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キムジョ・グァンス、キム・スンファン、国内初の同性婚訴訟を開始

「訴訟提起、同性愛者らが体験する苦痛考慮すればむしろ遅れた」

カン・ヘミン記者 2015.07.07 11:19

「同性カップルの希望は、非難の中で孤独に暮らしたり文明の一番古い制度の一つから排除されるのではなく、 法の前での平等な尊厳を要求する。 憲法はその権利を彼らに保障しなければならない。」

6月26日、米国連邦大法院は歴史的な判決を下した。 同性カップルの結婚を「権利」として認めたのだ。 これで事実上、米国全域で同性カップルの結婚が可能になった。 その日、米国のホワイトハウスをはじめ、米国全域が「虹色」に染まった。

こうした姿が国内でも見られるだろうか。 つまり、韓国でも同性カップルが法的な夫婦になれるのだろうか。 その歴史的な第一歩を踏み出すために、韓国でも「同性結婚」の初めての訴訟が始まった。

主人公は2013年に公開結婚式をあげたキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏。 二人は2013年9月7日、清渓川で両家の両親と約2000人の市民が集まった中で、 大規模な公開結婚式を挙げた。 その後、彼らは12月10日、世界人権の日に西大門区庁に婚姻申告書を提出した。 しかし12月13日、西大門区庁は彼らの婚姻は民法が規定する「婚姻」に当たらないとして受理を拒否したが、二人はこれを不服として不服訴訟を提起した。 そうして国内初の同性婚訴訟の尋問期日が7月6日午後3時にソウル西部地方裁判所(イ・ギテク裁判長)で開かれた。 今回の訴訟のために公益人権弁護士の会希望を作る法(以下、希望法)、公益人権法財団共感など民主社会のための弁護士の会所属の約50人の弁護士が訴訟代理人になり、 訴訟代理人団の主任弁護士は希望法のリュ・ミニ弁護士が引き受けた。

▲2013年公開結婚をあげたキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏の国内初の同性婚訴訟尋問が6日午後3時にソウル西部地方裁判所で開かれた。非公開の訴訟尋問の後、記者会見で内容を知らせた。

#弁護団「訴訟提起、同性愛者らが味わう苦痛を考えればむしろ遅い感」

今回の尋問期日は家族関係登録非訟事件(当事者の対立がない非紛争性事件)なので手続き上、非公開審理で進められた。 尋問は約2時間30分の間行われ、申請代理人側の冒頭陳述、専門家の参考人に対する弁護団への尋問、訴訟当事者への当事者尋問、申請代理人側の最終陳述で進められた。

この日、建国大法学専門大学院のハン・サンヒ教授は 「民法の婚姻規定は、憲法の枠組みの中でその意味が獲得されなければならない」とし 「民法には生物学的な男性と女性の間の結合だけを婚姻と認めるという法律は存在しない」と指摘した。

続いてハン教授は「同性愛や同性間の婚姻の問題は、伝統や慣習法的に禁じたものではなく、そのような現象が全くないものと見なしてそもそも法規律そのものをしなかったため」とし、 多様な性的指向・性自認があらわれた今日、 「裁判所はこの事件を通じ、こうした法の空白を埋める判断をしてくれることを要請されている」と明らかにした。

最終陳述で公益人権法財団共感のチャン・ソヨン弁護士は 「同性愛者らが婚姻法の制度から完全に排除されることにより味わう苦痛と剥奪感を考慮すれば、 申請人らが提起したこの事件申請はむしろ遅いという感もある」とし 「裁判所は性少数者の問題をめぐる過去の誤りと偏見から抜け出して、 性少数者に加えられる不当な差別を是正する一方、 性少数者が受けられるべき法的保護の領域を解釈し発見する時代的責務がある」と強調した。

#キムジョ・グァンス「私が死ぬ前に私たちの関係を認めてほしい」と涙

訴訟が終わった直後の午後5時30分、 裁判所の前では今回の訴訟を準備した性少数者家族構成権保障のためのネットワークの主催で記者会見が開かれた。 訴訟当事者であるキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏をはじめ今回の裁判に参加した弁護団は、 胸に性少数者を象徴する虹色の裁判所のバッジを付けていた。 この日の記者会見でキムジョ・グァンス氏は涙を流しながら、これまでの心情を吐露した。

