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主人がいないKTの構造調整、労働者が始めよう

[寄稿]「死の企業」KTから抜け出そう

チェ・グァンイル(前希望連帯労組KTis支部事務局長) 2014.04.15 16:07

最近、KTの大規模な特別名誉退職の問題が連日報道されている。 名誉退職の対象になった職員は、これからどうすればいいのか悩み、夜も眠れずに鬱々としているという。 政界さえ経営陣の誤りを責任転嫁としていると批判している。 名誉退職に同意した現在の労組は御用労組だとして不信任を受け、現場では再交渉をすべきだという声が高まっている。

KTに身を置く者として、今回の構造調整案の問題を指摘し、労働者が共感する結実が出てくることを望む。

[出処:チャムソリ]

まず今回の構造調整計画は、社会通念から逸脱した無理な意志決定だ。 勤労基準法第24条は「構造調整は、経営上の緊迫した危機を克服するために避けられないものでなければならず、 使用者がこれを避けるための努力を果たす必要があり、 合理的で公正な基準を定めなければならない」と明示している。 サムスン電子のCEO出身の黄昌圭(ファン・チャンギュ)会長は、就任演説で 「現在、KTが処している危機の1次的な責任は経営陣にある」と宣言し、KTを新しく変身させると大言壮語し、役職員に過去の誤った慣行から抜け出し、常識と法規に合うように業務に専念するようにと要請した。 しかし彼の言葉と行動は全く違う形で現れている。

まず落下傘そのものの人事だ。 サムスン出身の彼は、子会社のKTスカイライフに朴槿恵政権広報首席出身をつけ、サムスン出身の要人を迎え入れ続けて組織を掌握している。 なぜ、よりによってサムスン出身の人ばかりを連れてくるのだろうか? サムスンという企業はどんな企業なのか? 無労組経営で名高い非民主的企業だ。 全く使用者の意志決定だけで動く会社だ。 サムスンの企業文化と意志決定構造をKTに植え付けようとする隠された意図がある。 無労組経営がいかに恐ろしいか? 「月給さえ高ければ良い」という金銭万能主義に溺れていては、健全な人生を維持するのは難しい。 同僚を信じられず、顔色を伺い、きちんとものも言えない職場を考えてみろ。 また、チョン・ソンボク前副会長をはじめとする横領と背任にかかわった人々、いわゆる「李錫采(イ・ソクチェ)の人」を経営コンサルタントとして委嘱し、高い報酬を支払っている。 会社に害を与えた連中がなぜそのまま残っているのか?

前任の李錫采(イ・ソクチェ)会長の不正経営にかかわった役職員に対する人事措置も不十分だった。 上層部の役員を総入れ替えしただけで、実務部署の責任者級には責任を問わなかった。 こうした下級人事措置では経営刷新はできない。 顧客を最優先にすると言いながら、いざ問題が発生すれば無責任な姿勢で顧客に対するのがKTが今まで見せてきた態度だと顧客たちは訴えている。 個人情報の流出によるKTの対応の姿勢がこれを如実に見せているではないか! ヒラメ文化が蔓延するだろう。 「人事が万事」であることをよく理解しなければならず、これを一日も早く実践することが正道経営の近道だ。

また、公正で合理的な名分と基準がないことも問題だ。 他の通信会社よりも人件費の割合が高いという理由だけで、人件費を減らして経営を改善するというのは説得力がない。 KTは過去には有線中心の企業だった。 わが国の通信の歴史を振り返ってみると、こうしたサービスが国家経済に寄与するためには少なからぬ人員が必要で、今日のKTまで有形無形の寄与をした。 今は通信技術の発達により、経営改善のために人員削減が避けられないが、こうした職員の寄与を無視して無線中心の他の通信会社と較べ、断片的に構造調整を強行するのは名分がない。 無能な経営陣が赤字企業にして、「人件費を減らせば良い」という単純な考えで、説得力のない構造調整案が言論に報道されたので、内外から攻撃されるのは当然だ。 現経営陣は会社のために働いてきた職員を愛する気持が全くない。 自分の利益を追求するために職員を追い出す。 現場の意見を傾聴して、専門家の意見を聞き、自分の肉を削る気持ちで悩んだのかと訊ねたい。 彼らには生存権がかかっているのだ。 遊休人員が多いから減らさなければならないとすれば、こうなるまで放置した経営陣の責任はないのか? 今になって彼らは責任を回避して職員に責任を転嫁するのは本末転倒だ。

