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タバコ代爆弾、「福祉増税」論争に新しい局面開かれた

タバコ税・地方税値上げ...「増税なき福祉」に続く「庶民増税」?

ハ・グムチョル記者 2014.09.16 11:08

政府が来年からタバコの値段を2000ウォン上げ、 4500ウォンにするという案を出し、時宜外れの「増税」論争が触発された。

政府は9月11日「現在わが国のタバコの値段は2004年以来10年間凍結され、 タバコの実質価格が低下しており、OECD 34か国の最低水準で、 相当幅の価額上昇が必要だ」とし、 このような値上げ案を含む禁煙総合対策を発表した。

政府は今回の禁煙総合対策推進で、 タバコの価格を500ウォン上げた2004年よりに大幅な喫煙率低下の効果を上げることを期待し、 現在43.7%の成人男性の喫煙率を29%まで下げるという目標も提示した。

このように政府が表面的に打ち出す理由は「喫煙率減少」と「国民健康増進」だが、 本質的な意図は「税収確保」にあるという反論が提起されている。

ここ数日間、SNSを通じて広がったSBSハ・ヒョンジォン記者の12日付 「タバコの値段、3500ウォンでも5500ウォンでもなく、なぜ4500ウォンか」という記事は、 この問題を直接ねらった。 この記事は主に6月に租税財政研究院が発表した「タバコ課税の効果と財政」という報告書を引用し、 政府が名分と内心が違う政策を進めていると批判した。

記事はまず、タバコは中毒性が強い「価格非弾力的商品」なので 「タバコの値段が上がれば消費は減るが、短期的に税収は増える」という点を指摘し、 「(しかし)タバコがいくら中毒性があっても高すぎると吸わなくなったり吸えない状況が起きる。 価格上げ続けても税収が上がり続けるのではない」と指摘した。

租税財政研究院の報告書はタバコ価格の上昇幅による追加税収規模を推定するために、 タバコの価格を2500ウォンから少しずつ上げれば税収が増加して、 ある瞬間に頂点を打ち、減り始めるという。 まさにその頂点が、政府が提示した価格の4500ウォンだという。 報告書の推定によれば、タバコの値段が4500ウォンの時、税収は総額2兆7千億ウォンになる。

こうした疑惑は、政府がタバコの値上げを発表したことで翌日、 住民税と営業用自動車税などを大幅に値上げすると発表したことで、 さらに大きくなった。 安全行政部が9月12日に発表した地方税基本法・地方税法・地方税特例制限法など地方税関連3法改正案によれば、 全国市郡区平均4620ウォンが賦課される住民税は今後2年間で1万ウォン以上〜2万ウォン未満に大幅に上げられる。 また、法人の住民税は2年にかけて、自動車税は3年にかけて、 100%上げることにした。

▲政府はタバコの値段を来年から2000ウォンあげて4500ウォンにすると発表した。これと共にタバコの値段に国税の個別消費税も追加された。(c)KBS

「増税なき福祉」はやめて「金を払っただけ受けろ」?

こうして相次いで出された政府の発表に対し、直ちに「庶民増税」という批判が提起されている。 タバコ税と住民税、自動車税などは所得とは無関係に賦課されるので、庶民にさらに負担を与えるということだ。 特に今回の値上げ案が李明博政権と現朴槿恵政権の初期に断行された各種の「金持ち減税」措置の後に続くものだという批判が強い。

しかし他方では政権の序盤から「増税なき福祉」を掲げた朴槿恵政権が結局、 増税に向かったという点を指摘し、 あらためて福祉のための「増税論争」が必要だという主張も提起されている。

実際に朴槿恵政権は、大統領選挙の時から無償保育、基礎年金拡大などの福祉拡大公約を掲げ、 そのための財政方案は明確ではなかった。 その上、今まで出した対策とは「歳出構造調整」、つまり間違って使われている税金の穴を埋めるということだけだった。 これは「福祉財源拡大」とは問題の診断が全く違うものだった。

政府が昨年5月に発表した「公約家計簿」でも、歳入拡充の計画はせいぜい50兆7000億ウォンを提示したが、 歳出削減計画は84兆1000億ウォンを提示した。 それも提出された歳入拡充計画も直接的な増税ではなく、 非課税、減免整備および地下経済陽性化をするということだった。 また、歳出削減計画はこれまで保健福祉部・国民権益委員会などが率先して福祉受給者を道徳的に烙印してきた「不正受給者探し」の攻勢が主だった。

