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嘘がバレたNAFTAの20年、労働者・農民は災難

「雇用縮小、賃金低下、所得不平等拡大、ISD補償増加」

チョン・ウニ記者 2014.01.05 15:19

今年で発効して20年になる北米自由貿易協定(NAFTA)、政府の約束と違い、多くの民衆の人生に破壊的な影響を与えたことが明らかになった。

世界的に有名な米国社会団体パブリックシチズンのグローバル・トレード・ ウォッチ(Global Trade Watch)は最近、NAFTA影響報告書を発行し、「20周年になる 北米自由協定は、政府の約束が実現されなかっただけでなく、多くの結果が それとは正反対だった」と明らかにした。

[出処:http://www.popularresistance.org/]

これによればNAFTA以後の米国の貿易赤字は1810億ドルに増え、百万の雇用が なくなり、メキシコからの移民も2倍に増加した。特に農業の貿易赤字が大幅に 深刻になり、政府は3億6千万ドル以上をISDで企業に支払い、国内の公共政策は 大幅に後退した。その反対に超国籍企業の利益は増大していった。

つまり、輸入の拡大と雇用の移転で雇用は縮小し、残りの雇用に対する競争が 強まって実質賃金は低下、所得の不平等は拡大したが、輸入が拡大しても 消費財の価格は下がらなかった。それにもかかわらず、NAFTA加入国のメキシコの 民衆も対称的な災難に直面した。

雇用縮小、賃金低下、所得不平等拡大

まず、NAFTA以後に米国の雇用はメキシコとカナダからの輸入増大と雇用の海外 移転により深刻に減った。

米国の製造業は、さらに低賃金で不安定な労働市場、そして環境基準が緩い所 に移転し、年間17万以上がなくなった。また輸入の増加で2004年までに百万の 雇用縮小と同規模の貿易赤字を出した。NAFTA前はメキシコに対して25億ドルの 黒字だったが、NAFTA以後に赤字幅は大幅に広がり、カナダとの間で291億ドルの 赤字幅がさらに大きくなった。

雇用損失は、端的に貿易調整支援制度(TAA)に表れている。NAFTA以後カナダと メキシコからの輸入や雇用の海外移転による雇用損失により84万5000人以上の 労働者がTAA事業による支援を受けた。しかしTAA事業は非常に制約的で、 資格を得るのが難しく、製造業で減った一部の雇用しか支援しなかった。

雇用損失ばかりか、NAFTAによる賃金の低下と所得の不平等も拡大した。

米国労働統計庁によれば、2012年に再雇用された産業労働者の3分の2の賃金が 20%以上が低下した。製造業で失職した労働者の数は域外に移転できない病院 や食品サービスといった未熟練雇用の競争を深化させ、NAFTA後にこの分野での 実質賃金もまた低下させた。この結果として所得不平等も急激に拡大した。

ISDによる補償が増加

雇用損失、賃金低下および所得不平等の他にも投資家国家訴訟制度(ISD)により、 政府は大きな損失を受けた。

NAFTA加入国はISDにより、毒性物質禁止、土地利用規則、水と森林政策などの 環境や健康の法規に対する企業からの訴訟で、3億6千万ドル以上を支払った。 これ以外にも、米国は医薬特許政策、フラッキングの煙や再生エネルギー政策 に関して124億ドル以上の訴訟が進められている。

NAFTA以後、米国農産物の年平均貿易赤字はNAFTA前の約2倍の8億ドルに達する。 メキシコとカナダからの米国牛肉の輸入は130%増加した。カナダとメキシコからの 食料品輸入は188%増加したが、一般食料品費は65%跳ね上がった。

一方、補助金を受け取る米国のとうもろこし輸出は増加したが、これは百万人 以上のメキシコの農場労働者と、さらに農業に頼って暮らす140万のメキシコの 労働者たちの人生を破壊した。

メキシコ農民や労働者の災難も…移住、価格上昇と賃金低迷

メキシコの農村経済から押し出された彼らの絶望的な移住は、メキシコ国境の マキラドーラ工場地帯での賃金低下につながり、NAFTA施行後に米国へのメキシコ 移民人口を2倍増加させた。

とうもろこしを生産するメキシコの農家は、補償にもかかわらず、NAFTA施行後 10年間で279%の損失を受けた。

NAFTAはメキシコの包括的な繁栄を約束したが、移住、価格上昇と賃金低迷で、 メキシコの人口の半分以上、特に農村人口の60%以上が貧困線以下で暮らしている。

メキシコの実質賃金は、NAFTA後に顕著に下がり、基本財貨の価格は賃金上昇率 以上に上がった。現在、メキシコで最低賃金で暮らす人々はNAFTAが発効した日 を基準とすると、購買力が38%も下がった。

また、NAFTAは安い財貨の輸入で、消費者の利益になるという約束にもかかわらず、 基本財貨の価格はNAFTA前の水準の7倍に上がった。最低賃金は4倍しか増加していない。

1月1日、パブリックシチズンのグローバル・トレード・ウォッチ責任者、ロリ・ ウォラックはポピュラーレジスタンスに「NAFTAの悲惨な結果を考えれば、少数 の企業やシンクタンクが90年代に、われわれすべてに恩恵を与えると宣伝したが、 現実は彼らの約束は失敗し、多くの人々に深刻な悪影響を与える正反対のことが 起きた」とし「NAFTAが失敗したという圧倒的な証拠にもかかわらず、オバマ政府は NAFTAで嘘をついたウソツキ企業と合流してTPP(環太平洋経済パートナー協定)を 拡大させる予定」だと批判した。

ポピュラーレジスタンスは「1994年1月1日のNAFTA施行後、世論は急速に反対に 移動してきた」とし「2012年、世論調査機関のアンガス・レイド・パブリック オピニオンによれば、米国人の53%がNAFTAの再協議をするか止めるべきだと 考えており、続けるべきだと考えるのは15%に過ぎない」と伝えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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