二番目に、KT現労働組合の執行部の不当な意志決定だ。 現労組はそのアイデンティティが疑われるような態度がこれまでに何度も見られた。 使用者側の「常時的整理解雇制」に合意して、組合員の身分保障を弱めて、横領・背任容疑で世論から袋叩きになった李錫采(イ・ソクチェ)前会長を擁護する姿を見せ、使用者側の残酷な労務管理による多くの組合員の自殺、事故死にも終始傍観してきた。 こうした態度を見ると構造調整案の同意は当然の手順だった。 果たして組合員の利益を代弁する団体なのか疑わしい。 名誉退職説明会で労組の支部長が組合員に構造調整案の背景を説明してひどい目にあったという消息を聞いた。

労組は憲法と法律が保障する勤労者の権利を正当に認めさせるため、社会的弱者の勤労者が作った団体だ。 ところが執行部は不当な意志決定で多くの組合員から抗議と批判を受けたとすれば、これに対する信任を問わなければならない。 したがって意志決定の過程を透明に公開し、事前に組合員の同意を受けていない構造調整案に対する組合員賛否投票をしなければならない。 労組執行部も労働者のひとりであり、同僚組合員と生死苦楽を共にしなければならない。 しかしそうではない態度を見せれば御用労組にならざるをえない。

三つ目、KTの残酷な労務管理はなくさなければならない。 こうした姿勢が今でも横行するのは、韓国社会が労働後進国だからだ。 世界経済フォーラム(WEF)の国家競争力順位で、わが国の全体順位は148か国中25位だが、労働市場効率性は78位、労使協力は132位を記録するほどに労働部門は後進的だ。 真っ先に改善されるべきなのに改善されない理由は、政経癒着だ。 なぜKTは「死の企業」という汚名を受けるのか。 いわゆるCPプログラムで労働者を困らせ、そのために昨年、KTグループ職員と58歳以下の名誉退職者のうち45人が死んだ。 KTは1998年に5184人、1999年に3672人、2000年に814人、2001年に1398人、2003年に5505人、2008年に550人、2009年に5992人を追い出した。 これほど多くの職員を追い出す企業はわが国にない。 今回の構造調整で犠牲者が出ないはずがない。 これを憂慮する報道の記事もある。 こうした事故が絶えず発生するのは、法と制度はあっても有名無実の現実だからだ。

▲2008年KTの分社当時の選抜条件[出処:ニュースミン]

KTは2008年10月に民営化を念頭に置いた構造調整のため、Ktisの分社を進め、「転出職員に分社後3年雇用を保障」し、「3年勤務後も持続的に勤務可能だ」と約束したが、彼らに任せたVOC(voice of customers)業務を本社に回収し、子会社のKtisと談合して整理解雇する詐欺を行った。 「2年以上働いた勤労者に対して使用者は勤労条件を不利にすることができない」という期間制法第4条2項を破り、「勤労条件の変更は使用者と勤労者間で合意して行われなければならない」という勤労基準法第23条4項にも違反している。 憲法が保障する「人間らしい生活をする生存権」まで侵害し、「苛虐的人事管理」という悪名がついた。

しかし、この事件について、司法府は一方的に不利益を受けた勤労者を無視した。 昨年の1審判決で原告請求を全て棄却した。 社会的弱者がくやしさを訴えられる最後の砦が裁判所だ。 ところが1審裁判所は法理念とかけ離れた判断をして、彼らは今でも苦しんでいる。 この事件は韓国社会において使用者が一方的に勤労契約を破棄し、勤労者の生存権を踏みにじった恥ずかしい事例だ。 昨年9月から7か月経った今もKTは民主党乙支路委員会と甲乙問題を円満に解決するという合意書に同意して、KTの旧態依然たる不誠実な姿勢で臨み、現在も全く実績がない。

そして上の事件に関して労組の不法集会を主導したという理由で、Ktisは勤労者を解雇した。 その後、地方と中央の労働委員会での不当解雇判定に従わず、被告は巨額の履行強制金を払って行政訴訟まで強行する非常識な態度を見せたが、KTは敗訴した。

最後に今回の構造調整に対し、KT職員が確固たる職業意識と主人意識を持って堂々と対抗してほしい。 今日の不幸な事態は、KT労働者の共同責任でもある。 誤った経営を支持したり、結集して追従したのもすべて間違っていた。 過去を恨んでも何の効果もない。 今は果敢な思考の転換と実践が必要だ。 この機会をのがせばKTの未来は暗鬱だろう。 永い歳月、青春を捧げて会社のために働いたと自負して、会社に不利益を与えた者たちがこれ以上頼ることができず、愛社心を持った職員が増える風土を造成するために堂々と立ち上がらなければならない。 これ以上KTがマスコミで良くない記事で報道されることは望まない。 特に死の企業という汚名がこれ以上出てこないことを望む。 CEOから職員、そして労組も過去から抜け出して、主人意識と愛社心を持って国家と社会に認められ、愛される企業になるように努力することを望む。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-04-17 04:20:21 / Last modified on 2014-04-17 04:20:22 Copyright: Default

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