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環境団体も無関心、一人で本人訴訟

[インタビュー]原発周辺ガン発病者イ・ジンソプ氏

ヨン・ソンノク記者 2014.10.29 13:27

「偶然訴訟を準備しました。 私は訴訟を提起した時、反核運動に積極的ではなかったんです。 勝訴判決の日も記者や環境団体などは誰も来ませんでした。」

10月17日、釜山東部支院による 「原発周辺と甲状腺ガンとの関連性認定」の判決は大きくマスコミで報道されたが、 始まりは静かだった。

▲イ・ジンソプ氏は釜山障害者父母会事務室で訴訟の話を話した後、息子キュンド(22)とポーズを取った。(c)ヨン・ソンノク記者[出処:蔚山ジャーナル]

イ・ジンソプ氏(50)は2011年、偶然に健康診断を受けた。 当時、東南圏原子力医学院(釜山市長安邑チャドンギル)は開院記念として機張郡日光面と長安邑の住民のうち65歳以上の人に80万ウォンの無料ガン検診権を与えた。 機張郡と共に行う健康増進事業の一環だった。 イ氏は2008年に機張邑に引越して暮らしていたので検診対象地域に入っていなかった。 年齢も検診対象ではなかったが、原子力医学院は李氏に無料検診を受けろと連絡してきた。 イ氏は無料だというので健康診断を受けた。

イ氏は直膓癌と判定され、妻パク某氏は2012年初めに同じ原子力医学院健康診断で甲状腺ガンの判定を受けた。 イ・ジンソプ氏は東南圏原子力医学院でガン治療を受けているとき、古里原発周辺機張郡の人の多くがガン治療を受けていることを目撃した。

イ氏はおかしいと思った。 ガン検診には何十万ウォンもかかるのに、普通に機張邑に引越して暮らしている人にまで連絡した理由は何か。 古里原発ができてから30年経ったが、韓水原は医学院を通じてデータを取りたかったのではないかという気がした。

医学院や韓水原に「機張にガン発生者が何人いるか」とパク氏が尋ねても、彼らは教えてくれなかった。 東南圏原子力医学院には「放射線医学、ガン研究の臨床適用および実用化研究」を担当する研究センターがある。

「何かを知ったからではなく、体で感じました。 私がガン治療を受けていると、ガン病棟は町の人がとてもたくさんいるのです。」

イ氏は内心の疑問が強まり、ソウル大医大医学研究院原子力影響・疫学研究所が2011年12月に発表した 「原発5km内周辺地域女性の甲状腺ガン発病率は他の地域の2.5倍に達する」という調査結果に接した。 イ氏は2012年7月2日に訴訟を提起した。

10月17日に甲状腺ガン訴訟で勝訴したパク某氏(49)は1987年から、 イ・ジンソプ氏は1990年から機張郡長安邑で暮らしてきた。 二人は結婚して1991年には機張郡長安邑佐川マウルに住んで、 1995年からは機張郡日光面理川里で暮らした。 佐川マウルと日光面は古里原発から半径5〜10km以内にある。 二人の間に生まれた息子のイ・ギュンド氏(22)は1993年に機張郡佐川で1級自閉性障害という発達障害を抱いて生まれた。

イ氏は訴訟で補償金を受け取るつもりはなかった。 訴訟に勝つ可能性は高くなかったし、敗訴すれば訴訟費用を負担しなければならないというのも負担だ。 イ氏は夫人だけ訴訟(2億ウォン)をして、自分と息子は抜けるといったが、韓水原はこれを受け入れなかった。 韓水原側は訴訟を取り下げてくれと一度も李氏を訪ねてこなかった。

10月17日に夫人は勝訴し、イ氏と息子は敗訴した。 韓水原は直ちに控訴した。

「法廷で勝訴判決が出たが、判事が判決文を読む時、とても震えて信じられず、法廷から出てきました。 記者や環境団体など誰も裁判にこなかったんです。」

イ氏が訴訟を進めた2年ほどの間、世の中は訴訟に関心を持たなかった。 しかし判決以後、世の中は「真実究明」に動いた。 裁判所は「ガン発生が法的基準値以下の放射性物質放出によるものでも法的責任がある」と判断した。

