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韓国:「サムスンの傲慢な不敗神話が『白血病』を作った」
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「サムスンの傲慢な不敗神話が『白血病』を作った」

趙廷来、チョ・グク、パク・ノヘなど社会の536人がサムスン職業病問題に要求

ユン・ジヨン記者 2010.12.21 17:03

サムスン電子の女の子たちは/白い宇宙服を着て/ きつい鉛の溶液と1級発ガン物質ベンゼンと/鋭い電磁波放射線を/ 桃色に光るその体に吸い込み/全てが白くなって/血の中まで白くなって/ 赤い血潮も青い涙も/私たち生きている全てが/ファン・ユミのように パク・ジヨンのように/白くなって/真っ白になって-パク・ノヘ〈サムスン ブルー〉より

サムスン半導体労働者を含む三星(サムスン)電子系列会社の労働者の104人が、 ガンと珍しい疾患で苦しんだ。そのうち35人はすでに亡くなった。『サムスン 半導体白血病』は、社会的な問題に浮上したが、解決は遅々として進まない。 遺族と当該労働者はまだ労災承認を受けるために飛び回っており、サムスンの 無返答は相変わらずだ。勤労福祉公団の不承認の乱発も変わらない事実だ。

このようなサムスン半導体労働者の孤軍奮闘に、社会各界各層の人々も賛同を 宣言した。先日、小説「カカシ踊り」を出版した趙廷来作家と、パク・ノヘ詩 人、そしてチョ・グク ソウル大教授とキム・チルジュン弁護士など有識者536 人は、21日午前、プレスセンターの記者会見場でサムスン職業病問題要求宣言 に賛同した。特にパク・ノヘ詩人はサムスン半導体労働者を素材にした 〈サムスン ブルー〉という詩を伝えた。

「サムスン、昔も今も変わらない」

2007年3月、サムスン半導体器興工場で働いていた故ファン・ユミ氏が白血病に かかり亡くなった後、父のファン・サンギ氏はサムスンと勤労福祉公団と粘り 強い戦いを繰り広げた。ファン・サンギ氏が主軸になり、2007年11月発足した 『サムスン半導体集団白血病真相究明対策委員会』は、『半導体労働者の健康 と人権守備パノルリム』に改名した後、3年間の戦いを続けている。

だがサムスンはこれらの労働者に対する解決方案の摸索には極めて消極的だ。 国内外の専門家を雇い、第3のコンソーシアムを設置して再調査をすると発表し たが、調査方式や内容は徹底的に秘密で、信頼できないという声が高い。イ・ ジョンナン労務士は「サムスンはむしろ被害者数を偽り続けてきた。作業環境 の現実をだまして隠した」とし「またサムスンは被害者を買収して、労災を隠 そうとした」と批判した。

そのためこの席に参加した有識者全てがサムスン半導体の労働者へのサムスン の懐柔と弾圧方式は、昔、労働者を弾圧したやり方と少しも変わっていないと 話す。キム・チルジュン弁護士は「責任回避と時間稼ぎ、懐柔と脅迫といった 方式は、昔のサムスンの姿と少しも変わっていない」とし「過去数十年間、 職員に誇ってきたサムスンの傲慢な『不敗神話』の壁が、サムスンの職業病 労働者を作り出した」と主張した。

また勤労福祉公団をはじめとする政府の過剰にサムスンを庇護し、サムスンの 労災労働者が法的、制度的保護を受けられないのも問題だと指摘された。キム・ チルジュン弁護士は「高等学校を卒業してすぐサムスンに就職した若者たちが、 こんな疲れる紛争のために物質や作業環境をその時その時記載するか」とし、 「だからその後、不幸な事故が彼らを襲い、労災を申請しても、医学的な因果 関係を立証するのが難しい」と説明した。

ソウル大保健大学院のペク・トミョン院長も「白血病は露出濃度と露出原因、 そして潜伏期の調査が必要だが、現時点で残された資料がないばかりか、サム スンが過去の資料について話さないので、医学的因果関係の立証が難しい」と 説明した。

特に企業秘密を理由に、サムスン側が安全保健に関する問題を公開しないため、 調査にはさらに困難がある。ペク・トミョン院長は「安全保健問題は単に営業 利益や管理対象に分類される企業秘密ではない」とし「サムスンは何より安全 保健についてはオープンシステムで管理する必要を認識すべきだ」と声を高めた。

