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ユソン企業、労組破壊戦略になった労働者いじめ

[人権オルム]ユソン企業で行われたいじめ、創造コンサルティングが作り出した苛虐的労務管理

ミョンスク(人権運動サランバン) 2016.08.18 19:08

「今望むことは、深夜労働の廃止よりも、 いじめの状況が今すぐ中断されることです。」

ユソン企業でのいじめを調査した時、組合員が言った話だ。 深夜労働廃止で始まった戦いだが、今はそれを考えることもできない程、いじめによる苦痛が深刻だということだ。 金属労組ユソン企業支会(以下ユソン支会)は2011年、夜昼2交代を昼間2交代に変える団体協約を一方的に履行しない会社と正面から闘った。 会社は不法に職場を閉鎖して、用役チンピラらを動員して暴力を行使した。 彼らは組合員たちに消火器を投げ、鉄パイプを振り回して車でひき逃げさえした。 結局、労働庁の仲裁で労働者たちは工場に復帰したが、労働者たちの生活は以前とは変わった。 使用者側が作った企業労組の2労組に加入しろという懐柔と脅迫、差別、いじめは想像以上だったのだ。 労組破壊戦略としての職場内のいじめは非常に緻密で、多様な方法が持続的に使われた。 計画された組織的ないじめは悪い管理者が平職員を困らせる水準を数十倍凌駕する。

今年の1月から「ユソン企業のいじめと人権侵害社会的真相調査団(以下ユソン調査団)」が調べたいじめの状況は非常に深刻だった。 3月17日、故ハン・ガンホ労働者が死んだ後にしばらく中断していた調査活動が再開されて、 何日か前に量的調査の結果が出てきた。 量的調査は事前面接調査や集団面接調査過程で出た事例に基づいていじめの様相と対応、組合員の状態などについて質問し、 その応答を数値化してユソン企業のいじめを見せる。 いじめの対象が民主労組組合員だったため、調査の対象はユソン支会組合員に限定した。 企業が企画したいじめなので、いじめの加害者だった管理者や使用者側労組幹部も精神健康の毀損がある可能性が高いが、 調査不可能な領域なので除いた。 質問に参加した人は241人で、全組合員306人の78.8%だ。

前の調査の「KT職場内いじめ」でも「事務金融労働者職場内いじめ」と設計が異なる部分は、 苛虐的労務管理を問い、いじめへの対応の過程で肯定的な点は何だったかを聞いた。 ユソン企業で行われたいじめは日常的な職場生活で行われたいじめでなく、 ユソン企業と現代自動車、創造コンサルティングが共謀して企画した事件であり、 それに対する対応も労組を中心に形成されたという事実を考慮した。

[出処:人権オルム]

創造コンサルティングが作り出した苛虐的労務管理マニュアル

苛虐的労務管理の経験関連の項目は、組合員の集団面接と主要幹部の面接、資料調査など事前活動だった。 調査団が組合員にこの5年間でつらかった経験を聞いた時、 組合員たちは管理者が使用者側の労組と差別して、 毎日録音機と隠しカメラを突きつけるため自由な生活ではないと答えた。 その上、懲戒と解雇のため生活が不安で、告訴告発が多く、警察署と裁判所に行き来するのがつらいと答えた。

しかし組合員が経験したいじめは驚くべきことに(いや、驚くべきではないが)創造コンサルティングと企業が共謀した「労組破壊シナリオ」の内容と一致した。 創造コンサルティングが2011年に作成した最初の戦略会議文書である「ユソン企業(株)不法ストライキ短期対応方案」には、 会社の対応基調として徹底した採証と徹底した責任追及→刑事→民事(仮差押え)→懲戒→民事(損害賠償)を提示していた。 検察が押収捜索した文書とEメールにはさらに多くのことがあった。 「使用者側労組の組合員確保のための差別、懲戒警監、業務復帰後に管理可能な部署配置および観察日誌作成による密着監視、 昇進・人事差別、特別生産寄与金での差別などの賃金差別、 使用者側労組に対する残業、特別勤務、昇進の約束」等がある。

