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キャンドル抗争の偉大な勝利、春はこれから

[ペ・ソンインの政治的事由]朴槿恵弾劾を越えて積弊清算と社会大改革闘争に進もう

ペ・ソンイン(韓神大) 2017.03.17 17:05

結局、異変はなかった。 保守的な憲法裁判所までが全員一致で朴槿恵(パク・クネ)を罷免したのは、 朴槿恵(パク・クネ)の国政壟断が常識的にとうてい容認できなかったためだ。 10月までは鉄甕城だった朴槿恵政権は、偉大なキャンドルの全国的な抗争の前に明確に崩れたのだ。

やっと134日の長い旅が終わった。 事実上、朴槿恵は12月9日に国会で弾劾案が可決された時、すでに罷免されていた。 いや、歴史に例のない100万人以上が集まる11月の抗争で、すでに弾劾されていたのだ。 法的手順を踏んで憲法裁判所によって罷免に至ったとはいえ、 実質的には労働者民衆により、いわゆる「民衆弾劾」されたのだ。

[出処:資料写真]

偉大な歴史的勝利

今回のキャンドル抗争は、労働者民衆による「市民革命」であり「名誉革命」だ。 新しく政治的主体として登場した「市民」は、労働者・民衆であり国民であり人民である。 彼ら「市民」は80年代の民主抗争と97年以後の反新自由主義闘争を通して成長を繰り返したが、 セウォル号大惨事以後、主権者の「市民」としての自己アイデンティティを確認し、歴史の前面に登場したのだ。

親日残滓を清算できない韓国社会が朝鮮戦争以後、反共・安保・冷戦イデオロギーによって構造化され、 支配階級の暴力的な統治と民衆排除は日常になり、 一般大衆としては自己検閲と被害意識、そして敗北主義はある意味当然のことだった。 保守的な民主化に帰結した87年体制は、新自由主義を全面的に導入した97年体制につながり、 不完全な政治的民主主義はこれ以上進展できずに退行を繰り返した。

新自由主義は民主主義の危機を日常化し、当然だと思われた非正規職の量的拡大と不安定労働は、労働者民衆の生活をさらに苦しくした。 社会的不平等と差別による存在感の喪失は、心理的絶壁に追いやられ、傷心を極大化した。 自己検閲と差別に馴染み、不愉快でも我慢した。 展望の不在は「ヘル朝鮮」または「ヘル資本主義」を完成させた。 社会的方向は喪失し、労働者民衆の思惟体系は「分裂」した。 だがそこまでだった。 貧困と不透明な展望に対しては、これ以上の忍耐心を担保するのは難しかった。 労働者民衆の「分裂」は、支配階級に対する抵抗意識に転化し、直接行動を予備していた。 特に李明博(イ・ミョンバク)-朴槿恵(パク・クネ)につながる保守勢力の反撃によって壊滅的打撃を受けた労働者民衆の怒りは臨界点を越えたのだった。

朴槿恵政権の登場は、87年体制の総体的危機と矛盾を赤裸々に表わしたが、 特にセウォル号惨事で確認された支配階級の国家破壊はとうてい容認できるものではなかった。 日常化した支配階級の不法・違法・超法規的犯罪と腐敗に対する鈍った感覚も、よみ返り始めた。 朴槿恵政権の暴力性、疎通不在、一方的指示と命令体系、嘘と小細工などは、国家権力によって奪われた権利を取り戻す直接行動で労働者民衆に対抗させた。 彼らの市民権は自由意志に対する本性であったし、彼らの存在感を表わしたいという欲望だったので、社会的行動につながった。

彼らの判断基準は正常と常識だった。 非常識な朴槿恵の認識と態度は決定的だった。 どの政府であれ、秘線実力者は存在したし、無能で無責任な大統領も珍しくはない。 権力がある所にはいつも不正腐敗があった。 だが崔順実(チェ・スンシル)のように全方向的に権力と資本を私有化した秘線実力者と朴槿恵の無能と無責任は、歴代級だった。 青瓦台は、弾劾が棄却されるという楽観的な展望とニセ情報を聞き、 これを祝うために5段ケーキを準備したというのだから、これ以上どんな言葉が必要だろうか。

キャンドル抗争の貴重な成果

今回のキャンドル抗争は、労働者民衆の自発的参加による直接行動であり、代議民主主義を素朴に(?)完成させた。 キャンドルは初めから直接行動で朴槿恵の退陣を要求したが、 国会の議決と憲法裁判所の決定により朴槿恵を追い出し、政治的民主主義を一歩前進させたのだ。 信頼されない代議制が、代議民主主義を完成させたという逆説の政治革命である。