『国民次元の原因究明』と『労組設立』が解決策

こうした問題を解決するために、ファン・サンギ氏は何よりも『労組設立』を 主張した。彼は「無労組サムスンに、もし労組があったら、しっかり事業場の 環境への牽制と監視をしていただろう。労組がないからユミが死んだ」とし、 「特にサムスンだけでなく、政府もサムスン白血病労働者を捨てている状況で、 彼らが訴えて頼るところがないのが問題だ」と指摘した。

ソウル大のチョグク教授は『国民次元の原因糾明運動』と同時に、国会の問題 解決の意志が必要だと主張した。彼は「サムスン自体に問題解決を要求したり、 国家機関に依存していては、問題は解決しないということをすでに経験した」 とし「サムスン労働者の問題に変化をもたらすにはサムスン神話の陰に隠され た労働の現実を国民が認識することが重要だ」と強調した。続いて「18歳の女性 労働者に、自分の疾病を立証するのは不可能なのだから、法院は立証責任を 緩和するべきで、さらに国会は法改正に努力すべき」と付け加えた。

一方、この席に参加した参加者は宣言文で、△三星は白血病など職業病被害を 認め、問題を解決するための社会的責任を全うすること、△政府は今すぐ労働 災害を認め、信頼できる真相調査と関連の制度改正に積極的に乗り出すこと、 △国会は国家次元の信頼できる真相調査を実施できるように強制し、労働災害 と化学物質の管理についての制度改善に努力することを要求した。

また市民団体はこの日、536人の社会者宣言を契機としてツイッター、 FaceBookなどのソーシャルメディアを通じ『サムスン社会責任汎国民宣言運動』 を拡散させる計画で、労災および化学物質管理関連産業安全保健法、労働災害 補償保険法、化学物質管理法案改正運動を展開していく方針だ。

サムスン電子職業病問題解決を要求する社会者536人宣言

「サムスン電子労働者たちの死の行列を止めろ!」

束草商高3学年ファン・ユミは卒業を前にして2003年サムスン半導体器興工場に 就職し、半導体原版のウェハーを過酸化水素、硫酸アンモニウムなど混合額に 浸して抜くディフュージョン工程で働いた。パク・ジヨンも高校卒業式をする 前の2004年12月にサムスン半導体温陽工場に入社した。家の都合で大学進学が 難しく、早期就職を選んだこの18の少女は、温陽工場で鉛溶液と化学用品を扱 う半導体検査の仕事をした。韓国経済を導く屈指の大企業に入社した自負心は つかの間だった。二人とも働き始めて2年ほど後で急性骨髄性白血病にかかり、 それぞれ2007年と2010年、花のように美しい年齢で息をひきとった。

家が苦しく、中・高校だけを卒業して早く就業戦線に飛び込む青少年の行列は、 1人当り所得2万ドルの豊かさを謳歌する韓国社会でも現在進行形だ。1970年代 の靴工場と衣類工団は、先端クリーン産業と言われる半導体、LCD工場に変わっ たが、最先端の機能で武装し優雅なデザインで包装されたIT製品の生産に使わ れる数百種類の毒性化学物質に彼らは露され、生命を脅かされている。

数年前からサムスン半導体工場の白血病事例が報告され、器興工場と温陽工場 の労働者が白血病などにより連続して死亡する事件が起きたのに、彼らに対す る労災治療や補償は全くなかった。サムスン電子労働者の死亡問題が続いたこ とで社会的にスポットライトを浴び、この先端産業の危険な現実が次第に実体 を表わしている。現在、労働人権団体の『パノルリム』に情報提供されたサム スン半導体、サムスンLCD工場などで働き白血病、リンパ腫、脳腫瘍など致命的 な病気になった労働者の数は100人以上になり、このうち死亡した人は31人にの ぼる。この問題の原因のはっきりした解明は、さらに体系的な調査が必要だが、 この程度の規模の患者と死者が一企業で集中的に発生したことは、すでに一つ の企業の問題を越え、社会的に大きな災難だとせざるをえない。

