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複数労組4年、「どこまで労組破壊されたか?」

企業労組を前に出した労組破壊、終わっても終わらない

ユン・ジヨン記者 2015.07.01 16:57

2011年7月1日に導入された複数労組法が今年で4年をむかえる。 労働界の長い要求であった複数労組制度は、 果たして民主労組建設の拡大という労働界の願いを実現したのだろうか。 残念なことに、最初のボタンからかけ違えられた複数労組法は、 「民主労組破壊」という二律背反的な任務を遂行していた。 複数労組施行の初期、戦争のように押し寄せてきた民主労組破壊工作は、 それなりにしっかりしていた主要労組を一気に少数労組に転落させた。 組合員の多くが企業労組に移った民主労組の空しい空間は、 時間が流れてもすぐには満たされないでいる。

資本の立場としては邪魔ものだった主要事業場が続々と打撃を受けたが、 これで終わりではなかった。 民主労組破壊マニュアルは抑圧的な労務管理の万能キーになった。 門前の小僧は習わぬ経を読むというが、 複数労組施行4年で事業主らは誰もがマニュアルを取り上げた。 事業場に新しい労働組合が建設されるたびに親企業指向の労組も一緒に旗を上げた。 企業労組を前に出した事業主は、まるで競演するように多様な労組弾圧方式を駆使している。

[出処:チャムセサン資料写真]

複数労組4年、「どこまで労組破壊をしたか?」

最近発生した甲乙オートテック暴力事態は、企業労組を前に出した使用者側の労組破壊工作だった。 会社は昨年末、全機能職人員の10%を超える約60人の職員を新規採用した。 そして新入職員のうち53人は入社してから三、四か月で金属労組甲乙オートテック支会を集団で脱退し、 3月12日付で設立された使用者側主導の企業労組に加入した。 新入職員が企業労組に行ったのは、徹底的に事前に企画されたシナリオであった。 新入職員の一部は甲乙商社グループ系列会社のトングク実業の使用者側管理者らだった。 2人はトングク実業の労使交渉に使用者側関係者として参加した前歴さえあった。 その上、新入社員の中には元警察や特戦司令部出身の人物も布陣していた。 新入社員の年齢は平均40代後半だった。 彼らの任務は新入職員として偽装入社した後、企業労組に加入し、既存の労組を無力化させることだった。

新入職員として採用された使用者側管理者と元警察および特戦司令部の年俸は、 正式な職級体系下の新入社員年俸より1〜2千万ウォンほどが高かった。 金属労組甲乙オートテック支会は企業労組を維持し、金属労組破壊のための「手当て」だと批判した。 予想通り、彼らの任務は重大だった。 企業労組側の新入採用者たちは去る4月30日、金属労組幹部の出入りを止めるとし、 工場にバリケードを設置して暴力事態を誘発した。 金属労組幹部と組合員約10人が負傷し、このうち1人は脳骨折および脳出血、耳骨骨折で病院に運ばれた。

使用者側の関係者らを企業労組に加入させ、規模を大きくした後、既存労組を弾圧するという労組破壊工作は昨日や今日のことではない。 代表的な労組破壊事業場として知られるユソン企業の場合、2011年に攻撃的職場閉鎖を断行した後、同年複数労組法が施行されとすぐに企業労組を設立した。 だが金属労組組合員たちの離脱は多くなく、結局、会社は過半数労組を占めるために事務職を企業労組に大挙投入した。 金属労組大田忠北支部の関係者は「現場だけを見れば金属労組ユソン企業支会が過半労組だが、 会社が事務職を企業労組に加入させて過半労組を獲得できなくした」と説明した。

京畿道のインジコントロール安山工場も、最初から会社が労組設立に備えてきた所だ。 2009年に金属労組所属支会が闘争に突入すると、会社は職場閉鎖を断行した後、 研究職、事務職などを大挙企業労組に投入した。 こちらは生産職よりも研究職、事務職の人員の方が多い構造なので、 組合員の離脱がなかったのに既存労組は少数労組に転落した。 AVOカーボンコリアの場合、企業労組が規約を改正して組合員の加入範囲を次長にまで拡大した。 金属労組の組合員が増えたことに対する会社側の対策だった。 特にAVOカーボンコリア使用者側と企業労組は最近、大法院全員合議体の判決に反し、 賞与金を通常賃金に入れないという団体協約を作成した。 金属労組所属の支会が通常賃金闘争を行うと、使用者側は労組活動を理由として5千万ウォンにのぼる損賠仮差押えと労組幹部の告訴告発をした。

2012年労組破壊の影...その時、それらの労組は?