▲発言している間涙を流したキムジョ・グァンス氏

「昨年にキム・スンファン氏と台湾で開かれる映画祭に行きました。 そこで『リミッテッド・パートナーシップ(Limited Partnership、2014)』という米国のドキュメンタリーを見ました。 アメリカに住むゲイカップルが同性結婚して関係を認めさせるために、私たちのように訴訟をする過程を込めたドキュメンタリーでした。 二人は何と38年も法廷で戦いました。 2013年に米国連邦大法院は彼らが暮らす州で『同性結婚が不法だという州法は憲法に反する』という判決をしました。 それで彼らは38年目に合法的な夫婦になれたのですが、とても悲しいことに当事者のうち1人が2012年に亡くなったことをドキュメンタリーで知りました。 (亡くなる前まで)37年間、法廷で戦ったのに、結局関係を認められずに1人が亡くなったのです。

...それを見て、そのまま自分のことを考えました。 私も37年かかったらどうだろうか。 私は今年で満50歳です。 37年かかれば87歳になります。 ホモフォビアらが同性愛者は異性愛者より30年早く死ぬといいます。 根拠はないと思いつつ、あるいはその言葉が事実なら、私に残された人生はいくらもないかもしれません。 法廷で判事様にそう話しました。 頼むから、お願いだからと。 頼むから、私が死ぬ前に私たちの関係を認めてくれと。 37年もかからないようにしてくれと。 これ以上、私たちの関係を法廷から排除しないでくれと。」

これを見ていたキム・スンファン氏また目がしらを赤らめた。 キム氏は涙を飲み込みながら、裁判所の前向きな判決を期待すると述べた。 キム氏は「時間がかかっても、韓国が世界で22番目に同性結婚が合法化される国になることを、 前向きな判決が出されるように願う」とし 「結婚というものは、二人のエロス的な関係だけではなく、複合的で献身的な関係だ。 両親がそうだったように、私もやはりそんな関係を夢見ている」と伝えた。

民主労総のクァク・イギョン対外協力部長は最近、民主労総が同性配偶者に対する家族手当てを支払うことにしたという事実を知らせ、 自分もまた性少数者として味わった苦しみを吐露した。

クァク氏は「民主労総は最近、規約を改正した。 事務総局と地域本部事務局の活動家のうち、 同性配偶者に対する家族手当を払うことにした。 なぜなら性少数者がここで働いているから」とし 「人がいるのだから、制度を直して新しくするのは当然だ」と強調した。

クァク氏は「私の前のパートナーは、ずいぶん病院の世話になった」とし 「私が実質的な保護者であり、各種の治療を決めて金を払ったが、 病院は私にカルテを見せなかった。 死亡後の各種の手続きからも排除された」と苦痛を吐露した。

一方、この日もやはり性少数者嫌悪勢力が現れ、性少数者への嫌悪の声を吐き出した。 尋問が進められる間、裁判所の外では正しい性文化のための国民連合などの性少数者嫌悪集団らが 「西欧社会は歪んだ性文化を正常だと教える堕落の道に進んでいる」とし 「男嫁、女婿に反対する」と叫び、記者会見を行った。 性少数者団体との衝突を憂慮した警察は、性少数者嫌悪勢力を消極的に制止したりもしたが、 彼らの大声はこの日、訴訟を終えた人々が記者会見をする間続いた。

▲2013年に公開結婚したキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏の国内初の同性婚訴訟尋問が6日午後3時にソウル西部地方裁判所で開かれた。

▲裁判所から出るキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏.

▲性少数者を象徴する虹色の裁判所バッジを示すキムジョ・グァンス氏。この日、訴訟当事者のキムジョ・グァンス、キム・スンファン氏をはじめ、裁判に参加した弁護団は胸に虹色の裁判所のバッジを付けて裁判に参加した。

▲尋問の間、裁判所の外では正しい性文化のための国民連合などの性少数者嫌悪集団らが「男嫁、女婿に反対する」と叫び記者会見を行った。

付記
カン・ヘミン記者はビーマイナー記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-08 01:31:46 / Last modified on 2015-07-08 01:31:47 Copyright: Default

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