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LNJ Logo 韓国:最近の文在寅支持者による進歩言論への批判について
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「文在寅氏」を許してください

最近の進歩言論に対する文在寅支持者による批判の議論に対して

ホン・ソンマン(チャムセサン研究所、チャムセサン前編集長) 2017.05.18 12:10

申し訳ありません。まず尊い大統領様を「文氏」と呼んで。 最近、夫人のキム・ジョンスク氏を女史と呼ばずに「氏」と書いて読者から袋叩きにされた報道機関もありますが、 今日はあえて大統領様を文在寅(ムン・ジェイン)氏と呼ぶことにしました。

ところで、大統領を文在寅「氏」と呼んではいけないのですか? 2013年に朴槿恵(パク・クネ)大統領と呼ばずに「朴槿恵氏」と呼んだ当時の李正姫(イ・ジョンヒ)統合進歩党代表と鄭清来(チョン・チョンネ)議員は、 セヌリ党と与党指向のマスコミ、イルベのような極右サイトから厳しい批判を受けました。 なぜ大統領を無作法に「朴槿恵氏」と呼ぶのかと。

▲〈ハンギョレ21〉表示キャプチャー

ハンギョレ21が大統領選挙直後の5月14日、表紙写真に文在寅氏の写真を公開しました。 するとインターネットユーザーは写真の中の顔が暗いと言って、数百本のコメントを付けました。 見栄えが良い写真は使わず、悪意的に良く見えない写真を選んで表紙写真にしたということです。 写真は見る人の観点により好き嫌いが分れるとハンギョレ21編集長が釈明しました。

ハンギョレ21編集長の釈明にも議論が弱まらず、 前編集長が自分のFaceBookに議論の文「飛びかかれ文派たち」を書くと、 むしろさらに非難が爆発してしまいました。 またメディアオヌルの記者はこうしたことを遠回しに表現して、自分のFaceBookに「犬の群れ」云々して読者の怒りが爆発しました。 しかし、記者の対応も悪かったが、この問題の原因の提供は、果たして記者がしたのでしょうか?

▲〈ハンギョレ21〉アン・スチャン前編集長FaceBookキャプチャー

こうした似たようなことが何度となく起きています。 京郷新聞はツイッターに大統領の就任3日目の動静を伝えるにあたり「ご飯も一人でよそって食べた」と伝えました。 これに対してインターネットユーザー、ほとんどは文在寅氏の支持者だと思いますが、 「なぜ大統領に無作法な言い方をするのか」と言い始めました。

ここで「よそって食べる」、「キム・ジョンスク氏」のような国語文法上、尊敬語なのかぞんざいな言葉なのかを問いたくはありません。 そしてハンギョレ21の写真が謹厳を見せるものなのか、わざわざ暗い写真をのせて大統領をディスしようとする意図だったのかを検証もしません。 ここで注目したいのは議論の脈絡です。

これらの議論は(記者の無責任な発言のために議論がさらに大きくなったが)、 新政府に対する悪意の批判に対する抗議ではなく、 「なぜ大統領と女史様をそのように呼び、そんな写真をのせるのか」という、 記者と言論が「礼儀」をわきまえないことを非難しているのです。 その点で今回の議論は2013年の「朴槿恵氏」の議論の再版です。 ただし、その対象と主体がさかさまになっているだけですが。

だが最近の事態の問題は、 ここで終わるのではありません。

▲京郷新聞ツイッターキャプチャー

報道機関と民衆運動に対する抑圧です

非正規職だという理由で、整理解雇されたという理由で、職場から追い出された労働者たちが、 一か月ほど広告塔に上がって断食座り込みをしました。 断食と座り込みを解除して広告塔から降りてきて、 記者会見を伝えたチャムセサンの記事に対し、 今まさに始まった新政府を批判すると 「口先進歩は口を閉じろ」というコメントが数百本付きました。

