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「新自由主義の1次被害者は財閥」?...おかしな労働市場改革

財閥改革が先 vs 労働市場改革が先...労働市場議論、立場の差大きく

ユン・ジヨン記者 2015.08.31 21:20

労働市場の構造改革をめぐる与野の立場の違いは相変らず大きい。 セヌリ党をはじめとする保守勢力は、低成長を克服するためには労働市場改革が必要だという点を力説し、 新政治民主連合を含む進歩改革勢力は、財閥改革が先だと対抗した。

8月31日午後1時30分、ソウル市汝矣島の中小企業中央会で、 国家未来研究院と経済改革研究所、経済改革連帯が共催する 「労働市場改革、どのようにするべきか」の特別討論会が開かれた。 保守と進歩が共に額を突き合わせ、労働市場改革のための解決法を模索しようという趣旨だった。 与野代表が並んで参加して、祝辞をし、 与野党の議員と保守、進歩改革勢力の学者が討論と発表者になった。 各陣営は労働市場改革の必要性に対しては一見共感しているようだが、 解決を摸索方法では相当な意見の差を見せた。

労働市場改革をめぐる両党の意見の差は、両党代表の祝辞からあらわれた。 金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表は 「国のための気持ちは保守、進歩陣営、みんな全く同じだが、 現在は陣営の論理に陥っていて国家発展の大きな障害になっている」とし 「息子や娘、壮年、下請、非正規職労働者の苦痛を減らすためには、 不合理な労働市場制度の慣行を正す労働市場改革が至急になされなければならない。 労使政委は大乗的な次元で大妥協を必ず引き出さなければならない」と明らかにした。

しかし文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表は 「賃金ピーク制で18万の青年雇用ができるという主張は、 雲をつかむような根拠のない主張だ。 賃金ピーク制が労働改革の核心であるかのように主張するのは無知で本質を無視している」とし 「710兆ウォンもの企業社内留保金を解いて青年雇用に投資するべきで、 労働時間短縮により雇用を分けなければならない。 労働者だけが苦痛を分担することはできない」と反論した。

「新自由主義の1次的被害者は財閥だ」
与党と保守陣営、労働市場改革で低成長の危機克服を主張

35歳以上の派遣と期間制使用期間を4年に延長し、 派遣許容対象の拡大政策に対する保守勢力の立場は確かだった。 「二歩前進のための一歩後退」だとし、不可避だと力説した。 20年以上労働市場政策を研究してきたという韓国技術教育大学のクム・ジェホ教授は 「新自由主義の1次的被害者は企業だ。 サムスン電子が何年か後にノキアのようにならないという保障はない」という言葉で話を始めた。 彼は派遣業種の拡大に関し 「20万人にもならない派遣(労働者)のために、企業が不法派遣(議論)で疲弊するのは深刻に受け止めなければならない」とし 「Aという会社に派遣され、期間が終わればまたBという会社に行くように、 (派遣業者を)正規職として働けるようにする方案が必要だ。 (労働市場改革は)二歩前進のための一歩後退だ。 今の時期をのがせば難しい」と強調した。

期間制の使用期間延長に関しては 「非正規職を完全になくせないのなら、機会を与えなければならない。 企業体は2年間一緒にやってきた人が出て行くといえば、投資をせず雑用だけさせる。 だが4年も一緒にいれば態度が変わるだろう」とし 「(業務能力が)よければ正規職化の努力があるだろう。 韓国には『情』という文化があり、『人之常情』という言葉もある。 非正規職期間を4年に延長すれば非正規職が減るという保障はないが、 正規職になる機会は与えなければならない」と主張した。

「やさしい解雇」と言われる低成果者の一般解雇制度を立法化すべきという主張も出てきた。 財界側の主張と一脈通じる要求だ。 経済人総連をはじめとする経済5団体は同日、緊急記者会見を行って、 企業が自由に低成果者の解雇をできるように法律を改正しろと要求した。 討論者になった李完永(イ・ワニョン)セヌリ党議員は 「業務不適応者と言われる低成果者に関し、 大法院は簡単に解雇してはいけないと判断した。 大法院の判例により、政府が転換配置などの解雇回避の努力を指針化するということ」とし 「事実、立法化するべきだが、立法化には時間がかかるので行政指針でしてみようということだ」と強調した。

