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「3年間で30億」…30年、労組KEC支会の借金の重さ

「海千山千みな体験した内面の空白だが、損賠の前でできることは…」

パク・タソル記者 2017.01.03 14:33

[出処:チャムセサン資料写真]

「高校生の娘がアルバイトを始めたので、お小遣はいらないって。勉強嫌いでもないのに、早く分別がついた娘にとても申し訳ない」

中学生の息子、高校生の娘を持つハン・ジョンヒ(45)氏は、 慶尚北道亀尾市の半導体工場KECに1994年に入社した。 KECで品質保証(QA)を担当していたハン氏は、2010年に始まった使用者側の構造調整に対抗し、今まで戦ってきた。 組合員700余人が半分になり、また半分になり、バラバラになるまで粘ったひとりだ。 使用者側のあくらつな行為は6年経った今も重ね重ね広く知られている。 真夜中に職場閉鎖を断行して女子寄宿舎を侵奪して不法に監禁し、 動員された用役は悪態とセクハラを行った。 ストライキ撤回後、会社に復帰した後はストライキ参加の程度によって異なる色の服を着せる現代版ホロコーストが再演された。 労働者が学生でもないのに明心宝鑑(注:漢文の箴言集)を暗記させ、反省文を書かせた。 それでもKEC支会は亀尾、慶北、ソウルなど、全国の闘争事業場とともに闘い、 健康な民主労組であることを証明してきた。

組合員を挫折させたその日は昨年9月20日だった。 ソウル中央地方法院で、使用者側に3年間30億ウォンを返せという裁判所の和解調整に支会は同意した。 2011年、使用者側が不法な工場占拠を理由として提起した301億ウォンの損害賠償は、そうして終結した。 それさえ1審が進められた6年間、使用者側は損害賠償請求理由と金額算定についての適切な根拠を提示できず、 請求額が156億ウォンまで減額された。 その後、70億ウォンに減額されようとしていたが、裁判所の和解調整で3年間で30億ウォンを返すことに合意した。

「『まさか(賠償しろという判決が)出るか』とも思いました。 しかし実際に30億を返すという話を聞くと言えませんでした。 支会の説明会で話を静かに聞いていて、車に戻って涙が出ました。 私たちは5年間戦ったのに損賠で終わることになりそうで、 家族を思い出すと涙しか出ませんでした。 夫に電話すると深くため息をついて、家に帰ってこいと言いました。 家に帰ると『もっとベルトを締めろ』と言います。 私が工場占拠した時も、8日、9日とソウルに闘争に行った時も、ずいぶん助けてくれました」

30年、労組は私たちの血、汗、涙

▲KEC支会組合員の10月の給与明細。使用者側の仮差押え金額を制限月給は147万ウォン程度だ。[出処:金属労組慶北亀尾支部KEC支会]

10月10日の給料日に組合員62人は、最低生計費150万ウォンを受ける。 手取りが300万ウォンを越える組合員は50%の差し押さえで150万ウォンを少し越える金を握れる。 和解調整の前、使用者側は退職すれば民事上の責任を問わないと合意した。 その時に20人以上の組合員が辞めた。 だが和解調整の後、退職推奨は労組弾圧で処理され、もうそんなことはない。 62人は退職しても最後まで責任を取ることになっている。 だが10月に組合員2人が会社を辞めた。 問題は辞めた人の分まで残った人が返す分が増えるという点。

「一人ずつ出て行けば、残った人に転嫁されるシステムなんです。 3年以内に返せなければ、その後が心配です。 人なので一緒に戦う時は互いに仲間でしたが、 辞めて行けば良かった記憶は一つもなく、寂しい記憶しか残らないかと思います。」

3年以内に30億を返せなければ、労組は辞めた人に求償権を請求することになるかもしれず、心配が大きい。 一緒に戦った同僚に対して、会社を辞めること、辞めて行った仲間に最後まで責任を問うこと、どちらも精神的にとても苦しいことだ。

KEC支会が設立されてから今年で30年になる。 支会は正規職で作られ、労働三権を死守する健康で活気に満ちた労組であった。 2010年に賃金団体協議を要求すると、職場閉鎖で応戦した使用者側。 2012年からは老朽産業団地を高付加価値産業に変える事業である工団構造高度化などを進め、人員構造調整を始めた。 整理解雇の試みはずっと続き、労組はストライキで構造調整を防いだ。 30億の他にも、使用者側はさしたる根拠もなく業務妨害などを理由に 幹部に対して5億(1審5千万ウォン慰謝料判決、控訴中)、3千800万ウォン(1審850万ウォン判決、控訴放棄)の損賠を請求した。 2012年の整理解雇の時の労使摩擦でキム・ソンフン支会長は8か月拘束された。

組合員を狙った150億の訴訟の和解調整を受け入れたことについても、なぜ労組らしく戦わなかったのかという批判の声も強い。 組合は自ら「孤立」した話した。 キム・ソンフン支会長は、和解を選択した理由について苦しそうに口を開いた。 「当事者の私たちとは立場が違う人たちは、損賠の件に対する没入が違うでしょう。 70億の執行と戦う方が良いのか、意志ある裁判官による和解で30億を払う方が良いのかを選ばなければなりませんでした。 民主労組の熱望がある組合員たちです。 だめだという戦いをしながら勝ったりもしましたし。 自ら選択して、他人に残念だとも言わず、責任も私たちが負います。」

彼らと連帯する手を取って(損賠仮差押えを捉えよう!手に手を取って)のユン・ジソン活動家も、 支会の特性上そのような判断をするほかはなかったのだろうと説明する。 「半分が女性の事業場です。 韓国社会で女性労働者は賃金水準が低く、損賠仮差押えの圧力はさらに激しい。 実質的に家長ではない女性たちにとっては周辺の圧力も集中します。 労組の立場としては、労組をこわさないためには、さらに少ない金を皆で同じように分けあうという決定をするほかはありませんでした。」

憲法をあざ笑う損賠

損害賠償。 金で労働三権を締めつける資本と国家の手法は、着実に長い間、労働者を崖っぷちに追いやってきた。 損賠訴訟を受けた労働者は自ら命を絶つこともあった。 2012年、韓進重工業のチェ・ガンソ烈士がそうだったし、 2003年には斗山重工業のペ・ダロ烈士が焼身した。 手を取ってのユン・ジソン活動家は、損賠は憲法が認める労働権を破壊する方法だと強く批判する。

「損賠・仮差押えは資本主義社会において使用者に有利な条件を作ってやります。 ただ1審でも敗訴することになれば、労働者の財産権は会社が持っていきます。 損賠仮差押えの最初の属性は労組を壊すことで、二番目は人間性を踏みにじることです。 連帯責任で返さなければならない時、金額という重さを利用して離脱させ、 互いに裏切らせます。」

19代国会で発議された「労働組合および労働関係調整法」改正案(黄色い封筒法)は、 セヌリ党の反対で常任委で一回の議論しか経ることができなかった。 黄色い封筒法は、ストライキ後に損賠につながる悪循環を防ぐ法だ。 主な内容は、 ▲合法的な労組活動の範囲を拡大、 ▲労働者個人と家族の身元保証人にまで損賠を請求できないように制限、 ▲裁判所の決定に必要な損賠基準の提示、英国の事例を参考に労組の規模による損害賠償の上限額規定だ。

20代国会で通過させることを目的として現在、法制度改善委で準備している。 法案が通過しても、すでに判決が終わったところは遡及適用されないが、 労働者たちははやく法案を通過させて、労働の陰がなくなることを願っている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-01-05 13:29:59 / Last modified on 2017-01-05 13:30:00 Copyright: Default

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