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富士康とサムスンの差

[コラム]労働者の連鎖死亡に対する資本の態度

キム・ギヒョン(民主労総忠北本部) 2011.03.09 21:38

「共産党と政府組織、富士康はこうした悲劇が発生しないように協力しなけれ ばならず、効果的な対策を用意しなければならない」。

昨年5月、中国の次世代の有力政治家として注目される広東省の汪洋党書記の 言葉だ。彼が語った悲劇は何か、再発防止の効果的な対策は何だったのか?

悲劇の震央は、富士康中国工場だ。富士康中国工場は、アップルのiPhoneと iPadの主力メーカーで、昨年、少なくとも13人が連鎖自殺する悲劇が発生し、 中国当局が動いた。

一日12時間の長時間労働、休む暇なく続く何千回もの単純反復作業、5分以内で 認められたトイレの利用時間、作業中の労働者間の対話禁止、いっそ労災で病 院で休みたいという労働者の哀訴は、決して誇張でない。「緊張と抑圧」の息 詰まる工場労働が、連鎖自殺につながった。

連鎖自殺が続き、親会社である台湾の鴻海グループ(鴻海科技集団)の創業者、 郭台銘理事長が昨年5月、中国工場を訪問した。

彼は「深く心からすべての社会、すべての大衆、すべてのわれわれの勤労者と その家族に対し、最高のおわびを申し上げる」と述べ、対策を提示した。社内 心理相談と宗教活動支援、寄宿舎の窓に金網と安全網を設置した。破格の賃上 げも行った。創業者の訪問から3日後、汪洋党書記の発言当日。富士康は900元 (15万7000ウォン)の基本給を1100元に引き上げた。また3日後には1200元、その 四日後には2010年10月1日から2000元(33万ウォン)の基本給を支払うことにした。 わずか9日間で3回にわたり、賃上げ計画を発表し、122%もの基本給が引き上げ られたのだ。

今年、とても元気な二人が命を絶った。そのうち一人の男性。彼は、一日8時間 労働する3交代勤務者であった。しかし「一日12時間は基本」という彼が残した メモのように、実際の労働時間は一日14時間、15時間になった。「1年間で死ぬ」 と思って働いてきたが、「足から爪先まで皮膚がすべてむける」程につらい長 時間労働に耐えるのは困難だった。長時間労働とストレスでノイローゼと診断 された彼は、二か月間病暇を取って療養した。2か月の甘い病暇が終わり、業務 復帰をした初日。彼は寄宿舎の13階から身を投げた。2か月たっても、彼の遺体 はまだ冷凍庫の中にある。

キム・ジュヒョン。彼はサムスン工場で働いて死亡した46人の一人だ。サムス ンは彼の自殺に対し、まだ遺憾表明もしていない。労働部は、勤労基準法に 「勤労者が自由に閲覧できる場所に常に掲示したり備えつけ、勤労者に広く知 らせるように規定した就業規則」の公開を要求した遺族に、営業機密に該当す るとして非公開を決定した。

連鎖死亡と長時間労働。富士康の公開謝罪とサムスンとぼけ対応。中国の対策 作りと「自由閲覧が可能な」就業規則を非公開にした大韓民国政府。

「勤労条件の改善と労使間の調和がとれた関係のために、労働組合の結成が 必要だ」。汪洋党書記長が付け加えた言葉だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-03-11 01:32:48 / Last modified on 2011-03-11 01:32:50 Copyright: Default

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