」と主張した。

女性連盟のイ・チャンベ委員長は、地下鉄清掃子会社は用役と違わない構造で運営されていると指摘した。 イ委員長は「清掃子会社の労働者たちは用役業者の時と同じように、同じ地方契約法と用役勤労者保護指針が適用されている」とし 「子会社は上から言われるままに少ない人員を使い続け、 そのために月曲駅、加山デジタル事故のような安全事故が起きた」と明らかにした。

討論に参加した公共運輸労組のチョ・ソンエ政策企画局長は 「いかなる形態の子会社にも反対する」という立場を表明した。 チョ局長は「都市鉄道ENGという子会社を作った公式な理由として、 専門技術者育成などをあげていたが、 問題が表面化したので再直営化されている」とし 「新しい子会社の目的は、公共部門人件費を減らして予算を削減することに傍点が打たれている」と批判した。

両公社の統合、重要なのは統合後の内容

一方、集まった人々は、二社の地下鉄公社が統合されて来る30日の発足を前に、ソウル交通公社に今後の役割を要求した。 「両公社統合の成否は統合そのものではなく、どのような内容で公共性を強化するのかにかかっている」ということに意見の差はなかった。

社会公共研究院のイ・ヨンス研究委員は財政構造の変化を要求し、 「言葉だけはきれいなマスタープランというが、財政構造を変化させて金を用意して責任性を強化する方が重要だ」と明らかにした。 イ研究委員は中央政府が支援する公的補助を増やすべきだと主張した。 市民に負担をかける料金値上げや労働者を絞り取るコスト削減ではない最善の選択肢だった。

ソウル市議会交通委員会のウ・ヒョンチャン議員は 「国費支援が難しければ料金調整もできると思う。 市民が聞き入れにくい問題でも解決しなければならないので、 本当に必要な財源がいくらになるのか真剣な悩みが必要な時」と明らかにした。 ウ議員は「問題はやはり金」とし 「両公社が内包する運営赤字と負債、老朽化、安全事故などの問題は統合で解決できる問題でなく、 20年以上の古い施設が多くて、統合後も安全事故が根絶するまでには難しい点が多い」と憂慮した。

一方、今日の討論会には交通当局のソウル市交通本部が参加せず、不評を買った。 ソウル市議会民生実践委員会のパク・ウンギ委員長は 「交通本部に討論者として参加してくれと要請したが 『労使政委員会に入って活動しているのに、あえて討論会にまで行かなければならないのか』という答弁を聞いた」とし 「苦しい部分はあるが、山積した問題を解決するために積極的に協力政治する」と話した。 ハン・イニム事務局長も「今日、交通本部から出なかったことは致命的な問題」とし 「共に協力すべき交通本部は別に動く構造という気がする」と残念さを示した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-31 02:28:00 / Last modified on 2017-05-31 02:28:01 Copyright: Default

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