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韓国:サムスン自殺労働者の遺族が警察と面談
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サムスン労働者自殺、労働部は特別勤労監督をするか?

「防げた死」...遺族が警察と面談『厳正捜査』を要求

チョン・ジェウン記者 2011.01.19 16:54

サムスン電子LCD事業部天安工場で働き、投身自殺した故キム・ジュヒョン氏の 遺族は、警察が徹底的に厳正な捜査を要求する一方、雇用労働部に特別勤労監督 を要請した。

遺族は警察側に、金氏の捜査を要求するばかりでなく、サムスン電子LCD事業部 天安工場、湯井工場の設立の日から現在までの、△自殺件数、△自殺時期、 △自殺場所(湯井寄宿舎など)、△自殺労働者の所属工場と部処、性別、年齢、 △自殺の形態(墜落死など)・理由などについての情報公開を請求した。

現在、故キム・ジュヒョン氏は8日間、葬儀場から出られずにいる。遺族と労働、 市民社会団体は、遺体安置所を守って、毎朝7時30分から1時間、サムスンLCD 天安工場正門の前で1人デモをしている。

なぜキム・ジュヒョン氏を部屋に一人にして置いたのか...「サムスン電子には業務上過失の責任ある」

警察、『公正捜査』する

遺族とサムスン白血病忠南対策委、パノルリムは、1月18日午前10時、『防げた 死を放置したサムスン電子の業務上過失致死の責任について、警察の厳正かつ 徹底的な捜査を要求』するとし、嘆願書を出して牙山警察署側と面談した。

彼らは1月3日に、サムスンLCD湯井工場でパク某氏(23歳)が湯井寄宿舎18階から 投身自殺したにもかかわらず、何の措置も取らずに11日にキム・ジュヒョン氏 も同じ寄宿舎の13階から投身自殺したとし、「サムスンが会社の寄宿舎の窓に 自殺防止のための安全装置をつける措置さえ取っていれば、二人の貴重な生命 を救えたはずだ」と指摘した。

何よりも遺族は、故キム・ジュヒョン氏が夜明けに3回も自殺を試みたことを知っ ても、会社側が金氏をまた寄宿舎宿舎の603号に一人にして置いたとし「放置し、 ついに自殺に追いやった」と主張した。

法務法人タサンの担当弁護士によれば、保安要員3人が通り過ぎた他の職員の申 告で何度も寄宿舎13階の窓枠に上がろうとした金氏の姿はCCTVに撮影されている。

担当弁護士は「故人を寄宿舎603号に連れていったなら、事態の深刻性からみて、 安定して保護し、管理できる状態にした後に撤収するべきだった。だが、保安 要員は単に宿舎に連れていっただけですぐ撤収したと見られる」と伝えた。

また、金氏がサムスンに入社した後、皮膚病と一日14時間もの長時間労働に苦 しみ、業務ストレスによるノイローゼを病んでいたのに、治療が完全に終わら ない状態でサムスン側が無理に現場に復帰させたとし「短い病暇処理と、業務 復帰の過程での強要について徹底した捜査」を要求した。

▲故キム・ジュヒョン氏の高等学校在学時期学生生活記録簿中一部.

担当弁護士は「故キム・ジュヒョン氏は高校時代の3年間、テニス部で活動する 程に身体も健康で、明るく外向的な性格だった」とし「サムスン電子に入社し た後、1年間会社でどんな業務を担当し、何を体験すれば、足の皮がむけるよう な皮膚病にかかり、精神病のノイローゼにまでかかり、結局死に至ったのか、 細かく捜査が必要だ。またその過程で何かの違法行為が存在したことが発見さ れれば、それについての徹底した真相究明とこれにふさわしい法的制裁が必要 だ」と意見書を出した。

これに関し、警察側は三星電子側の業務上過失致死の責任について「公正に調 査する」と伝えた。

雇用労働部に重大な責任...労働部は特別勤労監督をするか?

彼らは同日午後2時、雇用労働部天安支庁を訪れ、特別勤労監督を要請した。 要求事項も具体的だ。

勤労監督官執務規定第12条3号によれば『特別監督』は「労働関係の法令・団体 協約および勤労契約などで規定された勤労条件を履行せず、労使紛糾が発生し たり、発生の憂慮が高い事業場を対象として、労働関係法令違反の事実を捜査 するために実施するもの」と規定している。

労働・市民社会団体は、「サムスンの労働者が長時間勤労と不規則な交代勤務、 職場でのストレスによるノイローゼによる相次ぐ投身自殺をするに至るまで、 サムスン電子は事業主としての業務環境改善や自殺防止のためのいかなる措置 も取らなかった」と批判した。

また、「労働者を保護する監督機関として重大な責任がある雇用労働部もまた この事件について沈黙を続け、傍観している態度に怒りを感じる」と労働部の 責任を追及した。

これに関連して、労働部は特別勤労監督を『検討』すると伝えたが、サムスン 電子にはこれまで一度も特別勤労監督をしてこなかった労働部がどう出るかは 未知数だ。(記事提携=メディア忠清)

特別勤労監督要求事項

1. 雇用労働部は故人の死亡事件に関し、いかなる対策も出さず傍観してきた ことを謝罪し、特別勤労監督を即刻実施しろ。

1. サムスン電子LCD工場労働者の引き続いた自殺など事案の重大さを考慮し、 迅速かつ責任を持って特別勤労監督を実施するために支庁長を責任者とする 特別調査チームを構成し、調査して、その結果を1月24日正午までに公開しろ。

1. 雇用労働部は、故人の死因について、徹底した特別勤労監督を行い、以下 の事項を明白に解明し、再発防止対策を樹立して責任者を処罰しろ。

・相次ぐ自殺の原因提供は事業主にある。サムスン電子LCD天安、湯井工場設立 以後、現在までの労働者の自殺の現況と会社が自殺をどう処理してきたのかなど 具体的な実態を把握して公開しろ。

・サムスン電子LCD労働者の死亡、疾病、作業事故、自殺事件など、現況と労災 隠し行為全般を徹底的に調査して責任者を処罰しろ。

・サムスン電子など半導体3社の依頼で実施された『半導体工程危険性評価報告書 (ソウル大学校2009年実施)』のうち企業機密を理由に公開されていない 『企業(組織)文化と意志疎通』関連の内容を確保し、業務ストレスの原因を糾明しろ。

・警察の調査とは別に故人が死亡に至る過程に関して、寄宿舎管理規定を含む サムスンの安全措置規定とシステム、実態を調査しろ。

・故人を含む該当事業場労働者の勤労実態(実労働時間と賃金現況、延長、休日 勤労強要の有無とその実態、法定延長時間制限の規定を超える時間実態とその 処理について、便法として交通費支給など不法実態、交代勤務実態、産安法と 労災法違反実態など)、人事考課システムの実態を調査して明らかにしろ。

・故人が深刻な皮膚病で苦しんだ原因のカラーフィルター工程化学物質の成分 調査とクリーンルーム内の有害要因の実態を調査して公開しろ。

・故人の死亡に関し、職務ストレスおよび予防管理システム現況と運営実態を 調査して明らかにしろ。

・故人が1.10.に業務に復帰するため、寄宿舎の入所から使用者側の指揮監督下 にあったということを明確にし、責任回避のための使用者側の妄言(復帰は決定 していないなど)を正し、業務との関連を明確にしろ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-20 06:10:13 / Last modified on 2011-01-20 06:10:14 Copyright: Default

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