これを反映した苛虐的労務管理の経験についての質問項目は 「部署移動または退社強要、福祉恩恵(休暇、病暇、育児休職など含む)使用不可、 成果給および昇進不利益、不当解雇、出勤停止(停職)等の懲戒、 賃金カット、警告状、日常的な監視(トイレ統制、隠しカメラ、録音)、告訴告発、使用者側労組との差別(団体交渉先送り、賃金体系・業務配置差別、懲戒など)」だ。 応答結果は予想通り、非常に高い数値が出てきた。 部署移動または退社強要、福祉恩恵(休暇、病暇、育児休職など含む)使用不可を除けば、 ほとんど半分近い人が苛虐的労務管理を経験していた。 成果給と昇進での差別は50.9%、正当な事由がない解雇や懲戒は43.8%、ささいな理由でも正当な事由のない警告状は66.5%、 賃金カットは76.5%、トイレ統制、隠しカメラ、録音といった日常的監視は53.4%、 告訴告発は52.1%、使用者側労組との差別は82.9%だった。 特に賃金カットと使用者側労組との差別を経験したという応答が80%で圧倒的に高かった。

すでに労務管理が苛虐的だという言葉の中に問題があらわれている。 労組活動が出来ないようにしたり、民主労組を脱退して御用労組に加入させるために労働者たちを困らせる方向の労務管理が苛虐的労務管理だ。 そのような点で、いじめと苛虐的労務管理は非常に近い。 何を職場内いじめと定義するのか、何を苛虐的労務管理と定義するのかについての社会的議論1)がさらに必要だけが、 苛虐的労務管理はいじめを労務管理の技法とし、企業の意図性が明らかないじめだ。

労組破壊のための労務管理はいじめを基盤として、創造コンサルティングが一定に類型化した労組破壊マニュアルと対をなす。 「交渉拒否-団体協約解約-職場閉鎖-御用労組設立-民主労組組合員懲戒および解雇-告訴告発」は代表的な労組破壊マニュアルだ。 これに加えてユソン企業は民主労組脱退のための苛虐的労務管理を具体化したが、 要約すれば「御用労組との賃金および成果給、昇進差別、日常的監視、暴力と暴言、暴力誘発と懲戒および解雇、告訴告発」だ。

いじめを経験した労働者67%、監視と懲戒多く

いじめと関連した具体的行為をどれくらい経験したのかを20項目の質問項目で尋ねた。 「侮辱的言動、対人関係(除け者など)、業務関連のいじめ(業務過多および排除)、監視統制、身体的いじめ、性的いじめ」の領域だが、 参加者の67.6%がいじめを受け、ほぼ毎日いじめに露出していた人は4人のうち1人にのぼった。

このうち監視統制(月1回以上32.9%)と懲戒脅迫(月1回以上31.6%)が非常に高かった。 2回以上の懲戒を受けた組合員が83人にのぼり、1人は4回も懲戒された。 懲戒も使用者側労組と較べ、民主労組組合員に差別的に集中していて、 解雇、出勤停止、停職、譴責を受けた合計217人のうちユソン支会所属の勤労者が214人で、 使用者側労組の第2労組所属の勤労者は3人だ。 また、労組幹部がヒラ組合員よりいじめの経験頻度が高かったが、 3つ以上のいじめ行為の経験者は、一般組合員と比べて労組幹部が約15%高かった。

会社が労働者の観察日誌をつけて、日常的に密着監視をして、 監視は差別と暴力、警告、懲戒につながった。 例えば民主労組組合員が夜間勤務をしてうとうとすると管理者が駆け付けて警告し、脅迫するが、 使用者側労組組合員がうとうとしていれば何の制止もないというケースだ。

[出処:人権オルム]

司法的いじめが可能な企業偏向的な警察と検察の態度

もう一つ重要な特徴は、告訴告発などの法体系を悪用する司法的いじめが多いことだ。 4件以上裁判に回付された組合員が33人にのぼり、ある組合員は15件回付された。 ほとんどが不起訴処分だったり、裁判所で無罪判決を受けているが、大きな精神的圧迫を与えていた。 故人になったハン・ガンホ労働者の場合も11件も告訴されたが、このうち起訴されたのは2件だけで、あとは無嫌疑処分を受けた。 これが可能だったのは、警察と検察の企業偏向的な態度だ。 検察は、ユソン企業の管理者や使用者側労組による告訴告発はすぐに処理するが、 ユソン支会が行った告訴告発は遅かったり無嫌疑処分にした。 その上、検察は2011年5月18日以後、ユソン企業が行った不当労働行為に対しては一件も起訴しなかった。 ユソン企業代表理事の柳時英(ユ・シヨン)など7人に対する勤労基準法違反および労働組合および労働関係調整法違反については不拘束起訴した(ユソン支会労働者たちの裁定申請の努力で裁判がまた続いている)。 明らかに現代車の介入が行われた資料を入手しても、検察はそれを隠していた。