去る2012年7月、(旧)マンドの職場閉鎖と複数労組設立の前後、 旧マンド事業場で創造コンサルティングの「労組破壊シナリオ」が作動した。 大きな歴史を持っていた労組は続々とこわれていった。 労組破壊事件で社会が揺れてからすでに3年。 該当事業場の労働組合は過去の傷を克服し、労組再建を成し遂げたのだろうか。

忠北道清原郡のフヨウ工団にあるボッシュ電装は、 悪質労務法人として有名な創造コンサルティングの諮問を受け、労組破壊の手続きを取ったところだ。 ボッシュ電装は2011年11月から10か月間、創造コンサルティングに総額8億4千余万ウォンを送金し、労組破壊に熱を上げた。 22日には会社内に第二労組が設立された。 第二労組設立の一日前には金属労組所属ボッシュ電装支会長を解雇した。 金属労組に残れば整理解雇、成果給差別を受けるという噂が広がり、組合員の離脱が始まった。 現在、390人ほどの労働者のうち金属労組ボッシュ電装支会に所属する組合員は60人ほどだ。

労組破壊以後、現場は明らかに変わった。 物量が90%以上外注化されて仕事が減り、残業特別勤務も消えた。 雇用不安は深刻になった。 最近では会社の新規法人の設立で、下半期に大規模な雇用不安が予告されている。 金属労組大田忠北支部の関係者は「会社が最近新規法人を作り、大邱に工場の敷地を得た。 現在、ボッシュ電装工場で稼動中の設備を大邱工場に移す計画だ。 売り上げの3分の1程度が移動するものと見られる」とし 「今年の下半期から設備を撤収する計画で、深刻な雇用問題が発生すると見ている」と説明した。

マンドの場合、使用者側労務管理職員から仕事がないというウップン話も出てくる。 マンドは2012年7月27日に攻撃的職場閉鎖をして用役が投入された。 そしてわずか3日で企業労組が作られた。 半月後に既存の金属労組組合員の80%以上が企業労組に離脱した。 3年経った現在、企業労組の組合員は約2千人、そして金属労組所属マンド支部の組合員は約80人程度だ。 労組の関係者は「まったく労組に加入しない人も少数いる。 企業労組に行こうとしたが、向こうが受け入れなかった人もいる。 金属労組にいたという理由で審査し、加入を封鎖している」と説明した。

会社は再編された現場を固めるために、企業労組の組合員だけに特別激励金を支払うなどの差別をした。 個別交渉を労組間で差別する手段として活用することもした。 複数労組法の施行による交渉窓口一本化の問題は、制度の初期から少数労組の交渉権を剥奪するという憂慮をもたらしていた。 だが使用者側としては、あえて交渉窓口一本化をして過半数の交渉代表労組と交渉をするより、 個別交渉をした方がさらに差別を強める方法になる。 企業労組とは集中交渉で簡単に合意を引き出すが、 既存労組との交渉は回避するという方式だ。 個別交渉をする労働組合は、差別されても公正代表義務違反に対する是正申請権が認められない。

新生労組が設立されるたびに「親企業」労組設立

2011年7月1日に複数労組法が施行されてから約一か月間、使用者の支配介入による第二労組の設立が続いた。 雇用労働部によれば、当時1か月間で全国で322の労組が設立申告書を提出し、このうち韓国労総から分かれた労組は37.3%(120か所)、民主労総から分かれた労組は27.9%(90か所)と集計されたという。 民主労総から分かれた労組90か所のうち66%(33か所)は、使用者の支配介入により設立されたか、親使用者指向を見せた。 昨年発表された雇用労働部の労組組織現況資料によれば、 「複数労組制度施行以後(労組数の)大幅な増加傾向は、制度施行の初期に集中したと評価される」と明らかにした。

だが第二労組を利用した労組破壊は「マニュアル化」され、今まで新生労組弾圧の手段として活用されている。 単に金属製造業だけでなく、サービス、公共、保健、大学など、産業や業種を問わず第二労組を悪用する事例が続いている。 大学施設管理および清掃業務労働者たちで構成された公共運輸労組ソウル京畿支部所属労組のほとんども、親会社指向の第二労組の登場で疲弊した。 ソウル京畿支部の関係者は「現在、支部の集団交渉に参加している15の事業場のうち、第二労組がない事業場はKAIST程度」とし 「大学事業場には全体的に第二労組が作られ、新規事業場が組織されるとすぐ親会社指向の第二労組ができる」と説明した。

続いて彼は「大学事業場で組織された第二労組の約70〜80%は韓国労総所属の韓国鉄道社会産業労働組合(鉄社労)を上級団体にしている。 鉄社労では清掃美化側に労組の組織化拡張を試みている」と明らかにした。 民主労総所属の労組と鉄社労所属の労組との対立は、保健医療分野でも現れている。 4月上旬、民主労総保健医療労組を上級団体とするコリョス療養病院支部が設立されると、すぐに鉄社労所属の第2労組が出現した。 第2労組は短期間に過半数労組になり、交渉代表労組の地位を得た。

その後、病院と第2労組は少数労組のコリョス療養病院支部を交渉から排除した。 労組側は「病院は第二労組の出現を理由に対話の要求を拒否し、鉄社労にも何回か交渉代表労働組合として、 公正代表義務履行などのために対話を要求したが拒否され続けている」と明らかにした。 現在、病院側は労組機関誌を配布してプラカードデモをしたとし、 既存労組の幹部3人にそれぞれ3千万ウォン、合計9千万ウォンの損害賠償を請求した状態だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-03 01:04:33 / Last modified on 2015-07-03 01:04:34 Copyright: Default

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