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月城原発隣接地域「絶望の土地から抜け出したい」

再稼働反対の世論が強くてもまとめ役不在

ヨン・ソンノク記者 2015.07.01 13:29

原発最隣接地域の住民と会う(1)

慶州月城原発1号機が6月23日の午後2時を期して発電を再開した。 運営許可期間満了で2012年11月に発電を止めた後、946日ぶりに再稼働に入ったのだ。 現在「月城原発隣接地域羅児里・羅山里移住対策委」は、 陽南面の韓水原月城原発南門の前に座り込みテントを張って移住対策を要求している。 慶州地域は陽南面住民のほとんどが月城1号機の再稼働に反対したが、 これをまとめて組織する政界と市民団体活動が不足しているという指摘がある。

▲慶州市陽南面の月城原発直前でワカメを採る陽南面住民。[出処:蔚山ジャーナル ヨン・ソンノク記者]

原子力安全委員会は今年2月26日、月城1号機の再稼働を2022年11月20日まで許可し、 6月10日に再稼働を承認した。 再稼働をめぐり原発最隣接地域住民の陽南面では対立が強かった。

月城原発1号機が発電を再開する前に住民受容性の問題が起きた。 陽南面の住民は住民総会で、再稼働と補償金の受け取りに圧倒的に反対したが、 住民団体の東慶州対策委員会(陽南、陽北、甘浦)と慶州市は5月29日に韓国水力原子力の補償金提示案を受け入れた。 東慶州対策委は韓水原から1310億ウォンの支援を受け取ることに合意、 補償金の60%にあたる786億ウォンを東慶州陽南面、陽北面、甘浦邑に使い、 残りの40%は慶州市が使うことにした。 東慶州対策委は今年の3月にハンスト闘争までしながら 「われわれの生存権を守るために月城1号機の寿命延長許可を決して受け入れない」としていた。

再稼働と補償の合意に先立ち、陽南発展協議会は合意前日の5月28日に補償金の受け入れをめぐり住民総会を開いた。 その結果、22の村のうち反対17か所、賛成3か所、意見収斂不履行2か所と集計された。 住民の反対にもかかわらず、29日に住民団体代表が補償金受け入れと再稼働に合意し、多数は沈黙、 陽南面の住民の一部が移住対策を要求して座り込みを続けている。

「月城原発隣接地域羅児里・羅山里移住対策委(委員長キム・ジョンソプ)」は、 昨年8月から月城原発の前で座り込みをしている。 対策委は住民の生存権と移住を要求し、住民73人(家所有主だけ該当)から始まり、 今では53人ほどが参加している。 羅児里・羅山里の全所帯数は約350戸で、人数は約1千人だ。

キム・ジョンソプ移住対策委員長は、福島原発事故以後、 陽南面羅児里の不動産取り引きが急速に減少し、 刺身料理屋や海辺を訪問する観客数が減ったという。 対策委は他住民から「個人の欲で対策委を設けた」という冷たい視線も受けている。 だが対策委の住民の大多数が月城原発がある村から移住してきた住民で、 彼らは原発最隣接地域を「人が暮らせない絶望の土地」として移住を要求している。

対策委の住民は、月城原発と新月城原発が建設されてから20年ほどの間は建設工員を相手に部屋を賃貸したり食べ物の商売で収益を上げた。 今では建設景気が低迷しているが、国民の大多数が原発の危険を感じているため、 商売どころか不動産取り引きまで低迷して財産上の不利益を受けており、 韓水原と国家がこの責任を取れという立場だ。

慶州地域は市民団体の脱核運動が大きな力を発揮できずにいる。 月城1号機寿命延長を控えて「月城1号機閉鎖慶州共同運動本部」を設置したが、 緩い署名運動で終わり、声明書に団体の名前を連ねる程度の活動しかできないという評価だ。 慶州市議会は老朽原発の閉鎖要求決議案も採択することができなかった。 市議会議長は月城1号機の閉鎖に関するマスコミのインタビューで 「原発は専門家領域なのになぜ私に尋ねるのか、私は非専門家」という立場を表明した。 慶州地域の国会議員も「原発は専門分野と専門性が壊されないように見守らなければならない」という立場だった。

慶州環境運動連合のイ・サンホン事務局長は 「住民は、核発電所の初期建設段階は原発の情報がなかったが、 最近は原発の危険性を知っている。 だが慶州は廃棄場の誘致など、政界と住民が核都市を受け入れており、 企業が地域経済のために良いことをしているように見える側面もなくはないようだ」と述べた。 イ局長は「原発発展支援金は、まるで企業が地域発展のために社会的な責務を果たしているように見え、 政府や地方自治体が地域の社会福祉インフラ構築などを企業に依存する形態として現れているのは問題」といった。

原発周辺地域の住民福祉と生計対策、移住政策を住民と韓水原に任せるのではなく、 中央政府と自治体が解決すべきだという指摘だ。

「故郷を守ろうとしていた私が悔しい」

慶州市陽南面羅児里のクォン某(72)氏は、 月城原発1号機ができた場所で海女をして暮らしていた。 クォン氏は1975年に月城原発1号機ができた時、移住する家も作れない状態で追い出されるようにして出てきた。 同じ町で暮らしていた人々は、外地に商いに行った人もいて、補償をあまり受けられなかった人は農作業や漁業で生計をたてた。 当時は漁業補償は受けても海女の補償はなかった。

▲月城原発1号機の場所から追い出されてきたというクォン某氏。彼は故郷を守りたかったが今は悔やしくて故郷を捨てたいという。[出処:蔚山ジャーナル ヨン・ソンノク記者]

クォン氏は「故郷を守りたくて、原発の直ぐ前に引越したが、 今は私がとてもバカのように暮らしていたようでくやしい」という。 クォン氏の二人の息子と孫は今、陽南面で暮らしている。 クォン氏は「息子ぐらいは故郷から離れて暮らせばよかったが、 私の意地で陽南に住まわせたのが悔やまれるといった。

もうひとりの住民、キム・ヘジュン(72)氏は、 原発すぐそば羅山里に住んでいるが、そこはキム氏の高祖父の時から5代暮らしてきた所だ。 キム氏は「福島事故の前には蔚山の人たちが月城原発の前にある公園にたくさん遠足にきたが、今は見えない」という。 キム氏は孫たちにも陽南の村には来るなという。 彼は5代守ってきた故郷が原発と廃棄場で汚染されるということを福島事故以後に知った。

クォン氏は今「月城原発隣接地域羅児里・羅山里移住対策委」に所属し、 移住を要求している。

付記
ヨン・ソンノク記者は蔚山ジャーナルの記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-03 01:04:05 / Last modified on 2015-07-03 01:04:06 Copyright: Default

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