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フッ酸流出近隣労働者、相変らず操業中

[ルポ]予想された事故だが安全措置なく... 「待避命令なかった」

チョン・ヨンギル記者 2012.10.08 18:42

10月8日の午前、政府は亀尾のフッ酸ガス漏出現場を特別災難地域に指定した。 漏出事故から12日目だ。農作物が枯れ、工場の建物が壊れ、近隣の住民と亀尾 第4産業団地の労働者が苦痛を訴えているなかで、遅い対処ではないかという 叱責が続いている。

事故当日(9月27日)、亀尾第4産業団地の現場に行った時には、これほど被害が 大きくなるとは予測できなかった。警察、消防人員をはじめ、約300人が投入さ れ、事故現場の収拾中だった。喉がつまって咳をしながら、別に問題ないと 感じた記者だけがフッ酸の危険を見過ごしたのではなかった。

▲ヒューブ・グローバル近隣工場。フッ酸で金属性物質はすっかり錆ついた。

▲事故が発生した近くの工場周辺の植物が枯れている。

ヒューブ・グローバル近隣工場労働者「待避命令もなかった」
苦痛を訴えても正常業務の工場...「労働部、休業措置しろ」

事故が発生した(株)ヒューブ・グローバルに近いM工場の労働者キム某(52)氏は 「事故が起きても工団内に何の避難命令もなかった。たちこめる煙で喉がつまり、 働いていた人が外に出ようといって避難した」と当時の状況を伝えた。続いて 彼は「警察もフッ酸について知らなかったようだ。水をやたらに撒いていたが、 それで状況がさらに悪化したようだ」とし、初期対応の不足を指摘した。

同じ工場で働く労働者のパク某(44)氏は「事故翌日は停電のため操業できなかっ たが、連休が終わった2日から仕事を始めた。ところが工場裏手の植物がみんな 枯れて、工場壁面のアルミがすっかり腐食した」とし「今でも働いていると、 胸がつまる感じがする」と話した。

事故現場から50m離れたK業者の社長ソン某(56)氏は「アルミがみんな腐食して、 被害額は1億5千万ウォンだ。事故が起きた時、外にいたが、職員が工場から出 られなかった」とし「妊娠している職員もいた。接近を禁止され、6時に直接車 を運転して入り、職員を外に避難させた」と話した。

彼は「工団内で誰も避難命令は受けなかったという。亀尾市長はみんな清掃し たというが、石灰を使って清掃していない。水で洗い落としたのも、私たちが 直接消防署に要請した時だけだった」と話した。

労働者と会ったのは5日の午後だった。当日、午前から政府の災難調査団が調査 活動を始めた。枯れた農作物と苦痛を訴える住民の移住対策の要求に、「人は 安全だ」という調査団長の言葉をただ信じる人はいなかった。住民の苦痛を無 視するのも問題だが、事故後に近隣の工場は何事もなかったかのように操業中 だった。労働部は何の措置も取らなかった。

7日午前までに韓国産業団地工団大慶圏本部に集まった被害状況資料を見ると、 77社が177億1千万ウォンの被害を受け、労働者1359人が苦痛を訴えて治療を受 けたことが明らかになった。ティピエムテクの労働者は入院治療中であること が明らかになった。また、工団内の警戒照明1万7906本がフッ酸の被害を受け、 千台以上の車両も被害を受けた。

[出処:韓国産業団地工団大慶圏本部]

被害を申告した企業のほとんどは事故現場から1kmの範囲に密集しているが、 最高で2.25km離れた業者も被害を受けたことが明らかになり、フッ酸漏出の 被害が思ったより広いことが確認された。

7日晩、民主党の張ハナ(チャン・ハナ)議員は事故現場近くの旭硝子の工場を 訪問し、労働者の被害実態を調べようとした。だが入ることができなかった。 労働部の職員が妨害したのだ。

そのためシム・サンジョン議員は「住民ばかりか周辺企業の労働者の健康も深刻 に威嚇している」と指摘し「近隣企業の労働者に対する健康診断を全面的に実施 し、近接企業の業務中止命令も検討しなければならない」と話した。

フッ酸取り扱い管理実態は危険千万
安全教育は宣伝ビラへの署名で代替、労働者の安全は後まわし

今回のフッ酸ガス漏出で、フッ酸の危険が広く知られた。民主労総亀尾支部は 声明書で「フッ酸ガスの漏出は偶然の事故ではない」とし「労働部がしてきた 不良管理と監督から見て、こうした事故が起きないほうがおかしい」とし、 労働部の無責任を批判した。

フッ酸を扱う(株)KECの労働者が伝えたフッ酸の管理実態は危険極まりないもの だった。10年間フッ酸を扱ったというキム某氏は「安全教育は会社が配る宣伝 ビラへの署名で代えられ、保護装備も個人に支給されず、たいていは共用のも のが置かれていた」とし「有害物質で怪我をしても水で洗浄したり個人が自分 で診療を受けてきた」と話した。

彼は「安全教育を実施する管理者も、どんな危険があるのかきちんと知らない ようだった。初めて作業した時は、息が詰まってきた。ある同僚は、フッ酸が 指先に付いて爪が剥がれた」とし「危険物質であることを知りつつも、会社が 指示した時間内に終わらせなければならないので安全規則を遵守して作業する ことができなかった」と話した。

金属労組KEC支会によれば、半導体の工程でフッ酸は必ず使われる。だが、安全 措置と待避要領の教育も、書類だけで存在する問題でしかなかった。このため 民主労総亀尾支部は「問題が起きれば労働者が保護装備をきちんと着用せず、 安全規則を遵守しなかったというが、問題は労働者の安全より生産性を優先さ せる会社」と批判し、労働部の管理監督不良を指摘した。(記事提携=ニュースミン)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-10-09 16:37:42 / Last modified on 2012-10-09 16:37:43 Copyright: Default

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