イ氏携帯電話には共同訴訟関連の問い合わせが激しい。 ムン某氏は「私の兄弟が古里原発で働いていた時に、途方もない被曝で甲状腺ガンにかかりこの前手術をして、色々な病気で苦しんできたが、今度はたたかってみたい」と知らせてきた。

イ氏家族の訴訟で古里原発近隣住民だけでなく、 原発内で働く労働者の被曝問題も水面上にあらわれそうだ。

イ・ジンソプ氏は2007年から釜山障害者父母会で働いている。 イ氏は息子イ・ギュンド氏(22)と国土大長征「キュンドと世の中を歩く」をして発達障害者法の制定を要求してきた。 イ氏はこれから脱核運動と障害者運動を両方するつもりだ。

核発電所周辺住民の甲状腺ガン共同訴訟

核発電所(原子力発電所)の周辺で長い間暮らし、甲状腺ガンにかかったとすれば、 原発側に一部責任があるという裁判所の判決(2014.10.17)以後、 原発周辺住民と環境団体が集団訴訟人団を募集している。

釜山環境運動連合をはじめとする保健・環境市民団体が 「原発周辺地域甲状腺ガン被害者共同訴訟原告募集」を始めた。 彼らは核発電所放射能非常計画区域(8〜10km以内)内に3年以上居住した住民のうち、甲状腺ガン発病者共同原告団を集める。 原告申請期間は11月30日までだ。

10月17日、釜山東部地方法院民事2部(チェ・ホシク部長判事)はパク某氏(49・女・釜山、機張郡日光面)等一家族3人が韓国水力原子力(株)に出した損害賠償請求訴訟に 「韓水原は原告パク氏に1500万ウォンを支払え」という一部勝訴判決した。 訴訟当時、パク氏とパク氏の夫イ・ジンソプ氏(50)、息子キュンド氏(22)は各々甲状腺ガン、直膓癌、先天性自閉症を病んでいた。 この家族は古里原発周辺10km以内で暮らしていた住民だ。

パク某氏が1審に勝訴し、原発周辺で暮らして甲状腺ガンにかかったという市民情報提供と問い合わせが列をなす。 韓水原側は判決を不服として控訴し、1審判決を準備したパク氏の夫イ・ジンソプ氏は市民団体などとの共同訴訟に力を集める計画だ。

訴訟当事者だったイ・ジンソプ氏のFaceBookと携帯電話には 「兄弟の甲状腺ガンの問題で法的な問題を検討していた時、先生の記事に接した。 あるいは助言してもらえるかと思いメールアドレスを残します」などの問い合わせが続いている。

集団訴訟は釜山環境運動連合、慶州環境運動連合、ソウル大学校保健大学院職業環境健康研究室、 霊光核発電所安全性確保のための共同行動、核から安全に暮らしたい蔚珍の人々、 核ない世の中のための医師会、環境保健市民センターが共に準備する。

古里原発周辺住民甲状腺ガンの発生率は一般地域の8倍

東南圏原子力医学院と機張郡は共同で2010年7月から2013年年末までの3年6か月間、機張郡民健康増進事業で94人から97件のガンを発見した。 94人のうち甲状腺ガンは41人、胃ガン31人、大腸癌6人などだった。 機張郡民3031人は3年6か月間、原子力医学院健康増進センターで総合健康診断を受けた。 2009年から2013年の調査結果は原発周辺地域住民甲状腺ガン発生率が一般地域の8倍高く、1992年から累積した資料は2.5倍高い。

イ・ジンソプ氏は訴訟の間、「原発とガン発病の関連」を明らかにすることは容易ではなかった。 2011年12月にソウル大医大医学研究院原子力影響・疫学研究所が発表した資料の他にはなかった。 研究所は原発周辺住民のガン「発病率」と「発見率」をめぐり攻防を展開した。 同じ研究に参加した研究者は同じ事案について、一方は「関連がある」、もう一方は「関連がない」と意見が別れた。 韓水原もイ氏と同じように同じ研究チームが発表した資料を引用し、控訴に利用する可能性が高い。

付記
ヨン・ソンノク記者は蔚山ジャーナルの記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-10-30 04:16:28 / Last modified on 2014-10-30 04:16:29 Copyright: Default

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