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韓国:白血病で生死の岐路、隣にいるサムスン | ||||||
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白血病で生死の岐路、隣にいるサムスン[メディア忠清]サムスン半導体工場から20階集中治療室に行ったパク・チヨン氏
チョン・ジェウン記者/ 2010年03月31日7時50分
「ジヨンではない。調べられない」 夜7時に集中治療室で20分間の面会を終えて出てきたパク・チヨン氏のお母さん、 ファン・グムスク氏が声も出せずに泣き、エレベーターの前に座り込んで、嗚 咽した。そして「ああ私の子が」の声だけが繰り返し聞こえてくる。一日一日 健康状態が悪化して、生死の岐路に立ったパク・チヨン氏。 BTM-ICU(骨髄移植集中治療室)のドアが開くたびに、さまざまな医療器具が取り つけられた朴氏の姿が少し見える。朴氏は現在肺の機能が止まっている。人工 呼吸器で生命を維持し、低下する血圧を上げるために薬品を投与しているが、 状態は悪化し続けている。腎臓透析もできず全身がむくんでいる。面会した人 は、朴氏は唇をかみ唇がめくれた状態で、目の焦点も曇っているという。週末 は腕と脚を動かすので縛っていたが、もう動く気力もなさそうに見えるとうな 垂れた。 午前11時、午後7時、一日二回1人だけ面会できる集中治療室で、朴氏は単独で 病魔と戦っている。愛する人をそばに置けない白血病は孤独な病気だ。 慰労の言葉も伝えにくいほどの30日、病院20階集中治療室の前は、そんな悲し みで幾重にも積もりつつあった。その瞬間にサムスン半導体工場の実状を世の 中の外に知らせている人々も黄氏を抱いて座り、「お母さんが頑張らなければ なりません」と悲しみを分けあうだけだった。サムスン側職員と思われる二人 の男も黄氏の周辺に静かに立っていたり、取材陣に「写真撮るな」と話すだけ だった。
死亡、そして死亡、また死亡 サムスン半導体温陽工場で働き、白血病にかかった満23歳の朴氏は、2007年9月 に白血病を発病、六、七回の坑癌治療に耐えてきた。江景女子商業高校3年で 温陽工場に入社、21歳で白血病が発病したので、年数はせいぜい3年だ。何とか 骨髄移植もしたが2009年9月に白血病が再発、治療の途中で27日の明け方、突然 倒れて応急室に運ばれた。 朴氏は温陽工場で化学薬品のひどい臭いに耐えてつらい労働をしてきた。それ でも残業や12時間夜昼二交代を一週間で4日して、やっと130万ウォンを越える。 モールド工程とフィニッシュ工程で働く朴氏は、白血病の主な要因である放射 能と有害物質に露されて働いた。すでにマスコミを通じ、モールド工程のQEルー ムには2台の放射線発生装置があり、フィニッシュ工程には化学薬品でメッキ接 着性を実験したという。『半導体労働者の健康と人権守備パノルリム(以下パノ ルリム)』側は白血病診断を受けた時、担当医は真っ先に、朴氏に「化学薬品に 触る仕事をしているのか」と質問したと伝えた。 サムスン半導体工場で働いて2009年12月までに確認された白血病、リンパ腫な どの造血系ガン発病者は22人だ。器興工場14人、温陽工場4人、水原事業場1人 が造血系ガンにかかり、器興工場6人、水原事業場の1人が死亡した。健康な成 人男女がサムスン半導体工場で働き、集団的な造血系ガンにかかった事件自体 が、多くの人々に疑問を抱かせた。朴氏が抱えている『急性骨髄性白血病』も 若い人には人口10万人に1〜2人しかかからない珍しい病気だ。 それで多くの人はサムスンがサムスン半導体工場で働き病気になった労働者に 責任を取れと主張した。労働者の病気を職業病と認め、労働災害(以下労災)と して承認するよう、全国を飛び回って活動してきた。しかしたった一人の労災 も認められなかった。そして朴氏をはじめ、サムスン半導体で働いて白血病で 亡くなった労働者3人と、闘病中の労働者3人は1月11日、勤労福祉公団を相手取っ てソウル行政法院に『療養給与不支給処分取り消し請求訴訟』、『遺族給与お よび葬儀費不支給処分取り消し請求訴訟』を出した。 パク・チヨン氏の隣のサムスン 面会の前には午後1時頃からホコリも飛ばないように思われた病院の集中治療室 の前に冷たい緊張感がみなぎる。朴氏は集中治療室に横になって、少し先もわ からない生死の岐路に立ち、サムスン側の職員と、サムスン半導体工場で働い ていた労働者の病気は業務上の災害と認めろと主張する人々は、同じ空間にい ても互いに話をしない。
安心して悲しむ暇もないほど息詰まる空間だった。しかしパノルリム所属の活 動家たちは交代で病院に泊り、朴氏とその家族の横にいた。病院を行き来する サムスン側の職員も、昨日からは24時間病院にいる。お母さんの黄氏は2人の職 員が4人に増えたという。彼らは何のために朴氏の横にいるのだろうか。 「パク・チヨン氏の白血病が再発し、病院費はサムスンが決済すると思ってい ます。その代わりに条件がありました。インターネットに出さないようにしな ければならない、パノルリムに連絡してはならない、労災処理になれば費用を 出さなければならないなどの脅迫をしたそうです。それでお母さんが『本当に そうするのか』と尋ねると、違うといいました。ジヨン氏は病暇申請の件で会 社から田舎のカンギョンにまできたといいました。労災が不承認になり、1月 11日にソウル行政法院に訴訟を出したのですが、サムスン側は法務法人『ユル チョン』の代理人から被告補助参加人を申請しました。サムスン側は白血病を 個人の病だというのは、労災が認められると保険料率に不利益になるから。保 険料が高くなるという理由、サムスンのイメージに打撃を与えるという理由で、 何とかしてこの訴訟に介入しようとしているようです。