賃金ピーク制に関しては「強制事項」と釘をさした。 李議員は「世代間共生のための賃金ピーク制は強制事項だ。 定年60歳を法制化し、必ず賃金体系改編などの必要な措置をすると明示している。 賃金ピーク制は自律ではなく、定年60歳と同時に行われなければならない」とし 「現在の争点は、賃金ピーク制を施行するかどうかではなく、 会社がこれを一方的に決めても効力が認められるかどうかという、 就業規則不利益変更要件緩和の部分」と説明した。

発表者として出てきたイス労働フォーラムのイ・ウォンドク会長は 「労働市場改革」が韓国社会の第3フロンティアだと強調し 「労働市場改革に対する広く強い社会的共感を作らなければならない」と主張した。 賃金ピーク制の導入については 「賃金の譲歩かどうかの定規ではなく、労働運動の大義を定規で判断しなければならない」とし 「賃金ピーク制が中壮年勤労者の雇用の可能性を高め、 青年の新規採用を助けられるのなら、 労働界は賃金ピーク制の導入を前向きに見なければならない」と忠告した。 合わせて労使政委が社会的大妥協をするためには、 期間内に優先課題の全てに合意するのではなく、意見の接近ができる課題から段階的なパッケージディール戦略を試みて、 2段階合意のためのエネルギー確保が必要だと説明した。

莫大な超過利潤をため込んだ財閥の改革が労働市場改革
「現存する法律を守るだけでも労働市場問題の相当数が解決」

しかし韓国労働社会研究所のキム・ユソン専任研究委員は、韓国の労働市場問題は 「正規職の過保護」ではなく「財閥の過保護」にその1次的な責任を見つけろと対抗した。 キム・ユソン研究委員は「中小零細業者の非正規職拡大と金持ち減税、高為替レート等を通じて吸い込んだ超過利潤が少数の財閥に集中している。 多数の国民が消費意欲を喪失し、内外の経済環境が不確かになって、 大企業は金を貯めこんでも投資する所を選べずにいる」とし 「儲かると判断しない限り、財閥が自分で投資したり雇用を拡大することはない。 労働市場の問題は財閥の過保護に1次的な責任を見つけなければならない」と指摘した。

また彼はその他の改革の前に、不法派遣と超過労働、最低賃金など、現存する法律さえきちんと守れば、労働市場問題の相当部分が解消されると見通した。 雇用政策に関しては「朴槿恵政権は公約で常時持続的業務を正規職直接雇用すると言ったが、 政府は公共部門だけに適用し、他の部門は放置している。 少なくとも余力がある財閥企業ぐらいは原則を守らなければならないのではないか」とし 「そうしておきながら、期間制使用契約を2年から4年に延長し、 55歳以上の高齢者と事務職に派遣制を全面許容するというのはおかしい。 派遣拡大職種と年齢に該当する人員だけで500万人を超える。 事実上、派遣勤労を普遍化させるということ」と批判した。

殷秀美(ウン・スミ)新政治民主連合議員も、財閥改革が青年雇用創出をはじめとする労働市場改革の解決法だと主張した。 IMF以後、政府が企業の負担を減らすことにオールインした後、 企業が雇用と投資を忌避したことで企業は高成長し、家計は低成長するという成長の二極化が深刻になったという指摘だ。 殷秀美議員は 「企業の負担を減らしてやっても、雇用と投資は増やすどころか、蔵を満たして役員の年俸を上げた。 IMF以前は1:1だった家計-企業所得増加率は1:12まで拡大した」とし 「その上、サムスン電子の社長の年俸とサムスン電子の清掃用役労働者の賃金格差は1対1000だ」と声を高めた。

続いて「財閥大企業3%の雇用割当制で約7万の雇用が毎年増加し、 財閥大企業が週52時間の勤労時間を遵守するだけで2万の雇用の純増が可能だ」とし 「財閥の法人税の原状回復と分離課税だけで20万の雇用創出が可能で、 財閥の社内留保金の1%を社会に還元するだけでも約23万の雇用を増やせる。 青年によい雇用を用意してやる第一歩は財閥の雇用改革」と主張した。

中央大学社会学科のイ・ビョンフン教授は、現在の労使政委交渉テーブルが政府政策の名分作りのための手続きとして利用されているとし、 新しい大妥協機構を構成することを注文した。 イ教授は「双竜車などの多くの事業場が整理解雇で自殺する労働者まで発生する状況で、 解雇を簡単にできるようにする政策を労働界は受容できない」とし 「野党と民主労総などが半分の労使政合意を認定、受け入れるかは疑問で、 その過程で再び対立が表出される恐れがある。 今からでも民主労総と青年、非正規職、野党などを包括する社会的大妥協機構を構成し、 改革の議論をすることが必要だ」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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