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韓国:遺族はサムスンの前で血の涙を流す | ||||||
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「遺族はサムスンの前で血の涙を流す」[寄稿]故キム・ジュヒョン氏の死亡から70日以上葬儀もできず
イム・ミヨン(サムスン一般労組) 2011.03.23 11:08
日が重なるたびに驚きで戦慄する、決して慣れることのないない惨憺とした時 間です。お母さんはこの生き地獄のような時間、唇が血の気を失い、顔は悲惨 と怒りで暗くなっています。我慢の末に爆発する姉の嗚咽は、それを見る人に サムソン資本に歯ぎしりをさせます。 こうして遺族たちは毎日、サムソン資本の心臓部である江南駅のサムスン本館 で、血の涙を流しています。ぎっしりと立つ警備員と、サムスンを擁護して見 る人々に困惑を感じさせる警官と人々の無関心の前で、私の息子を返せと、肺 の奥深くから溢れでる血の涙を流します。 ![]() 寄宿舎の管理者が基本的な原則さえ守っていれば、少なくとも社員への人間的 な関心と配慮さえあったら、今頃ジュヒョンは生きて、息子として、職場で誠 実な労働者として、親しい友人として、この国の健康な青年として生きている はずなのに、サムスン電子の反人間的な経営指針はジュヒョンを機械のように 働かせるばかりで、結局は死に追い込みました。 「動物農場」というテレビ番組を見ると、捨てられた動物も、あらゆる方法で 治療を受け、ストレスを受けないように人間の懐の中で、動物ではなく、逆に 人のように助けてやる姿を見ることができます。それなのにサムスンの労働者 はどうでしょうか。危険な工場で獣のような時間を送らなければなりません。 そして工場の管理者と経営者、そして李健煕会長は、ただ利益しか考えません。 どうして慙愧しないわけにいきますか? 1月11日の投身当日、キム・ジュヒョン氏の五回の自殺試みは、寄宿舎の管理者 に完全に把握されていました。管理者たちがきちんと安全管理をしていれば、 絶望に陥ったジュヒョンを救えたことはCCTVで確認できます。 一企業が話す責任経営とは、生産された商品に対してではなく、労働者への責 任から始めるべきなのは常識です。労働者がいなければ、財閥李健煕はたった 一銭の利益も上げられません。 この前起きた日本の大地震は自然災害です。しかし自然災害による人間の死は 悲劇ではあっても悪ではありません。決して赦すことができないのは、暴力と 搾取で労働者を死に追い込む蛮行です。 サムソン資本の経営指針は、最初から無労組経営で、ただ利益の極大化のため 人権を圧殺し、労働力を搾取する輪の中で生産現場の労働者を奴隷化すること でした。 有害な作業環境による皮膚病、個人の存在が完全に否定される長時間労働、そ して工場の管理者の常習的な無視と放言で、26歳の青年の人生は、花開く前に 絶望感で埋めつくされました。 キルケゴールは、絶望は死に至る病だといいました。すでにサムスン電子は、 誠実な社員だったキム・ジュヒョン氏が皮膚病と憂鬱症で治療が必要な状況だっ たことを把握しながら、一定の治療期間が必要だという医師の処方も無視して 無理な復帰命令で会社に呼び戻しました。それは一種の脅迫です。治療を受け るか、会社を止めるか、その脅迫で呼び戻し、無惨に殺しました。 業務復帰前日の夜、キム・ジュヒョン氏は寄宿舎6階の自分の部屋から13階に上 がり投身を試みた時の急迫した状況は、六、七才の子供でさえすぐに何として も防がなければならない緊急の状況であることがわかります。 ところがCCTVはなぜ設置されていたのでしょうか。なぜ防除要員が配置されて いたのでしょうか。防除要員と寄宿舎の管理者は、ただ死を放置して、遺体を 蘇生させようとするふりをするように訓練された、未熟な判断力を持った人間 だったのでしょうか。もしそうでなければ、ジュヒョンの死の責任は、誰が負 うべきでしょうか。 誰が見ても防ぐことができたジュヒョンの死は、結局サムスンが犯した殺人に 違いありません。