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韓国:[連続企画]サムスンが捨てたもうひとつの家族(9) -最終回 | ||||||
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死の情報提供は今でも続く[連続企画]サムスンが捨てたもうひとつの家族(9) -最終回
ヒジョン(執筆労働者) 2010.12.07 11:33
カリフォルニア シグネティクス1979年、カリフォルニアのシグネティクス工場の職員4人がおかしな人事発令を 受けた。1年間何もせずに工場の食堂に座っていろという発令だった。 これまで4人の労働者は、毒性を持つヒュームと蒸気に繰り返し露出していた。 露出で健康に異常が生じた労働者に、会社は働かなくても月給を払うといった。 これで労災による労働損失日は発生しなかった。労働損失日が1000日を越え なかったため、会社は当局に労災を申告する義務を逃れた。 それでもこの事件は知らされ、米国国立産業安全保健研究院(NIOSH)はシグネティ クス工場を調査した。電子産業への初めての健康有害性調査だった。しかし、 会社は非協調的だった。結局、有害性調査は『さらに詳しい調査が必要だ』と いう結論で終わった。その後、追加の調査はなかった。
[出処:パノルリム(http://cafe.daum.net/samsunglabor)] 台湾RCA台湾RCA桃園工場は20年間毒性物質を不法に排出した。90年代初め、この事実が 明らかになった。工場から2km離れた地下水も、飲料水安定基準値の1千倍を越 えるTCE(トリクロロエチレン、1級発ガン物質)で汚染されていた。 工場の寄宿舎に住んでいたRCAの労働者たちはろ過されない地下水、つまり毒劇 物を飲料水に使った。216人もの労働者がガンで死亡した。千人ほどの労働者は 各種のガンにかかった。労働者たちが病気にかかっている時、事務室で働く管 理者たちは外部からミネラルウォーターを供給して飲んだ。 台湾環境保護局の管理下で、1996年からRCAは工場敷地と地下水を浄化する作業 をした。この作業に6百万ドルが使われた。しかしRCAは前職労働者のうちガン 発生者がいるという事実には関心を持たなかった。政府機関の環境保護局も同 じだった。 現在、RCAは台湾を離れ、さらに安い労働力があるタイと中国で工場を移転した。 被害労働者たちは何の補償も受けられなかった。 シリコンバレー IBM半導体2003年、グローバル企業のIBM半導体に対し、老いた労働者ムーアとエルナンデ スは訴訟をした。ジェームズ・ムーアは非ホジキンリンパ腫に、アリダ・エル ナンデスは乳ガンにかかった。彼らは、「IBMの毒性化学物質による有害な作業 環境で病気にかかった」と主張した。当時IBMの工場で働いてガンや慢性疾患に かかった患者は200人ほどいた。 これについてのIBMの反応は次の通りだった。「IBMのように大きな事業場では 『偶然』多くの労働者が珍しい疾患にかかることがある。」 IBMは30年間、所属労働者の死亡記録を含む〈企業死亡資料〉を裁判所に提出す ることを拒否し続けた。紆余曲折の末、労働者たちの資料公開要請が受け入れ られ、二人の労働者は〈企業死亡資料〉を分析してIBM所属労働者のガンによる 死亡の危険が一般人より114.6%(女性基準)も高いことを明らかにした。しかし 担当判事はこの分析結果は偏見に満ちているとし、証拠に採択しなかった。 結局、二人の労働者は敗訴した。 自然発生的な『偶然』の事例