しかし政府の今回の発表により、議論の地形そのものが 「増税」側に大きく傾いた。 こうした雰囲気は保守言論がまず感知した。

東亜日報は9月15日付の社説「庶民層の負担が大きい『小細工増税』で福祉費用埋めるのか」で、 「総選挙と大統領選挙の時に女子供を問わず政界は甘い福祉公約だけを打ち出した。 無償給食・基礎年金・無償保育を国民にただでふるまったが、 今、本格的に請求書を突きつけ始めた」とし 「増税をしなければならないのなら、政府が正直に明らかにして、国民の理解を求めることが正道」と指摘した。

また、中央日報は同日「福祉費財源用意方案を公論化しろ」という題名の社説で 「増税に対する偏狭な解釈を打ち出し、便法でさまざまな税金を少しずつかけていくのは、 増大する福祉財源を確保する方法ではない」とし 「福祉費を今のようにずっと拡大するのか、増やすのならその財源を誰がどれほど負担するのかを国民に今、問うべき時だ」と指摘した。

続いて中央日報は「国民がもう税金を払えないのなら、福祉を拡大することはできず、 福祉を拡大するのならさらに税金を多く払わなければならないという点を国民に率直に打ち明けて、答を求めろ」と福祉論争の火をつけたが、 こうした言及は事実、一般的に福祉国家が追求する所得累進的な税金に対する主張とは距離が遠い。 これは福祉を放棄するのか、金を払っただけ受け取るのか、二つに一つを選択しろという圧迫で、むしろ「受恵者負担原則」の方に近い。

▲タバコの値上げを風刺するあるネチズンの文(FaceBookキャプチャー)

「『タバコの値上げ反対』の主張を越え、『社会福祉目的税』の導入を主張しろ」

今回のタバコの値段と地方税の値上げなどの所得逆行の租税方案も、 こうした主張と無関係ではなさそうだ。 政府は最近、福祉費負担で財政破綻危機に置かれている地方自治体の負担を減らすため、 やむを得ず取った「苦肉の策」と説明するが、 直ちに地方政府が反論を提起している。

全国市道知事協議会(協議会長 李始鍾忠北知事)が9月15日、 政府のタバコの値上げ計画について、 劣悪な地方財政を考慮していないとし、問題を提起した。

協議会は特に、タバコ税に国税である個別消費税を追加したことについて 「個別消費税はぜいたく品の消費を抑制するために導入された特別消費税の名前を変えたものだが、 庶民が消費するタバコに個別消費税を賦課するのは租税の性格上、不適切」とし 「地方財源の配分の割合を減らし、個別消費税の新設などの国家財源を増やすタバコ値上げに反対する」と明らかにした。

正義党健康委員会のキム・ジョンミョン政策教育チーム長も9月13日、 正義党ウェブサイト掲示板に書き込んだ文で 「今の政府の方案は、むしろこれまでMB政府の時期の減税と朴槿恵政権の増税なき福祉拡大による税収不足を埋める方便」とし、 増税の恩恵は地方税ではなく国税、中でも個別消費税(1兆7800億ウォン増加)に回ることになると見通した。

続いてキム・ジョンミョン チーム長は、政府のタバコの値上げに対する単なる「反対」の立場を越えろと強調した。 「無条件に反対」という立場は、タバコ価額上昇幅を縮めることに帰結するだけで、 結局、国税の確保を狙う政府の立場としては損をするものではないということだ。

そのため今、政府の値上げ案に反対すべき点は、 「値上げそのもの」ではなく、 これによって増加する税金の「用途」だという指摘だ。 キムチーム長は、タバコ価格上昇による税収確保は全額健康増進基金に使うべきだと主張し、 「(これを通じて)2兆ウォン以上の税金が確保されれば、 庶民層を対象とする医療費の支援や低所得層健康保険料の支援だけでなく、 公共医療インフラを整備するのに充分」だと強調した。

続いて彼は「福祉拡大による税収不足は、MB政府の減税政策を正常化することであり、 そして累進的な直接税に賦課する社会福祉目的税を導入する増税により解決すべきだということをはっきりさせなければならない」とし 「庶民増税と金持ち増税の対立構図は非現実的で、 単に増税への反感を強めるだけの育てる副作用があることを直視しなければならない」と強調した。

付記
ハ・グムチョル記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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