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MeToo 1年…職場に制度ができて雰囲気も変わった

民主労総、380事業場を対象にMeToo以後の現場変化アンケート調査を進行

パク・タソル記者 2019.04.10 21:16

この1年間の活発なMeToo運動で、 性差別、性暴力の現場だった職場にも少なからぬ変化があったことが明らかになった。 セクハラ・性暴力が法的に処罰される犯罪で、 女性の人権と労働権を侵害する行為だという認識が 多くの職場に広がったのだ。 特に積極的に制度が作られた職場では、 性暴力の対応に実効性がうまれて組織の雰囲気も改善された。

民主労総は4月10日午後、フランシスコ教育会館で 「#MeToo運動と一緒にした1年、変化と展望…民主労総組合員意識調査発表&組織文化革新討論会」を開き、 労組の幹部と組合員を相手に進めたアンケート調査および面接調査の結果を発表した。 民主労総女性委員会が昨年11月から行ったアンケート調査には、 民主労総の15の加盟組織、地域本部直接加入労組を含み、 合計380の事業場の労組幹部と女性組合員766人、 男性組合員1118人が参加した。 面接調査には労働組合幹部9人が参加した。

翰林大社会学科のシン・ギョンア教授はこの日、 アンケート調査と面接調査分析で、 性暴力の予防と処理で最も必要な政策課題は「制度」だと強調した。

シン教授は 「調査の参加者はこの1年間、職場内性暴力事件の処理で事件の究明はある程度なされているが、 2次被害を防いで被害者支援と加害者処罰を適切に進める手続きと制度を備えることを今後の課題だと指摘した」とし 「一回的な事件処理を越えて、 組織内のセクハラ・性暴力を予防して処理するために制度を整備して、 構成員が実際に使えるように実効性を高めていくことが最も重要だ」と明らかにした。

労働組合幹部9人を面接調査した結果はMeToo以後の 肯定的・否定的な変化を具体的に込めた意味のある調査に選ばれた。 まず注目できる流れは、MeToo以後の公企業、公共機関での変化であった。 公企業の場合、経営評価とCEO評価等を通じてセクハラ予防努力を指標化し、 企業の成果評価に反映している。 このような手続きの改善により、 性暴力事件に対する問題提起が増加したのも有意味な変化だ。

面接に参加したA公企業労組の女性幹部は 「(性暴力処理手続きおよび予防教育などの)手続きができて、 実質的に職員が救済を要求する頻度が増えた」とし 「被害者が要求する救済措置が実際に推進されて、 以前のように『問題を提起しても不利益しかない』というような認識は ずいぶん減るだろう」と話した。

「MeToo」が「セクハラ」よりもはるかに強い意味に解釈され、 公務員組織の雰囲気と会食文化の改善にも役に立っている。 「課長さん、これはセクハラです」よりも 「課長さん、これはMeTooです」のほうが強い力を持つようになったのだ。 自然に日常的な関係で言葉と行動に気を付けるようになり、 会食文化も2次会に行くことが減った。

このように全面的な変化ではないが、部分的な変化を経た事業場では、 主に労働組合がセクハラ・性暴力事件に対応してきたという特徴を見せた。 学校、病院、金融産業の三加盟労組は普段ジェンダー問題に敏感に対応し、 女性委員会の活動が著しい所だ。

この日の討論会では事務金融労組のセクハラ予防教育コンテンツが注目された。 事務金融労組では同性間のセクハラが激しかったが、 労組がセクハラ禁止ステッカーを配布して、 職員によくセクハラをする人の机に貼った結果、 多くのステッカーを貼られた職員がこれを自然に問題だと認知できるようになったという内容だった。

この事例を紹介したE事務金融労組の女性幹部は 「ひとり机に10枚貼られているのを見た。 自然に『気を付けろ、君はセクハラしてるじゃないの」といった形で話うことができた」と証言した。

バックラッシュはどこにもある

MeTooが職場にもたらした肯定的な変化もあったが、 女性嫌悪コメント、ペンス・ルールなどのバックラッシュが多様化する傾向も現れた。

シン教授は 「性暴力事件が適切に処理されてセクハラ予防教育が強化された事業場もあるが、 性暴力に対する問題認識は強まったのにこれを口実で女性を排除したり そればかりか嫌悪行為が増えた事業場もある。 また相変らずセクハラ・性暴力に対する問題提起が難しく、 性差別的制度と文化も強力に続いている事業場もある」と説明した。