[出処:人権オルム]

生計は厳しくなり、人間関係は破壊

差別は懲戒だけでなく、会食、休暇、昇進、その上、賃金と賞与金で深刻だった。 特に管理者の恣意的な賃金削減(トイレに行った時間を除くなど)が多く、 出勤停止や告訴告発で警察や裁判所に行くため賃金総額が減ることになった。 5年間で賃金が減少したという回答が95%にもなり、半分以下に賃金が減ったという回答者も23.1%にもなった。 生活費不足と負債が増加し、生活するのが難しいという回答が99.1%に達した。

そのため社会経済的な条件と健康についての分野の応答も、 同僚との関係の悪化(54.3%)、家族関係の悪化(55.6%)、対人関係および社会活動の忌避(58.7%)が非常に高かった。 いじめの影響は工場内に留まらず、家族とそれ以外の人間関係を破壊していた。

労働者が把握したいじめの目的は労組無力化

組合員は5年間戦って、いじめの原因と目的が会社が企画した労組破壊戦略であることを知っていた。 いじめの原因として、会社の労務管理(81.5%)と人員削減といった会社の経営政策(51.1%)をあげ、 いじめの目的は「労組の力を弱めるため」、「労働者を会社の方針に無条件に従わせるため」と判断していた。 組合員もいじめの原因が私人間の対立や管理者個人の問題ではないと認識している。

また民主労組をやめない理由について、組合員たちは 「長期的に労働者の権利を守るため」が一番高かった(1位、2位の応答集計83.4%)ことからは、 長い間民主労組を守ってきたことで、労働者の権利意識も高まったことが分かる。 そのためなのか、いじめを経験したり目撃した時、これに労組を通じて共同で対応したり、 加害者に直接提起する割合が高かった(いじめを受けた場合、加害者に問題提起するが33.2%、 労働組合と対処するが32.9%、 いじめを目撃した場合に被害職員と共に対応するが32.7%、 労組に情報提供するが32.4%)は、 2015年の事務金融労働者職場内のいじめ調査と顕著な差を示している。

このように、いじめの状況に対して労組と共同で対応したことについて、組合員たちは「同僚の愛」と「労働者権利意識」が高まったことを肯定的な変化にあげた。 これはユソン支会労働者たちが6年間、会社の苛虐的労務管理と正面から闘う力がどこにあるのか、どのようにして力を作り出すかを推察させるような項目だ。 もちろん社会経済的健康指数(ウェルビーン指数)の調査で潜在的ストレス群が93%で、 このうち高危険群が2人もいるほど労働者の健康状況は悪い。 だがそれに勝ち抜く力をどこで見つけ、作るべきかを考えさせる。

いじめ行為中断と経営陣処罰の要求高く

労働者たちは、いじめ中断のための会社の措置としては懲戒、告訴告発の中断と使用者側労組の解散を優先順位に選び、 国家機関の努力としては「苛虐的労務管理に対する実態調査(労働部の特別勤労監督)」、 「経営陣処罰」を優先順位にした。 現在、不当労働行為で裁判が行なわれているユソン企業の柳時英(ユ・シヨン)会長に対する判決が労働者にとってどんな意味なのかがわかる。 先日、甲乙オートテックの朴孝祥(パク・ヒョサン)代表理事に対する裁判で、 裁判所は「故意的かつ計画的になされた点」、 「労組を瓦解させるために指図を受け、物理的な力を行使し、 今も混乱している状況である点」をあげて、 代表理事を法定拘束した時に、ユソン企業の労働者たちは歓呼した。

「いじめ-苛虐的労務管理-労組破壊」と続く輪を断ち切るのは、労組だけの努力では不可能だ。 企業と政府の努力が伴わなければならない。 検察が変わらなければならず、裁判所が変わらなければならない。 少なくとも憲法的価値である労組の破壊を目的にすることができないように提言し、 それに違反した企業主は厳重に処罰されなければならない。 韓国のように職場内のいじめに対する法制度がない現実で、 少なくとも行政当局と司法府の責任ある不当労働行為根絶の努力がなければ、いじめは防止できない。

1)職場内いじめの定義は国により異なる。日本の厚生労働省は同じ職場で行われる行為に限定しているがヨーロッパでは同じ職場だけでなく、業務に関係する外部-顧客、取引先担当者によるいじめを包括している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-08-31 12:28:52 / Last modified on 2016-08-31 12:28:54 Copyright: Default

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