[出処:パノルリム] 若く健康な労働者が珍しい疾患にかかる『偶然』は、半導体・電子産業に絶えず 現れる。1984年半導体産業を持ってきた韓国も例外ではない。 現在、サムスン半導体で働き、珍しい疾患にかかった人は、情報提供があった ケースだけでも100人余りになる。このうち31人が死亡した。半導体労働者の健 康と人権守備〈パノルリム〉は着実に半導体労災被害者の情報提供を受けてい る。情報提供された内容の一部を転載しよう。 「消化不良で突然体重が激減しました。当時ラインで働くと生理不順や消化不 良にかかる人が多いと聞いたので、時間が過ぎれば大丈夫だと考えました。理 由もなくよく鼻血が出て、歯ぐきからの出血も激しく、めまいも多くてとても 苦しかったです。」(2010.10.07) 「ラインではよくガス事故もあったんです。作業する所は設備がみな原子力で 作ったのか、おかしなマークがついていたんですって。その時は危険なことを よく知らず悪いことは分かっていても、しかたなく働きました。(半導体)ウェ ハーの粉が目に飛ぶ時もあって、手につく時も多かったんです。 ウェハーを切る時も紙マスクとビニール手袋だけを着用してピンセットとカッ ティングナイフで切りました。溶液につけた右手は左側よりいつもしびれます。 退社後二回流産しました。子供たちに影響がないことを望むだけです。」 (2010.05.22) 「白血病に一種の多発性骨髄種で弟が死にました。弟はTVブラウン管を焼いて 出す仕事をしました。働く所の温度は摂氏45度前後で、時には骨が溶けるよう な感じだといいました。当時、サムスンに問い合わせましたが全く根拠ない話 だと、あまり関心を持たれませんでした。しかしサムスンで働いていた人の多 くが白血病にかかったとすれば弟もまた関係があるのではないかと思います。」 (2010.04.14) 「ラインに入るだけで頭がとても痛くて気分も悪く目がくらむようで嘔吐しそ うでした。病院ではライン病と言って、薬はないと何の対策もないとはっきり 話しました。職長が『私たちのラインは清浄区域なのに頭が痛いとは仮病では ないか? 他の健康な社員はどうなんだ?』そう追い立てるので情けなくて話す言 葉がなかったんですよ。」(2008.02.29) 半導体産業の真実を明らかにする労働者たち企業は『偶然』だと言うが、病気にかかる労働者数が多くなるほど真実を明ら かにしようとする労働者も増えた。IBMと戦ったアリダ・エルナンデスは敗訴し た。しかしこの訴訟を契機にIBM労働者の健康と環境問題が社会的に知らされた。 現在、IBMに地域環境汚染の責任を問う集団訴訟がなされている。台湾RCA労働 者たちはRCA労働者相助会、台湾労働災害被害者連合を作った。彼らは、『経済 跳躍』の犠牲を労働者に強要する台湾政府に抗議し、環境と労災に関する法律 改正を求めている。 労働者とその家族は何も知らなかった。自分が使う化学物質が何か、自分の作 業場が安全なのか知らなかった。『安全』が何かも知らなかった。19歳で半導体 会社に入り、『安全』とは『事故が起きないこと』とだけ習った。(これは サムスン半導体新入社員教育-修練期-ノートに書かれた内容だ) 事故は働く労働者が起すもので、労働者がきちんとやればそれが『安全』だと 言われた。有害物質を知り、その物質を使用しない権利が安全だという言葉は なかった。ただ機械が故障したり不良が出る『事故』を出さないことが安全だ と習った。 しかし病気にかかって死に、彼・彼女らは疑った。半導体企業とこの企業を支 援する政府の言葉をまともに受け取らなかった。職業病であることを知り、 労災補償申請をして、声をあげた。 2003年、米国のIBM労働者アリダ・エルナンデスは話した。 白血病で亡くなったファン・ユミ氏のお父さん、ファン・サンギ氏は話す。 白血病で夫を失ったチョン・エジョン氏は話す。 脳腫瘍にかかったハン・ヘギョン氏のお母さん、キム・シニョ氏は話す。 そして付け加えて話す。 彼女の言葉は私たちが忘れてはいけないことを知らせる。働いて病気にかかり
死んでいった人々が、誰かの大切な家族だという事実をだ。大切な彼・彼女は
生きる権利があった。しかしその権利をとても簡単に奪われた。だから言わな
ければならない。
![]() 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2010-12-07 17:24:38 / Last modified on 2010-12-07 17:24:41 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ | ||||||