MeToo以後の全面的変化を経ている公企業、公共機関の場合、 一方には女性嫌悪コメントが増加して性暴力犯罪を認めなかったり、 労働組合の男性幹部がアイデンティティの危機を体験する反作用を体験していた。 公企業の職員だけが利用する社内掲示板に、女たちは楽に暮らしているという『蜜を洗う』という表現や、 フェミニズムを卑下して『クルパニズム』等のイルベ用語が書き込まれたりするという。

A公企業労組の女性幹部は 「セクハラ・性暴力を防止するための懲戒と手続きが厳格なものから 意識的に(認識が)向上するよりも、 むしろ歪められて嫌悪性の意識が強化されているようだ」と憂慮を表わした。

女性たちが口を開き始めて「不快だ」という男性も生じた。 問題は単に不快さの水準を越えて「女ためのおかげで男たちが被害を受ける」という被害意識が広がっているという。 そして男性の被害意識は窮極的にセクハラ事件を隠したり、 事件に対する対応を歪める『男性連帯』まで進む。

シン教授によれば 「男性の心情的な手網の中で性暴力事件の被害者は 『ある男性の生存権を剥奪する』加害者的な位置に逆転し、 性暴力加害者は同情の対象に変わる」。

全教組の女性幹部は 「被害者に度々見てくれと誘導する。 あの人はああなれば暮らせるか。 本人の行動に対する責任なのに、なぜそれを周辺の人々が悩んで、 なぜその話を被害者にするのかわからない」とし、男性連帯の問題点を指摘した。

「ブラザー文化」、MeTooも刺激できなかった

MeToo以後に注目できるような変化がなかった事業場の 建設、金属、食品の場合、 △性差別的職務分離と職級構造、 △ペンス・ルール、 △ブラザー文化がすでに強固だった。

面接調査に参加した建設、自動車、P製菓事業場は共通に、 職務と職級が性によって分離しており、 女性は低い職級で低賃金で働く。 違う点があるとすれば建設、自動車の場合、 大多数の労働者が男性であり、 女性はほとんどが事務職や少数しか現場で働いていないが、 P製菓の場合、製造技師の大多数が女性で、少数の男性が管理職として働く。

P製菓労組の女性幹部はMeTooも触ることが出来ない事業場の特徴として 『ブラザー文化』をあげた。 この幹部によればP製菓は20代の女性製造技師を30-40代の男性管理職が統制する労務管理システムを持っている。

P製菓の女性幹部は 「男どうしの集まりが多い。 管理者は『君はいつまでその位置にいる?』、 『君も課長なのにこのようにしなければならない、付いてこい』という調子で別の集まりを作る。 それと共に女たちには女たちがやりやすい職業だとし、昇進を考えるなという。 このような形で男だけが進級する構造が作られるが、 われわれはこれを『ブラザー文化』と呼ぶ」と説明した。

建設分野は女性を採用から排除して、会食の席から排除することが最近さらに強まった。 建設労組の関係者は「(女性排除が)最近ちょっと強化された。 怖いから。 男性の立場としては、まったく見ないほうがましという調子だ」とし 「最近、私が所属する会社も採用公告を出したが、 女性は面接対象にも選ばなかった」と明らかにした。

民主労総に向けた提言も

シン教授は「労働組合内でも『男性連帯』というような意識があり、 多くの職場で『ブラザー文化』は相変らず強い力を発揮している」とし 「民主労働運動が本当の意味で『民主的』なものになるには、 これまで排除され分離して周辺化されてきた女性たちの要求を積極的に受け入れなければならない」と強調した。 続いて「女性たちの声に耳を傾ける最初の作業は、 職場性暴力被害者の経験を『聞くこと』」だと付け加えた。

シン教授はまた「非正規職の女性たちは職場の性暴力にはるかに脆弱な位置に置かれているので 彼女らの職場内の安全と性的自己決定権を保障するための悩みと努力も 労働組合の課題に含まれなければならない」と話した。

男性の労組幹部が先に性差別的な思考と行動について、 徹底した自己省察が必要だという点も指摘された。

一方、今回の討論会の座長役をしたソウル女子大社会福祉学科のチョン・ジェフン教授は 「今回の調査は韓国社会の全般的な労働現場の問題を指摘したのであって、 民主労総に限った話ではない」と付け加えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-04-19 22:20:55 / Last modified on 2019-04-19 22:20:58 Copyright: Default

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