だがこの問題で一番重要な当事者であるサムスンは、企業のイメージを考える ばかりで、災害で苦しむ労働者への正当な補償を拒否している。産業安全問題 を担当する労働部や、疫学調査などで産業災害の有無を判定する産業安全保健 公団、勤労福祉公団は、被害者が保護される権利より企業の営業秘密などの方 を重視する態度をとり続けている。責任を負うべきサムスンと政府が逃げ腰を 続け、韓国社会がスマートフォンと超高速インターネットに酔い、彼らを無視 している間に世界の超一流企業サムスン電子を作るために青春を捧げた労働者 たちは、その過程で得た疾病により正当な治療も受けられないまま一人二人と 倒れていく。もう頑張る力も、耐える時間もないサムスン電子労働者を韓国の 社会は無視し続けるのか。われわれは、サムスン電子職業病問題の早急な解決 のためにサムスン、政府、国会に次のように要求する。

まずサムスンは白血病などの職業病被害を認め、問題解決のための社会的責任 を全うしろ。

サムスンは、DRAM半導体で世界シェアの35%を占め、今年の第二分期の営業利益 は5兆ウォンを越え、史上最大の収益を記録するなど、自他が認める世界最高の 企業であることに間違いない。だが、今回のサムスン職業病問題に対するサム スンの態度は一等企業の面目とは違い、非常に失望させられる。半導体産業の 特性上、集約的に毒性化学物質を使用し、管理上の問題が発生したことをもう サムスン自身が十分に知っているだろう。だがサムスンは残念ながら彼らの 『無欠点・無誤謬神話』のイメージが壊れることを恐れて『サムスンの家族』 である被害者を無視している。サムスンには経済的な負担が全くない労災補償 まで遮っている。

サムスンは、今のような超一流企業にしてくれた労働者の苦痛を急いで隠そう とせず、責任を全うする努力を傾けなければならない。それは職業病被害者を 認めるところから始めなければならない。

二つ目、政府は直ちに労働災害を認め、信頼できる真相調査と関連制度改正に 積極的に乗り出すべきだ。

現在までサムスン職業病関連の被害労働者16人が労働災害を申請したが政府は 審議が終わった10人全員に不承認を通知した。労働災害補償保険制度は労働者 の業務上の災害を迅速かつ公正に補償することで労働者の保護に尽くすことを 目的とするのに、政府は『自然科学的に』明白な因果関係の立証を、情報にア クセスすることもできない被害者に要求している。さらに最近の国政監査で明 らかになったように、政府はサムスン職業病被害労働者が提起した行政訴訟に 対し、サムスン電子が補助参加人として訴訟に積極的に参加できるよう措置を 取り、自らが勤労福祉のための機関なのか、サムスンの福祉のための機関なのかを 疑わせている。

政府は、忠実に労働者の生命と健康を保護する任務を果たし、サムスン職業病 被害労働者の労働災害を認定し、労働災害補償保険法の趣旨の通り労働災害の 立証責任を緩和するために、関連産業安全保健法、労働災害補償保険法などの 改正を急ぐべきだ。

三つ目、国会は国家次元の信頼できる真相調査を実施できるように強制し、 労働災害と化学物質管理の制度改善に努めなければならない。

今回の国会国政監査で与野ともにサムスン職業病問題の早期解決を政府に要求 した。だがこの問題について、政府は一回の疫学調査をしただけで、公正性と 信頼性に大きな問題がある。現在、利害当事者のサムスンの主導で行われている 調査も公正性を担保できない一方的な根拠で行われているという指摘が強く 提起されている。

したがって、国会は与野の合意により、国家次元の信頼できる真相調査のため の枠組みを作らなければならない。さらに業務上の災害で苦しむ労働者たちが 迅速かつ公正に保護され、さらに根本的に半導体など電子産業の事業場で使わ れている毒性化学物質から労働者と環境を保護する関連法案の制定・改正など の制度改善を至急行うべきだ。

  1. 12. 21
    社会534人一同

▲保健医療専門家87人

氏名省略

▲法律専門家159人

氏名省略

▲学界32人

氏名省略

▲作家、出版12人

氏名省略

▲宗教3人

氏名省略

▲人権45人

氏名省略

▲女性37人

氏名省略

▲労働64人

氏名省略

▲市民、社会運動95人

氏名省略

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-22 08:48:19 / Last modified on 2010-12-22 08:48:25 Copyright: Default

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