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韓国:サムスン職業病被害者、2次行政訴訟を提起
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サムスン職業病被害者、2次行政訴訟を提起

勤労福祉公団で不承認判定続く...「治療でも受けさせてくれ」

ユン・ジヨン記者 2011.04.07 13:21

サムスン電子で生産職労働者として働き、脳腫瘍、再生不良性貧血、多発性硬 化症などの貴重病にかかったサムスン職業病被害者4人が、第2次集団行政訴訟 をはじめた。

『半導体労働者の健康と人権守備、パノルリム(パノルリム)』と被害者たちは、 4月7日午前、ソウル中央地方法院で記者会見を行い、「勤労福祉公団の労災不 承認決定を不服として行政法院に訴訟を提起する」と明らかにした。

白血病などの貴重病被害者、続々と労災不承認...「労働災害の趣旨は何か」

現在までにサムスン電子、電気SDIなどの工場で120人あまりの職業病被害が発 生し、46人が死亡した。そのうち17人の被害者と遺族は勤労福祉公団に労災を 申請したが、公団は16人に労災不承認と決定した。1人は現在審査が進行中だ。

公団の労災不承認処分に従わない5人の被害者は、昨年1月11日、勤労福祉公団 に対する行政訴訟を起した。現在、彼らはサムスン電子株式会社の代理人団と 約1年間、法廷で戦いを続けている。今回の2次行政訴訟に突入した4人の被害者 も、労災不承認処分を受けた。

勤労福祉公団は、これまでに労災を申請したサムスン職業病の被害者に対して 『疾病との業務関連性が少ない』という理由で続々と労災不承認をしている。 だが、労働災害に関する大法院の既存の判例によれば「業務と災害の間の相当 な因果関係は必ずしも医学的、自然科学的に明確に立証しなければならないの ではなく、諸般の事情を考慮して、業務と疾病の間に相当の因果関係があると 推測判断される場合にも、その立証がある」と見ている。

そのため被害者の弁護を担当するキム・チルジュン弁護士は「勤労福祉公団は 因果関係の証明を要求するが、あらかじめ病気にかかることを予想して証拠を 保存し、作業する労働者はいないばかりか、医学的な知識がない一般の労働者 が医学的な因果関係を立証するのは難しい」とし「特に会社は工程で使う危険 物質を営業秘密として公開せず、因果関係の立証をさらに難しくしているので、 因果関係が立証されないという公団の主張は不当」と指摘した。

続いて彼は「労災保険とは、職場で働いて病気になった労働者に対し、韓国の 社会が共に治療をしようとの趣旨だが、今の労災保険制度はあまりにもケチで、 公団は不承認を乱発し、趣旨を逸脱する行動をしている」と批判した。

「治療だけは安心して受けたい」...被害者の鬱憤

2次行政訴訟を提起した被害者はハン・ヘギョン(33)、イ・ユンジョン(31)、ユ・ ミョンファ(29)、イ・ヒジン(27)氏の4人の若い女性労働者だ。

ハン・ヘギョン氏は、高3在学中にサムスン電子器興工場の生産職に入社して、 6年間LCDモジュール課で印刷回路基板のハンダ付け業務を行った。入社3年後に 完全に生理がなくなるなどの異常症状が出て、2001年8月、健康悪化で退社した。 だが2005年、意識を失って倒れた後、脳腫瘍と診断され、手術後に視力、歩行、 言語障害1級と判定された。

ハン・ヘギョン氏の母親は「ヘギョンの望みは一日でも自分の手で、食べたい ものを食べ、通りを歩くこと」とし「一日もはやく労働災害を認め、治療ぐら いは思いきり受けられるようになるのが私たちの母娘の希望」と明らかにした。

イ・ユンジョン氏も高3在学中にサムスン電子半導体温陽工場に入社して、 1997年から2003年までの6年間、半導体チップを高温でテストするMTB Burn-In 工程で働いた。だが退職7年後に悪性脳腫瘍(膠芽細胞腫)と診断された。イ・ユ ンジョン氏は現在、病院から時限付き宣告を受けて闘病中だ。

[出処:チャムセサン資料写真]

ユ・ミョンファ氏は、イ・ユンジョン氏と同じ工程で働いていた同僚だった。 イ・ユンジョン氏に続き、ユ・ミョンファ氏も20歳の年齢で再生不良性貧血(無 形性貧血)と判定された後、10年間闘病を続けている。イ・ヒジン氏の場合、 2002年に高3の時にサムスン電子LCD天安工場に入社して、6年後に多発性硬化症 という貴重病になった。これは非常に珍しい神経系疾患で、イ氏は現在、明確な 治療剤なく進行抑制剤だけを投薬され、闘病している状況だ。

ユ・ミョンファ氏の父親は「骨髄移植を受けなければならないが、2人のドナー を含み、米国、ドイツ、日本、台湾、中国など、いくら探しても娘と合う人が いない」とし「工場でこれほど病気にかかった人が出るのに、企業総帥の李健 煕(イ・ゴニ)会長はこれを個人的な原因と片付けており、子供を工場に送った 父母だけが罪悪感に捕われて暮している」と吐露した。

一方キム・チルジュン弁護士は「いくら労災が認められても、被害者の状態を 病気になる前に戻すことはできない」とし「単に治療と療養ぐらいは受けさせ ろというだけなのに、それもできないという勤労福祉公団は誰のための機関な のか、理解が出来ない」と批判した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-04-11 02:18:30 / Last modified on 2011-04-11 02:18:46 Copyright: Default

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