最低賃金と非正規職問題を解決しようと言って、 6月30日に社会的ゼネストを要求する民主労総のホームページの記事、 そして労組破壊事業場と言われる甲乙オートテック使用者側を法律代理した朴炯哲(パク・ヒョンチョル)弁護士を青瓦台反腐敗秘書官に指名したことを批判する文にも 「朴槿恵の時にやれよ、処置なし貴族労組」、 「非正規職を差別する労組」、 「政府がスタートしたばかりなのに、もう粗探しか」というコメントで批判しています。

以前の参与政府の時、期間制労働者の非正規職期間を延長する期間制法を参与政府が改悪した2006年当時、 ハンギョレ新聞などいわゆる改革言論が先頭に立って期間制法の改悪は韓国経済が生きるために「不可避」だという論理で非正規職法改悪に同調した事実を覚えています。 韓米FTAについても類似の立場を取りました。 するとこの社会では、政府の誤った政策を批判する声はチャムセサンのような民衆言論の他には見つけるのが難しくなり、 非正規職法は改悪され、非正規職労働者の苦痛はなんとも言えないほど大きくなって行きました。

改革言論も政界の顔色をうかがわず、自分の支持勢力と対象であっても批判すべきことは批判するべきです。 それでこそ3期民主政府の成功も期待しすることができます。 今回の事態で一番深刻と思われるのは、問題になったさまざまな報道機関が釈明を越えて謝罪声明と立場を出している点です。 執権の初期だからと、こんな簡単な批判も許されないのなら、新政府の政策の誤りと問題をいつになれば批判できるのですか? 権力に同調する批判、権力化された非難に言論が自ら低姿勢になる時こそ、韓国の民主主義が最も強く脅かされる時です。

▲該当議論に対する〈ハンギョレ新聞社〉謝罪文(左)、メディアオヌル謝罪文(右)

疑っています

新政府は3期民主政府だそうです。 10年ぶりに政権交代し、当選と同時に業務引継委員会もなく、すぐに任期を始めた新政府ですが、 国民の政府と参与政府をつなぐという意味でしょう。 これは前の政府の功はもちろん、過もそのまま持っているという意味にもなるでしょう。

そのような点で、多くの労働者たちが新政府と文在寅氏を疑っています。 仁川空港を回って非正規職を正規職化する、数十万の雇用を作る、豪語して公言しているが、本当に約束を守るのか。 国民の政府と参与政府と違って、3期民主政府は果たして労働者のために人生を変える改革をやり抜けるのか。

盧武鉉大統領の執権開始と同時に、 損賠仮差押え、労組弾圧で絶望に陥った多くの労働者が自ら命を投げた時、 当時の盧大統領は「焼身で闘争する時代は終わった」と言って労働者の痛みを解くどころか、彼らを叱責しました。 その時の損賠仮差押え問題は、さらに10数年経った今も解決できず、労働者の心臓を締め付けています。 前の民主政府1期と2期で行われた非正規職量産法、整理解雇法、どれ一つきちんと話もされません。

文在寅氏も朴炯哲反腐敗秘書官のように、 弁護士の時に労働者の解雇と労組弾圧で有名なプンサンの使用者側弁護士を担当しました。 当時、31人の労働者が解雇されました。 彼らは数十年間、職場に戻ることができず、途方もない苦痛を受けました。 これに対する文在寅氏の釈明はまだ聞くことができません。

この前の世論調査を見ると、文在寅政府が人生を変えるかという質問に、20〜40代の女性の3分の2がそうだと答えました。 主に若い層には新政府に対する期待が強いです。 本当に新政府の成功を祈ります。 韓国の若者たちがこの政府に失望して、もう人生が良くなると思えなくなったら、 むしろさらに保守化するのではないかと心配するからです。 ですから進歩左派陣営はもっとがんばらなければなりませんが、 新政府に対しても惜しみない批判と闘争を通じ、新政府の成功を祈るべきだと信じています。 それでこそ、任期末にこの政府が労働者と庶民、民衆のために、国民の暮らしを良くしたんだな、という称賛を聞くことでぎるのではないでしょうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-18 18:12:18 / Last modified on 2017-05-18 18:12:19 Copyright: Default

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