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韓国:サムスン解雇者 解雇無効確認訴訟提起
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サムスン解雇者パク・ジョンテ、「正義が勝つことを見せる」

解雇無効確認訴訟提起...「解雇理由、量定、手続きすべて不法」

ユン・ジヨン記者 2010.12.27 18:31

「勝つことが正義ではなく、正義が勝つことを見せます。必ずまた現場に復帰 します。私を母胎に、二度と私のような労働者が人権侵害と人権蹂躙にあわな いようにします。もちろん労組を設立し、必ず復帰して正義が何か必ずお見せ します。泣かないつもりでしたが申し訳ありません。」

11月26日、サムスン電子を解雇されたパク・ジョンテ代理の不当解雇が法廷で 問われることになった。朴氏は使用者側に不当解雇に対し、解雇無効確認訴訟 を提起した。これで朴氏は、1人デモとともに法的な争いでサムスンとの第2 ラウンドの勝負が始まった。

サムスン一般労組と民主社会のための弁護士の会(民弁)は、12月27日午前、 瑞草洞の民弁大会議室で記者会見を行い、サムスンの労組設立弾圧糾弾および サムスン電子パク・ジョンテ氏解雇無効確認訴訟の訴状提出計画を発表した。 彼らはサムスン電子が朴氏を解雇したのは不法な理由と手続きだったと見て、 使用者側の解雇無効を主張した。

「解雇理由、量定、手続きすべて不法だ」

サムスン電子株式会社は11月26日、パク・ジョンテ代理に対して「業務指示の 不履行、虚偽事実流布および会社の名誉失墜、情報保護規定違反、懲戒の前歴 があるのに反省していない」という理由で、懲戒解雇処分をした。使用者側の ロシア海外出張の指示を朴氏が拒否し、イジメに関する虚偽の事実をマスコミ に流したという。

だが朴氏側の主張は違う。ソン・ヨンソプ弁護士は「解雇処分は、勤労基準法 23条による正当な理由と懲戒処分の手続き、懲戒の量定が備わっていなければ ならないが、これに違反したので解雇の効力がない」と説明した。

ロシア海外出張では、朴氏が提出した各種の診断書と所見書などで、使用者側 が彼の健康状態を十分に知っていたが、一方的に出張を指示したという説明だ。 使用者側が強要した2010年の製造グループへの転換配置でも、朴氏は業務を行っ てきた。また報道機関への虚偽事実流布も「空の机に一日中座らせられたのは 明白な事実で、虚偽事実にあたらない」と説明した。

むしろソン弁護士は、使用者側の懲戒量定に重大な誤りがあり、懲戒手続きを 無視したと主張した。勤労者の苦情を社内の掲示板に書き込んだのは勤労者に 保障された権利の行使で、朴氏は使用者側による弾圧で深刻なストレスを受け、 1か月間精神科で治療を受けたりもしたという。またソン弁護士は「サムスンは 原告に対して賞罰委員会出席および釈明の機会を与しないなど懲戒手続き上の 瑕疵が問題になる」と指摘した。

朴氏は2007年11月、社内の一家族協議会の社員側委員に当選して活動したが、 勤務環境による女社員の流産などを問題にして、翌年、委員職を停止され2009 年には免職された。以後、使用者側は2009年8月と2010年7月に、朴氏にロシア 出張を強要したが、朴氏は健康上の理由でこれを拒否し、懲戒を受けた。2010 年7月、職務待機を受けた後、朴氏は空の机でイジメを受け、8月には職務待機 状態の大学病院の医師の勧めで精神科病棟に1か月入院した。

退院後、朴氏はまた出勤を始めたがサムスン側は『職務待機は解除された』が イジメ勤務をさせ、10月に製造業ラインへの強制発令措置をした。結局、11月 3日、朴代理が社内の掲示板に『労働組合を建設しようとした疑いだけでイジメ 勤務』という題で書き込んだ後、使用者側は同月26日、解雇を通知してきた。

これに対して朴氏は12月2日、再審を申請したが、使用者側は釈明の機会を与え ないまま12月7日、『解雇』という再審結果を確定した。

「サムスンの無労組信念は憲法をひっくり返す」

朴代理へのサムスン側の解雇措置は、朴氏だけでなく家族も傷つけた。朴氏は 「娘がピアノが好きなのに解雇された後、娘は『熱心に勉強して夢をかなえる』 と言う」とし「家内も1年前から首椎間板ヘルニアで苦しみ、胃出血炎、食道炎 で毎晩悪夢で苦しむ」と涙を流した。朴氏はこうした労働者の解雇と、これに よる家族の苦痛は『しつこいサムスンの労組弾圧』に起因したと主張している。

実際に、記者会見団が公開したサムスンの『ビジョン2020達成のための役職員 特別教育実施』という文書には、「2010年の複数労組施行に備え、非労組経営 哲学を信念化する」と書かれている。この文書は2009年11月24日に配布された もので、サムスン一般労組のキム・ソンファン委員長は「役職員特別会の内容 を含む内容で、三星電子の極秘資料」とし「これに基づき、三星電子だけでな く全ての系列会社で無労組信念化のための教育が行なわれている」と説明した。

進歩新党のキム・ジョンジン副代表は今回の解雇事態について、「誰が見ても 解雇理由にならない内容で解雇を強行したことは、来年施行される複数労組を 内部で事前に遮断する意図だろう」とし「まだこんな時代錯誤の考えをしてい るのは非常に卑怯だ」と批判した。

クォン・ヨングク弁護士も「非労組経営哲学を信念化するサムソンの文書は、 一企業が我が国の古くからの法秩序を完全にひっくり返す危険な発想」とし、 「自由民主的な基本秩序で最も重要な基本的な権利も完全に否定している」と 声を高めた。

今回の記者会見には、サムスン半導体白血病被害遺族の故ファン・ミヌン氏の 夫人、チョン・エジョン氏も参加して、サムスンの無労組経営方針を批判した。 チョン氏は「夫の直接の死亡死因は急性白血病かもしれないが、間接的な死因 はサムスンの無労組」とし「私も12年近くサムスンで働き、無力な労働者を現 場で圧迫するサムスンに必死に耐えてきただけに、この問題は単に個人の問題 とだけ片付けられない」と強調した。

一方、記者会見の参加者は会見文で「サムスン資本の無労組労働弾圧の実体を 暴露し、自主的で民主的な労働組合のために最後まで戦い抜く」としサムスン 側に、△不当懲戒撤回とパク・ジョンテ氏復職、△パク・ジョンテ氏への人権 蹂躙と身体的、精神的苦痛に謝罪、△無労組経営と労働者弾圧の中断を要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-29 01:03:55 / Last modified on 2010-12-29 01:07:20 Copyright: Default

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