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借金と鬱憤のプルムウォン貨物労働者、249日間のストライキ終了

幹部3人復帰不可…内容を知らずに誠実履行確約書にサイン

パク・タソル記者/ジョンウン写真記者 2016.05.18 16:50

「犬の首輪をつけて戻るのか」

5月9日午後10時30分。 水西駅のプルムウォン労組座込場で殺伐とした悪態が飛び出してきた。 「乞食」「畜生」「ガソリンを担いで行ってやる!」

ストライキ249日目、貨物連帯忠北支部陰城鎮川支会プルムウォン分会と運送社との間の中間交渉が終わった。 ユン・ジョンス分会長は中間交渉で出てきた合意書暫定案を読み始めた。 プルムウォン貨物労働者たちは「誠実履行確約書」の条項についての説明を聞いて混乱に陥った。 昨年9月にストライキを始めた後、進展がなかった交渉だった。 4月になって労組は運送社と10回ほど会って協議を進展させた。 総選挙が終わった後には文言を微かに調整した。

合意書のサインだけが残っていた5月9日、プルムウォンの物流配送子会社で貨物労働者の元請社であるエクソフレッシュが出てきた。 労使が共に作った「誠実履行確約書」を労組との合意なしで一方的に作ると立場を変えた。 エクソフレッシュはストライキを始めても貨物労働者と直接の契約関係がないとし、後に退いていた。 そんなエクソフレッシュが「誠実履行確約書」の内容は公開できないから無条件にサインすることを要求した。 合意書には確約書の趣旨だけが短く言及されている。 復帰者がまた集団的な運送拒否をすれば、免責された損害賠償金を再請求するという内容だ。 組合員たちはその確約書にあらゆる毒素条項が入っていて、奴婢文書になるかも知れないと考えた。 「犬の首輪をつけて戻るのか」という自嘲的な言葉まで出てきた。

合意書は別として、この確約書をめぐる激論がやりとりされた。 数人の組合員は絶対に受け入れられないという立場だった。 反対する組合員たちは、こんな案を提示した使用者側に激しい反応を浴びせた。 他の組合員たちは、残念だが受け入れなければならないという意見を出した。 使用者側の提案を拒否し、交渉自体が混乱すれば現実的な代案がないということだ。

さらに大きな闘争動力が必要な状況だが、誰も決意は容易ではないように見えた。 ストライキ8か月間、借金と疲労が大きく溜まっている状態であった。 激しい風が吹く冬、汝矣島の鉄塔の上に労働者2人が68日間上がった。 全組合員がハンストを敢行し、プルムウォン本社がある水西駅の前で野宿座り込みもした。 これまで41人だった組合員は31人に減った。

エクソフレッシュ側に確約書の具体的な内容を問い合わせた。 エクソフレッシュは本社のプルムウォンに立場を聞いてみろといった。 本社の指示がなければ対外的な業務ができないようだった。 プルムウォンの広報チームは「確約書について共有されているものはないが、調べたところでは具体的な内容はないようだ」と明らかにした。

労組の要求は一つも反映されない合意案

昨年9月4日、プルムウォン貨物労働者たちはストライキを始めた。 41人、多くはない数だったが、これまで溜まった鬱憤でみんなが固く団結した。 彼らが経験したプルムウォンは常に職員が足りなかった。 貨物労働者たちは、運転以外の仕事も引き受けなければならなかった。
配送以外の品物チェックのような仕事までするので時間が足りなくなった。 長時間労働は居眠り運転につながった。 もっと早く物を運ぶために無理をして、肉が裂けた。骨も折れた。 仕事ができないほど事故がおきれば、貨物労働者たちは自分の金で用車(個人運搬車両)を呼んだ。 これではいけないという声があちこちから上がってきた。 使用者側に抗議して問い質す場を作ると、弁解して逃げるのが常であった。 労組は初めて完全ストライキを決心して、五項目の要求を差し出した。 ・車両塗装維持誓約書廃棄、・労使合意書誠実履行、・労組弾圧中断、・貨物連帯認定、・労災事故補償だ。

だが今回の合意案には労組の要求は一つも反映されなかった。 その上にストライキ開始後、1人当り6000万ウォン以上の弁償となっていた損害賠償額が1000万ウォンに減った。 ユン・ジョンス分会長など労組指導部3人は、復帰も拒否された。 運送社が履行すべき処遇改善と工程配車などの相互義務条項は「努力する」というような効力のない文句になった。 交渉に参加した貨物連帯のチェ・ギホ忠北支部長は 「プルムウォンの悪質な労務管理がそのままあらわれた」と評価した。 彼は「全国には死地に追いやられている貨物労働者が多いとし、 個人事業者と登録される労組法を修正しなければならない」と強調した。

残念な交渉結果だったが、組合員の多くは合意案を受け入れた。 当時、水西駅座込場にいた27人の組合員は賛成20人、反対2人、棄権2人になった。 毎月200万ウォンから多ければ400万ウォンまで払う大型車のローン、生計のために借りた借金で困難に陥った。 ストライキの前まで一日16時間働いたというキム某組合員は、家のガス供給が止められるほど窮乏した。 「8か月間、全く収入がありません。 ストライキの間の借金は2千万ウォンを少し超えます。 損害賠償もあるので、戻ればこれも払わなければならず…」。 だが彼は分会長が合意案と確約書を持ってきた時に、とても怒った。 「破ってしまうべきだ。 何も聞くなというのか。 何が分からなければ署名もできない。 それを賛否案件にするのか?」

ユン分会長は「運が悪い人々の悲哀」だといった。 彼はやっと口を開いた。 「一般労組とは違います。 車のローンもあって、私たちが勝っても金が出てくるわけでもありません。 私たちは個人事業者だから、他の労働者のように未払いの賃金を受け取ることもできません。 長引けば長引くほど損害です」。 実際に闘争の間、ずっと困難に直面していた。 個人事業者なのでまともな事務室もなく、組合員が全国に散って不買運動などを主導した。 路上で過ごす時間が増えるほどに金も出て行った。

プルムウォン労働者たちの闘争は終わらない

5月10日未明、交渉は終わった。 組合員たちは水西駅座込場を撤去し、すぐに陰城に帰った。 プルムウォン貨物労働者たちの闘争は一段落したが、プルムウォンの一方ではもうひとつの闘争が準備されている。 プルムウォンは春川工場の労働者を対象として就職規則の変更を試みた。 使用者側は解雇予告手当(通常賃金30日分)を支払えば解雇できるようにする条項、 延長勤務と休日勤務を会社の都合によって命じられるようにした条項など、 労組なら絶対に受け入れられない労働条件悪化規定を大挙挿入した。 プルムウォン春川労組は 「正当な事由なく解雇できない〈勤労基準法〉23条に違反する条項だ。 悪法中の悪法であるやさしい解雇を行っている」と主張した。

プルムウォン製品を作る工場の労働者、製品を全国に配送する貨物労働者は、プルムウォンというと歯ぎしりする。 消費者が買って食べるプルムウォンの「まともな食べ物」は、まともではない方法で作られている。(ワーカーズ10号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-05-23 20:42:45 / Last modified on 2016-05-23 20:42:46 Copyright: Default

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