民主労総によって触発されたキャンドルは憲法裁判所により終結したが、 憲法裁判所の判決が持つ限界は明確だ。 憲法裁判所は提出されたすべての事由一つ一つがそれ自体で朴槿恵を罷免するのに十分な重大な憲法および法律違反行為なのに、 企業の営業の自由や私有財産権の侵害と、知人の私益を企図するための職権乱用と機密維持義務違反を弾劾事由として認定した。 そのあげく、「セウォル号の7時間」、「言論の自由」、「権力による深刻な人権蹂躙」といったまさに重要な弾劾事由を排除し、 「財閥の賄賂供与」を「企業の私有財産権の侵害」として正当化する結果まで現れた。 こうした憲法裁判所の最小主義的かつ妥協的な決定は、 憲法裁判所が胎生的に主権者の普遍的意志に従うことに限界がある保守的な司法官僚機構であることを再度見せた。

それでも労働者民衆の怒りに答え、正当な順法に基づいて立憲民主主義をしっかり立て直したという評価は、残念だが正当だ。 これだけでも長足の発展だ。 だが憲法を守護し、正しい法秩序を確立することがキャンドル抗争の全てではない。

新しい社会的関係を通じて未来に対する認識の地平を拡大し、新しい社会システムを建設する可能性を模索したことは、とても大きな成果だ。 キャンドル抗争は、どのように人に接するべきか、その態度を教えた。 個人はすべての違っていても、誰もが貴重な存在だということを悟らせた。 これに伴い、広場のすべてのキャンドルは兄弟、姉妹、同僚、同志の社会的な連帯で結ばれ、新しい勢力として登場した。 これらの多様な主導者による直接民主主義に対する情熱が、既存の社会的関係を再構成し、 支配勢力と既得権勢力を牽制する役割を自任するようになったのだ。

李在鎔(イ・ジェヨン)の拘束は本当に画期的な成果だ。 今回の国政壟断を通じて賄賂の供与と財閥の不法な利権交換のメカニズム、 財閥の談合と保守の最終的な支援者として全経連の実体の浮上、 積極的な民営化政策と公共性を放棄した政府の経済政策、 総体的な規制撤廃と財閥中心の反労働政策の全面化、 赤裸々な財閥共和国の真の姿があらわれた。 これは前近代的で超独占的な財閥支配体制の具体的な様相を見せる契機になった。 したがって、李在鎔の拘束は、財閥体制解体に向けた闘争の出口を開き、 これから財閥体制はどんな形であれ、急激な変動を体験するほかはない。

闘争は持続されなければならない

その他にも、今回のキャンドル抗争があげた成果は多い。 反面、それだけ問題も多いだろう。 だが生半可な評価には慎重でなければならない。 87年から現在まで、この30年間の社会運動に対する一部教授・研究者たちの非科学的かつ反実証的な評価が、 如何に大きな損傷を与えたのかを自省しなければなるまい。 まだ終わっておらず、するべきことも多く、時間もたくさんある。 ただ、とても孤独で難しい状況の中で着実に闘争してきた労働者民衆に感謝の念を表わしてほしい。

朴槿恵の罷免と共に公式的なキャンドル集会が終わり、 日常に復帰したキャンドル一部の惜しみと無念さが乱舞する。 広場は熱いのに、日常は冷たいということだ。 朴槿恵が退いからといって、すぐに新しい社会ができるのではない。 朴槿恵を退陣させるのに134日かかったことを考慮すれば、 まだ手もつけられない積弊の清算と社会の大改革は、あとどれほどかかるのかわからない。

春はやっと始まったばかりだ。 それで、これから2段階の新しい闘争が長い道のりを始める。 5月まで存続させることになった退陣行動は、新しい民主主義に向けたキャンドルの欲望と情熱を担保できるように、広場の政治を維持しなければならない。 週末集会が抱く限界を越える企画が必要だ。

大衆と組織が共に呼吸する努力が必要で、制度的な方式と実践的な運動を併行し、問題を解決しなければならず、 社会的な力に進んだキャンドルの力をさらに拡大・深化できるようにしなければならない。 そこはまさに自分が暮らす地域で、根を張っている空間でなければならない。 民主的で平等な新しい社会の建設が、日常での民主主義を確保する近道だ。

今までは運動陣営がキャンドルに背負われ、楽しく駆け続けた。 今は運動陣営が広場を維持する役割に忠実であることができるように自信を持ってほしい。 これからの方向は明らか。 必要なら組織労働者が先導になるのもいい。 特に民主労総は、彼らの力量を過小評価しないでほしい。 その程度の物的・人的基盤なら満ち溢れている。

87年以後の30年を振り返れば、われわれは支配階級と社会秩序が要求する分割の論理に努めて目を閉ざしてきたのかもしれない。 世の中の巨大な不正と不条理に正面から闘いながらも、現実適応力を失わないように努めて無視したのかもしれない。 未来を作る選択のまねをするコスプレが上手になったのかもしれない。 労働解放、民衆解放、人間解放を叫んだが、自己解放もできずに戦々恐々としていたのかもしれない。 この社会の矛盾は、中から破り、外からつつく「啐啄」を共にすることで克服される。 闘争しなければ権利を得ることはできない。 民主主義は「デモスの力」だからだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-03-22 16:27:06 / Last modified on 2017-03-22 16:27:07 Copyright: Default

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