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勤労福祉公団、『サムスン白血病』控訴の意志を表明

公団側、「労災保険制度が勤労者のためだけの制度か」と発言

ユン・ジヨン記者 2011.07.12 18:49

6月23日、法院で労災が認められたサムスン白血病労働者に対し、勤労福祉公団 は控訴する意志を表明した。7月7日、シン・ヨンチョル勤労福祉公団理事長が 遺族との面談で、『前向きで検討する』と明らかにしてから5日後だ。

勤労福祉公団は7日、遺族と被害者との面談で、「医学的、法律的な専門家グルー プの意見を聞き、検察と協議して、開かれた心で控訴を決める」と語った。 また、専門家との協議の過程で、被害者側が推薦する専門家を入れることを約束した。

だが勤労福祉公団は、面談翌日の8日、パノルリム側に連絡して『状況が変り、 パノルリムと被害者と遺族に説明することがある』と緊急面談を要請した。 これにより被害者と遺族は12日、勤労福祉公団側と面談し、公団は控訴の意志を 明らかにした。

公団、「検察の指揮を受けなければならない」...控訴の意志を表明

面談の席でホ某理事は「システム的に、行政訴訟では検察の指揮を受けるよう になっていて、私たちも8日の3時頃に通知を受け、事実上、検事の指揮がなく、 そのまま控訴をするしかない」とし「控訴したくなくても、やらざるをえない」 と説明した。

結局、7日に遺族と被害者との面談でシン理事長が約束した専門家との事前協議 の手続きの機会もなく、面談の翌日に控訴が決定した格好だ。これに対して故 ファン・ミヌン氏の夫人チョン・エジョン氏は「行政訴訟ではサムスンと手を 握り、私たちが死ぬ程戦ってやっと勝訴し、勤労福祉公団に控訴放棄を要求す ると、検察指揮がないと言うのか」とし「労働者のために存在すべき勤労福祉 公団が、むしろ労働者を殺している」と糾弾した。

特に遺族は公団側が主張する検察指揮による行政訴訟の過程にも納得できない 部分が多いと主張している。

国家を当事者とする訴訟に関する法律によれば、公団理事長は訴訟が提起され た場合、訴訟遂行職員を指定するか諮問弁護士を委嘱して訴訟を行なわなけれ ばならない。訴訟代理人に選任された諮問弁護士は、訴訟遂行職員に関する 事項が準用される。

ここで所管行政庁である訴訟遂行者は、管轄検察庁の訴訟指揮を受ける。また、 訴訟遂行職員が控訴を放棄するには、管轄検察庁の長に指揮を要請して、その 指揮の結果に従わなければならない。

結局、検察は訴訟代理人を指揮するが、このような規定は検察が訴訟代理人の 訴訟遂行職員が行う訴訟行為の間違いや怠慢を監督するのが趣旨だ。すなわち 事件当事者は勤労福祉公団であり、管轄検察庁の長は、単に訴訟代理人の訴訟 行為を指揮する権限しか持たないということだ。

そのためパノルリムは、「勤労福祉公団が控訴を望んでいない状況で、検察が 独断で控訴を提起する権限があるという法的な根拠はない」、「勤労福祉公団 が自分たちには控訴権限がないと主張するのは、こうした法体系を知らないか、 知りながらも意図的に無視した結果」と批判した。

そればかりか、勤労福祉公団訴訟事務処理規定の5条によれば、社会的な関心の 対象だったり、公団の運営に重大な影響を与えると判断される事件訴訟の場合、 理事長の事前指揮を受けるように規定されている。

理事長も7日、遺族との面談で「個別の件は該当官署の訴訟業務部で管轄するが、 今回の件は社会的な影響が大きい事件なので、勤労福祉公団本部次元で考えて いる」と述べた。だが公団は結局『検察の指揮を受けなければならない』と述 べ、遺族が要求した公団次元の控訴放棄を否定したわけだ。

一方、今回の面談で、勤労福祉公団のホ某理事は「労災保険制度は勤労者だけ のための制度か」と発言し、遺族の公憤を買った。そのため遺族は「労災保険 制度は労働者のために存在する制度なのに、公団はそれも理解していない」と し「そんな発想を持つ人が勤労福祉公団を運営しているから、労働者が死んで いく」と言って面談の場から出た。

パノルリムをはじめとする被害者と遺族は、面談直後の2時頃から勤労福祉公団 での座り込みに突入した。また彼らは13日午後1時、勤労福祉公団前で記者会見 を行い、勤労福祉公団控訴を糾弾し、6月23日に敗訴した3人の被害者の控訴を 提起する方針だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-07-14 04:46:38 / Last modified on 2011-07-14 04:47:07 Copyright: Default

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