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盈徳核発電所住民投票、偉大な記憶と臥薪嘗胆

甘ければ飲み込、苦ければ吐き出してはいけない

チョン・ヨンギル記者 2015.11.24 18:05

投票は終わったが、戦いは終わっていない。 盈徳核発電所賛否住民投票は、住民の積極的な意思表明だという側面で成功したが、法律的な枠では失敗した。 だが民主主義というインクはかわけない。 民主主義は博物館の展示物でないのなら、いかに偉大な戦いだったのかを記憶すると同時に、臥薪嘗胆が必要だ。

11月11日〜12日に民間主導で盈徳核発電所誘致賛否住民投票が行われた。 1万8581人が住民投票は必要だと直接署名し、そのうち1万1209人(60.3%)が投票に参加した。 1万274人(91.7%)が反対投票をした。 しかし産業通商資源部、慶尚北道盈徳郡は、当初から住民投票には効力がないとし、結果を無視した。

そして盈徳の住民たちはまた苦しい戦いを始めた。 住民投票推進委は盈徳郡、産業通商資源部に核発電所誘致反対の意思を伝えた。 ソウルの国会に、世宗産通部庁舎に行った。 現与党を「背信」したことがなかった盈徳の郡民たちは、 韓水原の組織的な投票妨害行為と風雨を突破して投票場を訪れた。

これは実にすごいことだ。 個人主義が普遍化した都市なら「投票するかどうかは私の自由だ」が通じるだろうが、 盈徳ではそうではない。 前の家、お隣り、町内、親戚の姻戚まで細かく絡みあった関係網がある。 朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する慶北の高い支持率は、この関係網が一役買う。 このすべての障壁を突破して1万人を超える住民が投票所にきた。 盈徳の住民たちは、代議政治家を選ぶ「代議民主主義」ではなく、 自分の意思を直接表出する「本当の民主主義」を経験した。

▲盈徳核発電所誘致賛否住民投票管理委員会のノ・ジンチョル委員長は開票前にブリーフィングをした。 このブリーフィングでノ・ジンチョル管理委員長は12日19時の有権者と投票者数を発表し、取材陣が問題を提起した。2分程経った後、ある活動家がノ・ジンチョル管理委員長に状況を伝え、「投票終了と同時に投票人名簿を封印したので集計できなかった」と理由を明らかにした。[出処:ニュースミン]

しかし残念なことに住民投票法の効力を発揮する全有権者の1/3の投票率を超えられなかった。 満19歳以上の盈徳郡住民3万4432人(2015年9月基準)を基準とすれば投票率は32.5%だった。 住民投票推進委と環境運動連合は投票人名簿基準60.28%の投票率を記録したと祝ったが、ほとんどの言論は投票率を32.5%と報道した。 すると環境運動連合は言論に対し「やっと成功した盈徳核発電所誘致賛否住民投票をさげすみ、 核発電所を強行しようとする核マフィアの広告看板を自任しているとしか思えない」と批判した。

国家事務だとして住民投票を無視した政府と韓水原は、当然批判されなければならない。 しかし盈徳住民投票に連帯した環境団体は知っていた。 今回の投票は市民の意志を示す運動であり、住民投票と法律的な効力としての意味が混在しているという事実を。 新規核発電所予定地として告示された三陟と盈徳。 政府は三陟の住民投票も認めなかったが、半数を超える投票率を記録したためか、核発電所建設立地は延期された。 もちろん、郡守が積極的に動いたおかげだ。 望んだわけではないが、政府が住民意見を無視して盈徳に核発電所建設を強行する根拠になってしまった。