遺族はこう言います。一人デモで遺族を何も出来ないように、 ロボットのようにてきぱきと防ぐ警備員を見て「こんなにうまく防げるのに、 ジュヒョンの死はなぜ防げなかったのか」と。 しかし、この絶叫は、李健煕会長とサムスン経営陣には些細なことでしょう。 サムスン本館で超現代式に積み上げたビル、そしてビルとビルの間の警官、 各種の構造物と松、竹のように、彼らに遺族らの切迫した苦闘は、ただこの 風景の中の一つとしか見えないのでしょう。 ですから、サムスン経営陣は何かあれば警官を呼び、遺族を現行犯として連行 し、荒っぽい警備員の力で束縛し、へらへら笑って遺族の痛い気持ちを刺激し ます。 ![]() 70日以上、葬儀ができないジュヒョンの冷たくなったからだは、もう限界を越 えて変色し、遺族の血がにじむような痛みになっています。日が経つほどに遺 族の怒りは大きくなり、今や李健煕サムスン会長は遺族にとって許すことがで きない敵になりました。 人々は問いかけます。なぜ李健煕会長を非難するのかと。理由があります。彼 も子どものいるお父さんです。ところが他人の命のような子供が命を失っても、 謝罪どころか逆に遺族を欺瞞する行動を平然としています。それでも非難でき ないでしょうか。 彼はただ労働者の命を自分の利益のために買った機械ほどにも考えません。わ れわれは、彼の忙しさにだまされてはいけません。時々財界や政界に現れて、 わざときびしい発言をするのにだまされてもなりません。サムスンが作った物 がいくら洗練されていても、それに惑わされてもいけません。莫大な投資は、 実際、すぐに消える泡のようなものです。 キム・ジュヒョン氏は今、すべての生物を吸いあげる土に帰らなければなりま せん。今、キム・ジュヒョン氏の死についての遺族のサムスンとの戦いは、ひ とりでも、このようにくやしく死んでいく社会になってはならないからです。 ひとりの労働者は、社会を作る中心です。さらにはサムソン資本によるくやし い死を無視し、資本と付和雷同し、すっかり馴染んで何の鬱憤も感じられない まま、とても限られた少数の偶然な死として感じるのであれば、われわれは決 して進歩した社会に向けて一寸の進展も実現することができません。 またキム・ジュヒョン氏の冷たい遺体は、サムスンの不正と人権侵害に反対し なければ、この国の未来は資本権力の支配から解放されないことをわからせま す。世界が大不況でも、相変らずサムスンは数兆ウォンの利益を上げたとか、 何兆ウォンを半導体産業に投資したという虚勢を吐いていますが、そんな疾走 は決して長続きしません。労働者を絞り取って得た利益が永遠ではないからです。 花冷えの風の中でも、昼には春の少し暖かい日差しを感じます。すぐ新芽が吹 き、春の花が咲くでしょう。キム・ジュヒョン氏は今、このすべての生物を吸 いこむ土に帰らなければなりません。 そして青春の死は、われわれの未来を照らす滋養分として、春夏秋冬、彼の死 を記憶するべきです。遺族の希望は、汚い補償金などではなくサムスンの社員 として昼夜なく働き、会社の致命的な過失で死んだのですから、サムスンはこ の死に対する責任を認め公開的な謝罪を受け取り、名誉を回復することです。 最近、正義が世間で話題になっています。私は正義とは、不正への怒りに始ま ると思っています。 キム・ジュヒョン氏の死は現在、韓国で起きるすべての不正な事件の一つでし かないかもしれませんが、この戦いは少なくとも暴力的な資本権力との戦いで す。この戦いを連帯なく、被害遺族だけに任せ、疲れ、諦めさせたとすれば、 あくらつな資本権力に労働運動陣営と一切の進歩陣営の「人間性放棄」という 降伏宣言に違いません。 誰もが力をあわせ、私たちすべての勝利に進まなければなりません。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-03-24 10:53:42 / Last modified on 2011-03-24 10:53:46 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ | ||||||