ところが一方では、会 社がお母さんのいる田舎のカンギョンにまで来て会社の車で病院にむかえにく るのです。お母さんが泣けばチリ紙を渡し、ふとんを買いました。お母さんと 密着しています。彼らも雇われた人々で、人間的な道義では当然ですが、条件 を付けて病院費で困らせて…。治療だけに専念できず、全てが気になります。 初めからそれぐらい関心を持ってくれればいいのに。二重的です。人が死んで いくのに…」 パノルリムのイ・ジョンナン労務士はこう話して、何度もため息をついた。 『サムスン』を考えるだけで、涙を流したりため息をついたり怒る人は少なく ない。サムスン半導体工場で働いて2007年3月に死亡した故ファン・ユミ氏のお 父さんのファン・サンギ氏は、病院にきて、サムスン側と会うと「なぜここに 来たのか訊ねたい。個人的疾病だと逃げてばかりいて、今になってなぜ来るの か、化学薬品を明らかにしない理由が何だというのだ。聞きたいことはひとつ や二つではない」と言う。器興工場で10年以上働き、同じ工場でエンジニアと して働いて31歳で白血病で死んだ故ファン・ミヌン氏の妻、チョン・エジョン 氏も「彼らが哀悼するために病院に来ているとは思わない。会社に報告して、 サムスン白血病問題を社会から遮断するためにきたのだろう」と話した。 私の子、私の子 お母さんの黄氏は、インタビューに負担を感じていた。会社側が治療費を出し ているが、それを拒否できない程、黄氏はとても貧しかった。朴氏もはやく社 会に出て『親孝行』をしたいという気持で大学進学の夢をあきらめてサムスン 半導体工場に入社した。本当に貧困は貧困を産むのか。 「治療費? 想像を超えています。初めは計算もしましたが…。億を越えたのは ずいぶん前です。チヨンと私が稼いでも、余裕なく暮していたのに。今、働け なくなってもう数年たちます。そして借金がある。田舎ではとうてい子供の治 療できない。家はカンギョンで、すごい田舎です。車が一日に二回しか通らな い。金を借りて借りた家は、カンギョンでも交通が良くありませんが、それで も市内です。家は旧式の台所と旧式のトイレです。しかし白血病の治療はとて も清潔なところでしなければならないそうです。お金がなくて清潔な家を買う こともできません。借家で暮しています。お父さんを一人にして。お父さんは 酒が好きでしたが、チヨンが病気になってから、誰とも話をしません。私も今 は神経科と血圧の薬を飲み続けなければなりません。学校給食に通っています がそれをのがさないように。その上に私を切らずに人に替わってくれと、3日行っ てくるといって来ました。」 少ししか話をしなかったが、黄氏は奇跡を信じていた。奇跡を切実に望むから、 娘が息をしているから、最善を尽くさなければと胸の深くで念を押していた。 「うちの母と、ですから子供のおばあさんと話の中でそう言いました。午前に 面会してとても悲しく、とても泣きました。お母さんが、うちの子は若いうち に金のために来て、お金のために行くんだなと言いました。それでうちの子は、 この世の中に生きるためにきたのではなく、助けるために来て、帰っていくん だと思えって。本当に…。うちの子の顔はとてもむくみました。腕は私の二倍 です。本当に手は可愛かった…。骨だけにやせていたのにむくんで。ぽっちゃ りとして可愛かったよ。私たちの話が生きている時、はやく(労災)判定出なけ ればならなかったのに。うちの子が生きようとして、生死の境をさまよってい るけれど。どこで病気になったのかを明らかにすることもできずに…。私もチ ヨンが死んだら、どう気持ちが変わるかわかりません。」 『また一つの家族』でない『また捨てた家族』 サムスン半導体は昨年、売上額で世界2位になった。韓国経済によれば、サムス ン電子の半導体事業部は5月末まででもう3兆ウォンをはるかに越える利益をあ げる価格で予約注文を受けているが、半導体景気は簡単に崩れそうもなく、上 半期中に営業利益4兆ウォン突破は確実視されていると報道した。最近3年間で 半導体事業部があげた営業利益の総額に匹敵する。また半導体需要が増え続け る場合に備えて、生産量を増やしたり設備増設の検討にも着手したと伝えられ た。しかしどこにも『白血病』に関する言及はない。 だが国際環境団体のグリーンピースは、サムスン・ヨーロッパ本社ビルに上が り、サムスンが約束を破棄したと書いてデモをした。ガン職業病誘発物質を作 業場から廃棄すると2004年に約束したが、サムスンは約束を守らなかったとい う。そしてアジア多国籍企業監視ネットワーク(ATNC)は、韓国政府が白血病労 働者に対するサムスンの責任を取らせて公正に補償することと、反労働者政策 に抗議して韓国政府がサムスンに責任を問えという抗議書簡を李明博大統領に 渡した。韓国では一週間、半導体産業労災死亡労働者追慕週間が開かれ、サム スンの職業病責任認定と、安全で人間的な労働条件提供を要求する『国際請願 運動』が進められている。 すべては3月の一か月間のことだ。この中にパク・チヨン氏がいる。果たして、 白血病は個人の疾病だろうか? サムスンが利益に没頭するだけでなく、その利 益をあげた労働者の死に責任を持って対応してこそ、社会的に『サムスン王国』 の王座の権威を認められるだろう。それでなければサムスンの『また一つの家 族』は、『また捨てた家族』としか聞こえない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2010-04-04 09:59:54 / Last modified on 2010-04-04 09:59:55 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ | ||||||