本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:光州教育庁「言語障害での任用脱落は不当」判決に控訴
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1469875107636St...
Status: published
View


光州教育庁「言語障害での任用脱落は不当」判決に控訴、今後の争点は?

正当な便宜提供、職務遂行およびコミュニケーション能力の有無めぐり相変らず衝突

カル・ホンシク記者 2016.07.27 16:33

言語障害を理由として特殊教師任用試験を受験した脳性麻痺障害者が不合格と判定されたことについて、 光州地方法院が不合格処分を取り消す判決を7月7日に出した。 しかし光州教育庁はこうした裁判所の判断を不服とし、25日に控訴を提起した。

今回の事件がまた法廷攻防を予告した中で、 これまで法廷で障害者当事者と教育庁はどんな争点をめぐり争ってきたのか、 1審の判決文と当事者、教育庁の立場を通じ、整理してみたい。

障害者当事者の任用不合格は障害者差別...光州教育庁「上級審の判断を受ける」

朝鮮大学校師範大特殊教育科を卒業したチャン・ヘジョン(34歳、脳性麻痺障害1級)氏は、 2014年2月に光州教育庁公立中等学校教師新規任用試験を受験したが、 最終深層面接試験で面接官はコミュニケーションが難しいという理由で0点、不合格処分にした。 チャン氏は光州教育庁に再審の請求書を提出したが、2014年4月30日に最終的に棄却された。

そのためチャン氏は2014年12月31日、光州教育監に対して任用試験不合格処分取り消し訴訟を提起した。 チャン氏は面接で光州教育庁が言語障害を伴う脳性麻痺障害者に必要な便宜を提供しなかったと主張した。 光州地方法院第1行政府は7日、チャン氏の主張を引用して不合格処分を取り消し、 チャン氏が体験した障害者差別に対して教育庁が300万ウォンを賠償しろと判決した。

しかし光州教育庁はこの判決を不服とし、25日に控訴審を請求した。 光州教育庁訴訟関連の担当者は 「面接上、手続き上の瑕疵が認められて敗訴したが、 内部的に検討した結果、判決は受け入れ難いと考えた。 教育庁は上級審判断を受けようという立場」と明らかにした。

これに対してチャン氏は 「時間延長や専門担当ヘルパーの配置、コミュニケーション補助機構などの正当な便宜を提供しない状態で面接が行われた。 公告文でも教育公務員法に明示されていないコミュニケーション能力を評価項目に入れて0点をつけたのも、不当に不利益を与えた」とし 「高等法院に行っても勝てると思う」と立場を伝えた。

チャン氏の訴訟を代理した韓国脳病変人権協会は、 弁護団と今後の控訴審をどう進めるのか議論しているとし 「この問題が問題化され、チャン氏のような被害者が発生しなくなれば良い」と明らかにした。

スケッチブックしか提供しなかった光州教育庁、正当な便宜提供か?

今回の事件の主な争点の一つは、光州教育庁がチャン氏に非障害者と同等な条件で試験を受けられるようにしたのかということだ。 光州教育庁はチャン氏の要請により、面接試験の時に非障害者受験者には提供されていないスケッチブックを提供したという点、 面接は受験生が準備した回答をする方式で、別途の試験時間延長が必要ではなかった点、 チャン氏が教育庁に補助機器使用を要請しなかった点を上げて、 手続き上の瑕疵はないと主張した。 光州教育庁は試験前の1次筆記試験の時だけ1.2倍の時間延長の便宜を提供すると告示したが、 これは他の市道教育庁も同じだったと明らかにした。

しかし裁判所は光州教育庁の便宜提供が不充分だったとし、これは公開競争試験の公正性を害する行為だと判断した。 「教育公務員任用候補者選定競争試験規則」では、障害者が受験する場合に試験施行機関が障害の種類や程度により必要な便宜を提供するものと規定している。 障害者差別禁止法もまた試験、評価の過程てで正当な便宜を提供するべきで、 補助機器と時間延長などを例示した。 このような内容を見ると、光州教育庁の行為は障害者に対する間接的差別だというのだ。

他の類型の国家公務員採用試験での障害者受験生便宜提供水準と較べても、 手続き上の問題はないという光州教育庁の主張には疑問が提起される。 裁判所によれば、2015年度の国家公務員採用および外交官候補者選抜試験、 2016年度の大田広域市地方公務員公開競争任用試験では、 脳病変1級障害者に面接試験時間20分以内延長、 障害特性面接委員事前告知、専門担当ヘルパー支援、関連書式の拡大提供などの便宜を提供した。

政府も国家・地方自治体の公開採用試験で、障害者に対する便宜を強化する障害者福祉法施行令と施行規則を去る6月30日から施行している。 施行規則では、障害者に障害者補助器具の持参を認め、 試験時間延長、拡大問題紙および答案用紙の提供、試験室の別途配分など、 障害類型別の便宜提供を明示している。 もちろん光州教育庁もこのような法令に従う義務がある。

コミュニケーションが難しくて職務が遂行できない? 補助機器で補完できない

1審裁判で言及されたもうひとつの争点は、チャン氏の職務遂行能力だ。 まずチャン氏は深層面接試験の前に行われた授業試演では、60点満点で50.02という点数を受け、 職務遂行能力はある程度検証されたと見られる。

しかし光州教育庁はコミュニケーションが難しいチャン氏が特殊教育の過程で発生する突発状況に対処するのが難しいという立場だ。 チャン氏に対する最終的な不合格判断が出た当時、教育庁の関係者はビーマイナーとのインタビューで 「最終的な非適格判定は障害者に対する差別とは無関係に、 専門家が自閉・知的障害者を担当する特殊教師としての職務遂行は難しいと判断した」と明らかにした。

しかし脳性麻痺の女性として初めて海外の学位を受けたことでも有名なチョン・ユソン米国ジョージメイスン大学教授は、 補完・代替コミュニケーション(AAC)補助機器を使って無理なく授業を進められる。 2012年には卓越した教授法を認められ、大学内で「今年の教授賞」を受賞した。 最近、AAC補助機器の普及でチョン教授だけでなく、多くの脳性麻痺障害者もさらに便利に意思をやりとりできるようになった。 同じように、チャン氏もチョン教授のようにAAC補助機器を使って意思を伝え、教師の職務を随行できる。

もちろん教育庁は再審議の過程でチャン氏がAAC補助機器で本人の立場を説明し、障害者教員採用審議委員会はこれを考慮してもコミュニケーション能力が不足し、 最終的に不合格処分したと明らかにした。 しかし判決文では、委員会は9つの質問のうち2つの質問についてのみ、AAC補助機器の利用を認めた。 裁判所はチャン氏の職務遂行能力適格の有無を審議するために意見を聴取したが、 チャン氏に特別な便宜提供をしなかったと指摘した。 つまり、補助機器を使った時のチャン氏のコミュニケーション能力を光州教育庁はきちんと評価しなかったものと見られる。

チャン氏は「コミュニケーション能力が評価のすべてになってはならないが、 もしコミュニケーション能力を評価するとしても、 十分な便宜が提供された状態でなされるべきであった。 光州教育庁はこれを評価するいかなる代案提示もなかった」と指摘した。

上級審で光州教育庁がチャン氏がAAC補助機器で円滑に疎通できるのか、 きちんと確認しなかった点が再度確認されれば、 光州教育庁は結果的に障害者を差別したという非難を避けるのか難しいと見られる。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-30 19:38:27 / Last modified on 2016-07-30 19:38:28 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について