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LNJ Logo 韓国:世界で広がる経済危機・苦痛分担の論理
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金武星、福祉病克服事例のドイツ、老人には年金、子供にはお小遣、学生には無償教育

代表演説で言及したアジェンダ2010はドイツ式新自由主義雇用政策の決定版

チョン・ウニ記者 2014.10.30 22:11

セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表が10月30日の交渉団体演説で、 公務員年金改革などのための苦痛分担大妥協政治攻勢をまた展開した。 長い演説だったが、骨子は経済危機で労働者の苦痛分担が避けられず、 そのために公務員年金改革など労働者の犠牲が必要だということだ。

金武星代表は 今回も政府が苦痛分担を強要するたびに歌う福祉病恨み節に調子を合わせた。 しかし今回の節回しははるかに陰気だ。 彼の「経済危機苦痛分担」の論理は世界的に広がっている経済危機の費用を民衆に転嫁して、 さらに苛酷な新自由主義政策を押し付けている世界の右派政府と同じ姿だからだ。

ところで果たして金武星代表が見習うべき例に提示したドイツとオランダの 「苦痛分担による社会的大妥協」にわが国も従わなければならないのだろうか? 現地の社会団体は「失敗した政策」と呼びし、誤った処方箋扱いしているためだ。

「アジェンダ2010、完全に失敗した政策」...社会援助の対象が3倍に増加

金武星代表はゲルハルト・シュレーダー総理が率いるドイツ赤緑連立政権の「アジェンダ2010」は 「年金保険と医療保険改革で財政負担緩和、 企業負担の削減による市場経済機能の強化などに寄与した一方、 ドイツのすべての経済主導者が苦痛を分担し、 今日のヨーロッパ経済を率いる絶対強者の威容を誇っている」と話した。

しかしドイツ内では金武星代表のような評価は与党のキリスト教民主同盟・キリスト社会民主党連合と社民党一部の評価でしかない。 2003年に導入されたアジェンダ2010は、ドイツ社会の格差と社会的分裂を元に戻せない程深化させたと批判されている。

アジェンダ2010の失敗をいう人々は貧困を拡大させ、雇用不安定性を増大させたと提起する。 端的に、アジェンダ2010が施行されてから10年になる昨年、 ドイツ全国の貧困社会団体は全国貧困会議を開き 「アジェンダ2010は完全に失敗した政策だった」とし、 これにより貧困は社会の周辺の問題ではなく中心になったと批判した。

彼らは、ドイツの貧困水準は2006年から増加し続けていて、 2012年にはドイツ統一以後最高の15.1%に達した。 2002年に280万人が社会援助を受けていたが、2010年には760万人と約3倍増加した。 時間当りの雇用は2003年550万人から2011年740万人に増え、4人に1人が低賃金雇用で働き、新規雇用の2つに1つは契約職だ。

結局、失業の代わりにワーキングプアを量産するアジェンダ2010は、 ドイツ式新自由主義的雇用政策の決定版になった。

アジェンダ2010、社民党内からも批判

ドイツのアジェンダ2010に対する批判は、 財界や社民党内からも上がっている。

財界に近いドイツのファイナンシャルタイムズのトーマス・フリッケ首席エコノミストはアジェンダ2010施行の約5年後 「この措置は内需成長には相対的によくない影響を及ぼし、 社会福祉費の削減による消費の萎縮などの付随的な被害を生んだ」と指摘した。

ドイツの経済学者でジャーナリストのウイリー・ブラントと、 ヘルムット・シュミット総理の時の総理室計画官だった社会民主党のアルブレヒト・ミュラーは「嘘改革」という本で批判した。

シュレーダー総理時代の社民党議長と財政長官で、1999年にすべて辞任してその後左翼党の創党に寄与したオスカオ・ラフォンテーヌは昨年、ドイツのある言論とのインタビューで 「内需市場を強化して製品の品質と生産性を高めるなどの代案は常にあった。 しかし赤緑連立政権はその代わりに賃金を下げて社会福祉を解体する新自由主義的ドグマに従った。 これは偽りだったことが証明された」と非難した。

むしろドイツの経済成長は1995年から続く低賃金による輸出増大ためという分析もある。 これはヨーロッパ国家の競争力を落とし、現在のようなヨーロッパ経済危機のもうひとつの原因になったという指摘だ。

アジェンダ2010施行の2年後にドイツ総理不信任投票で官邸から追い出される

当時のゲルハルト・シュレーダー総理はアジェンダ2010の施行2年後にドイツ総理官邸から追い出された。 経済が悪化し、社民党は2005年自分の牙城だったノルトライン=ヴェストファーレン州の議会選挙でさえ惨敗し、 総理は不信任投票で椅子を投げ出し、 その後の早期総選挙で社民党の得票率は4.3%下がった。 当時、旧東ドイツ共産党の後身である民主社会主義党(PDS)は8.7%を取ったが キリスト教民主同盟・キリスト社会民主党の独走もこの時から始まった。

しかし問題は、ドイツ式の社会福祉モデルは現在の国内水準よりはるかに先んじているという点だ。 主な社会福祉水準がOECD最下位の韓国が苦痛を分担しようと提示するには、ドイツやオランダのモデルは適当ではない。 ある人はすでに国家が全額を負担するドイツ公務員年金式に改革されさえすれば、ドイツ式モデルに従うという。 そればかりかドイツは老人には年金を、子供にはキンダーゲルト(お小遣)、学生には無償教育と連邦教育振興法(学業支援金)等、相変らず多様な社会保障制度が運営されている。

事実、韓国が苦痛を分担しようと提示する先進国の事例はない。 最近、ドイツの進歩言論ターゲスツァイトゥングは週70時間働く韓国青年の姿を報道して驚いた。 年間7千ユーロ(100万円弱)を払って大学に通い、多様なスペックのために塾に通う韓国の青年はおかしいといった。

比較的豊富な福祉と安定した雇用を持つドイツの社会には、韓国は簡単に理解しにくいかもしれない。 もちろん、このような多様な福祉は事実、ドイツ政府がただで提供しているのではない。 2003年、ドイツ赤緑連立政権が破壊したドイツ無償教育制度をドイツの学生たちは約8年にわたる教育闘争で原状復帰させた。 金武星代表の言葉のように 「タダの福祉」はないということを闘争で見せたわけだ。 ではセヌリ党の苦痛分担の論理に対し、われわれはどう答えればいいのか? 「お前たちの危機は、お前たちが責任を取れ」と叫んだ南欧民衆のスローガンを思い出す。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-11-01 09:42:25 / Last modified on 2014-11-01 09:42:27 Copyright: Default

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