11月12日、住民投票管理委員会は当初開票の前に最終有権者数を発表しなかった。 20時基準ではなく19時基準の有権者と投票人(1万1073人)を公開して開票しようとした。 取材陣がこれに問題を提起したが、住民投票管理委員長もこれについてすぐに回答ができなかった。 開票場はしばらく騒がしくなり、2分ほど経って「投票が終わると同時に投票人名簿も直ちに封印したため、集計できなかった」と釈明した。 それで投票人名簿の再確認を始め、深夜12時になって最終有権者数と投票人数を発表した。 1時間に20箇所の投票所で136人が投票した。 投票所当たり平均約7人。 最終投票率を集計できない理由はなかった。 住民投票管理委も1/3の基準を超えられないという事実を考慮したと推測することができる。 これは住民投票推進委も事務室の壁に貼られた 「有権者数3万4432人、有権者数の33.3%は1万1466人」からもわかる。

9月基準の有権者名簿も11月には変動する可能性がある。 また、官庁が選挙事務に協力せず不在者投票を行うこともできなかった。 正確な有権者数の確定そのものが不可能だった。 だが法律的な枠の中での戦いを無視しないのなら、さまざまな方案を模索するべきであった。 盈徳郡民が住所を移転せず、仕事のために忠清道、全羅道に行くケースは多くないだろう。 蔚珍、浦項、蔚山、大邱にいる不在者が多数だろう。 これを準備することが全国各地から来た環境団体とボランティア活動家が自分の現場でできる運動だったかもしれない。 投票当日、盈徳に来たボランティア活動家の一部には、適切な役割を与えられなかった。

住民投票推進委に積極的に参加して支援した環境運動連合は、開票後に 「盈徳郡住民投票成功、圧倒的反対意見確認、政府は核発電所敷地告示撤回を…民主主義と地方自治の勝利を実現した盈徳郡民に尊敬と拍手を送る」と論評した。 それと共に「投票人名簿1万8581人のうち1万1201人が投票し、投票率は60.3%だった。 今回投票を実施できなかった不在者を除く総有権者の約41%に該当する」とした。 しかし不在者を除くという内容を開票前に明らかにしたのか。

▲韓水原だけでなく行政自治部も「住民投票には効力がない」という内容の宣伝ビラを大々的に配布した。公民館ごとに自治行政部長官名義で住民投票不参加を勧める内容の宣伝物が貼られた。[出処:ニュースミン]

住民投票そのものを認めなかった政府と韓水原が心労焦燥して盈徳住民投票反対活動を大々的に展開した理由は、1/3を越えないようにするためだった。 民間主導にもかかわらず、1/3を越えたとすれば政府と韓水原の態度はまた世論の袋叩きになっただろう。 そして多くのマスコミの態度も違っただろう。 予測可能なシナリオに場当たり対応ではなく、さまざまな場合を組みこんでいたとすればどうだっただろうか。 今回の住民投票の結果では盈徳住民たちは勝利したが、環境団体は実力の素顔があらわれた。

それでは終わりなのか? 違う。 臥薪嘗胆の要旨は、また戦うための姿勢を整えるためだ。 法律的な枠の中での戦いも、さまざまな方面で追求しなければならない。

現行の住民投票法律上、国家の政策に対する住民投票は、 中央行政機関の長が地方自治体の長に要求しなければならない。 事実上、やらないということだ。

では盈徳ではなく三陟に作れというのか? 大韓民国のどこにも新規核発電所は建設しないようにしようというのが脱核運動の要求だ。 憲法第72条は「大統領は必要と認められる時には、外交・国防・統一その他国家の安全に関する重要政策を国民投票に付する」と明示している。 核発電所は国民の安全と危機にとって重要であり、これはまさに国家の安全と危機の核心だ。 脱核を可能にしようとするのなら、全国あちこちの全ての核発電所新規建設可否を国民投票に付して制約を加えなければならない。

甘ければ飲み込み、苦ければ吐き出してはいけない。 住民投票は終わったが、核発電所新規建設政策を転換する戦いはまだ続いている。

付記
チョン・ヨンギル記者はニュースミンの記者です。この記事はニュースミンにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-11-25 02:11:49 / Last modified on 2015-11-25 02:14:39 Copyright: Default

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