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差別を救済すべき人権委で「同性愛は罪悪」討論会

人権委、同性愛嫌悪団体に空間を貸与...反人権的な動き続くか

カル・ホンシク記者 2015.03.20 13:23

差別を救済すべき国家人権委員会(以下、人権委)で、 今度は「同性愛は罪悪」として特定の対象を露骨に差別し嫌悪する団体の討論会が開かれた。 該当団体の空間使用を認めたことについて、人権団体は人権委が最近、反同性愛指向の人権委員を選任したことに続き、 反人権的な動きを続けていると糾弾した。

ホーリーライフ、先民ネットワーク、健康な社会のための国民連帯など、 反同性愛な立場を標榜してきた宗教、保守指向の団体が3月19日、 人権委の学習室で「2回脱同性愛人権フォーラム」を開いた。 これらの団体は「同性愛嫌悪と擁護で排除される脱同性愛者の人権を保護する」という名目を掲げているが、 フォーラムで提起された内容は既存の反同性愛団体の主張とほとんど違わなかった。

▲ホーリーライフなど反同性愛立場を標榜してきた宗教、保守指向団体が3月19日、人権委学習室で脱同性愛人権フォーラムを開いた。彼らは同性愛が宗教的、倫理的に許されず、同性愛を治療すべき病気と描写する反同性愛的な立場を表わした。[出処:ビーマイナー]

差別を救済すべき人権委で性少数者嫌悪団体が堂々と討論会を開催

特にこの日、問題提起をしたホーリーライフのイ・ヨナ代表は 「行政府が性少数者政策に関心を持つようになったのは人権委が設置されてからだ」、 「2006年7月、人権委が差別禁止法を作るよう国務総理に勧告し、 差別禁止法の問題が始まった」など、 人権委が「親同性愛」的政策の先頭に立っているとし、直接的に人権委を攻撃した。

こうした人々の立場は、人権委法への非難につながった。 人権委法2条では「合理的な理由なく性別、宗教、障害、性的指向などを根拠に差別することは平等権侵害の差別行為(2条)」と規定する。 これについて先民ネットワークのキム・ギュホ常任代表は 「脱同性愛人権において一番問題になる国家的な課題は人権委法」とし 「人権委法から性的指向を削除する改正が絶対に必要だ」と強調した。

続いて彼らは「脱同性愛者は同性愛者よりさらに少数者」とし 「逆差別されている」と怒った。

これらの団体は、同性愛は宗教的、倫理的に許されない性的指向であり、 現在、人権団体と人権委、国際機構などが主張している性少数者人権は、 西欧の堕落した性倫理に基盤をおいていると反論した。 また「同性愛を認めれば家庭と国家が破綻する」、「同性愛擁護が左翼の革命の手段として利用されている」と説明した。 さらに同性愛を「性中毒」など、治すべき病気と描写して 「性中毒予防治癒法」、「性中毒予防治癒委員会」などの同性愛治療政策を提示した。 また、人権委が勧告した性自認・性的指向による差別を禁じる内容を含む差別禁止法についても積極的な反対の立場を表明した。

性少数者団体、当日に糾弾声明「人権委、嫌悪団体に座敷をあけ渡すのか」

事実上、特定の対象に対する差別を露骨に助長する内容の討論会が、 差別行為の調査と救済を業務とする人権委で開かれたわけだ。 これは、性少数者の差別を明示した人権委法にも反する。 これに伴い人権・性少数者団体は、こうした団体に空間の使用を認めたのは反人権的な人権委員の選任で議論を呼んだ人権委が再び性少数者差別を助長する行為だと怒った。

国家人権委を取り戻す共同行動(以下、人権委共同行動)のミョンスク執行委員は 「こうしたイベントが学習室で開かれるということは、 人権委が人権侵害的行為、差別行為を承認し、差別を助長するための正当性を付与するようなもの」とし 「どの国の人権機構が人権侵害イベントに場所を貸すか」と叱責した。

ミョンスク執行委員は「こうした行為は、 極右キリスト教勢力のチェ・イウ牧師ような人が人権委員に選任された脈絡と連結する」とし、 最近の人権委による反人権的な動きとの関連性を指摘した。

▲昨年11月、人権委取り戻す共同行動などが人権委の前で同性愛嫌悪と差別禁止法反対立場を表明してきたチェ・イウ牧師は人権委員に不適だとして記者会見を行い辞任を要求した。[出処:ビーマイナー]

韓国ゲイ人権運動団体チングサイのイ・ジョンゴル事務局長も 「性少数者の差別・排除を人権委が弁護するような状況」とし 「こうした内容が人権委でフィルタリングもされないことが問題だ。 人権委がきちんと任務を果たせないことを問題にせざるをえない」と批判した。

行動する性少数者人権連帯(旧同性愛者人権連帯、以下、行性連)も当日、糾弾声明を出した。 行性連は「これは性少数者嫌悪勢力が(今年の)9月を目標として人権委法の性的指向を削除するという妄言に力を貸すもの」とし 「社会的少数者の人権を保護すべき機関が性少数者の存在を否定し宣伝・扇動するイベントを容認する態度は、 人権そのものを否定するもの」と糾弾した。

続いて「人権の正しい意味を暴力で隠し、誤用する人々を容認する人権委の態度は、 人権はもちろん、委員会も否定してなくそうとする人々に自宅の座敷をさし出すようなものだ」とし 「一時は差別される社会的少数者にとって最後の砦のようなものだった人権委までが、 性少数者嫌悪を容認する空間に転落した」と批判した。

人権・性少数者団体は今後、 国際人権団体・機構に今回の事件を知らせ、糾弾署名を集める予定だと明らかにした。

このように事件が広がり、人権委学習室の貸与を担当する広報協力課の関係者は 「学習室の運営方案について今回の事件を契機に検討したい」とし、急いで鎮火に出た。 現在のところ「人権擁護と増進のために活動する市民団体」が 「人権関連の公開討論会および学術セミナー」をする場合には学習室の貸館を認め、 申請目的と異なる時は貸館を撤回することになっている。

続いてこの関係者は 「性少数者人権擁護や人権委の差別禁止の方向とは反するとは思う」としつつ 「しかし、これを拒否する根拠がない。 非政府民間団体の活動を支援し、協力を強化する次元で学習室を貸しているが、 概して形式的要件さえ満たせば承認し、イベントには関与しない」と釈明した。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-21 18:54:14 / Last modified on 2015-03-21 18:54:15 Copyright: Default

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