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不法暴力デモは言い訳でしかない、政府がねらうのは「運動」

[人権オルム]民主労総を正照準し、運動と組織の消滅を企む

チョンノク(人権運動サランバン常任活動家) 2015.11.26 19:18

11月14日の民衆総決起以後、政府の対応は通常ではない。 警察の放水銃で人命が危険な状況なのに、一抹の謝罪もなく当日の集会参加者と44の主催団体に対する召還調査と押収捜索を全面化している。 政府が根絶するという不法暴力行為のほとんどは、車壁を押し倒すためのロープを引いたことと車両の毀損だ。 デモ隊との直接の衝突を防ぐためだとし、2003年に初めて登場した車壁は、集会自体を源泉封鎖する効果があるためいつも大規模な集会のたびに問題になった。 だが今回は、放水銃とからんで人を害する事実上の武器の役割を果たした。 集会の後、朴槿恵政権の謝罪までは期待しないが、人命が危険な状況での警察責任者の遺憾表明程度はあるだろうと考えていた。 ところがなんと1200人の警察人員を投入して捜査を行い、捜査のために労組員リストを出せと企業体に要求までして一方的に召還を始めた。 いつも朴槿恵政権は想像を超えていたが、今回の対応はあまりにも攻勢的でしっかり把握できなかった。 こうした混乱は24日の閣僚会議で行われた大統領の発言で整理された。

「特に、南と北が対峙する状況のわが国でこのようなことがおきたことは見過ごせないものであり、 全世界がテロで多くの死傷者を出している時にテロ団体が不法デモに混入し、国民の生命を威嚇することもある」
「今回こそ背後で不法を操縦し、暴力をあおる勢力を法と原則により厳重に処理し、 不法と暴力の悪循環を断ち切らなければならない」
「特に拘束令状が発行された民労総の委員長がデモの現場に現れ、 国全体をマヒさせられることを見せようと言って暴力集会を主導し、 大韓民国の体制の転覆を企んだ統合進歩党の復活を主張し、李石基(イ・ソッキ)前議員の釈放を要求する政治的スローガンまで登場した」

政府は当初、集会現場での警察対応、車壁と放水銃の違法性には関心もなかった。 車壁で集会を源泉封鎖した時から予想されていた車壁をめぐる攻防を不法暴力行為として烙印し、 その日の集会を組織した「勢力」をねらったのだ。 そして大統領はその勢力をテロ集団にたとえて1年前に解散させた統合進歩党に言及して意志を燃やした。

[出処:労働と世界]

政府の労働改悪に対抗する「勢力」民主労総

政府は8月6日の大統領の対国民談話で、今年下半期の政府の核心目標として労働改革を宣言した。 9月には韓国労総をほとんど脅迫して労使政合意を実現させ、現在は関連法律の改正について国会での処理を待っている。 政府の労働改悪の核心は、社長が勝手に解雇して賃金を削れるようにすること、 非正規職の使用期間を2年から4年に延ばすこと、 製造業をはじめとする産業全般に派遣労働を許容することだ。 政府が使用主の労働法違反を積極的に管理監督しない状況で、 労働組合等を通じて労働者が声をあげられない大多数の事業場では、不当解雇、不法派遣が横行している。 それでも民主労総に組織された事業場は、労働者たちの団結した力と法制度を通じ、最低限の権利を防御していた。 政府が目標にしている労働改悪は、まさにこのように労組に組織された事業場が作りあげた労使関係を押し倒すことだ。 不当解雇と不法派遣が一般解雇と合法派遣になるように法制度を改正し、 労働者たちを支えるものをなくそうとしている。 民主労総はこれを防ぐ戦いを展開しなければならず、政府も労働改悪の成敗はこの戦いにかかっていることを直感したのだろう。

朴槿恵(パク・クネ)大統領は10月27日の国会施政演説で、 労働改革は必ず今年中に行われるべきだとし、超党派的な協力を要請する。 11月10日の閣僚会議でも今年中に必ず労働改革立法を通過させるべきだとし、 法案が自動廃棄されれば国民が絶対に許さないと言って国会を強く圧迫した。 14日の民衆総決起を前にして発表された政府談話文は、労働改革の正当性を強弁しつつ、政府政策に反対する不法な政治ストライキだと民主労総を非難した。 そしてこの日の集会に参加する公務員、教師に対する脅迫で一貫した。 10万人が集まった総決起の後、24日の閣僚会議で朴大統領はまた国会を非難して、 労働法案の通過とFTAの批准を要求した。 集会参加者をテロ団体に例えてである。 12月、国会会期内の通過を目標として軍事作戦を展開するかのように民主労総の組合員と集会参加者をひっ捕まえているのだ。 1年前、政府は5人の国会議員と10万の党員がいる統合進歩党を解散させた。 院内で最も頑強に政府与党に対抗した「勢力」を解散させたのだ。 今や政府は80万組合員の民主労総に照準をあてている。 全教組と公務員労組に対する弾圧はその序曲だった。

人間らしく生きるために、人間らしく働くために

11月14日、ソウル駅では民衆総決起に参加する貧民・障害者大会が進行していた。 弘大で店を開いていたが建物主の横暴のおかげで貯めた金をすべてなくして追い出されたという人が言った。 「私は一生懸命働けば良いと思っていたのに違った、 それでもこうして集まる人たちがいて有難い」。 われわれは知っている。 政府による民主労総弾圧は、80万組合員の弾圧を意味するのではないということを。 人間らしく生きて働くために、声を上げて行動する人々を狙っているのだ。 運動を狙っているのだ。

警察庁のカン・シンミョン長官は、まさに12月5日に予告された第2次総決起で主催側が1次の時のように「闘争しよう」、 「世の中をひっくり返そう」といったスローガンや、 鉄パイプなどのデモ用品を準備してこいと言えば禁止通告するという。 鉄パイプはそうだとしよう。 今は闘争しようというスローガンと、世の中をひっくり返そうという叫びまで、 警察の許可がなければ「不法」になる世の中になっている。 日本は福島の核発電所事故以後に活発になった反核集会までは、 集会やデモはおかしなこととされる国だった。 多くの人々が共に大きな声でシュプレヒコールをあげ、自分たちの要求を訴える姿を見るのは容易ではなかったという。 ある日本の人が、集会をして何が変わるのかと質問したところ、 ある日本人の学者が集会をすることによって集会をしない社会から集会をする社会に変わったと答えたという。 福島以後に変わった日本の社会の姿そのものが途方もない社会の変化だったということだろう。 これは単に街頭での集会やデモだけを語っているのではない。 そうして街に出てくるまで、人々が集まり、討論し、行動することができる運動と組織の生成を語っているのでもある。 総決起以後、民主労総に照準を当て、政府は運動と組織の消滅を企らんでいる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-11-29 20:38:07 / Last modified on 2015-11-29 20:38:08 Copyright: Default

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