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シェブロンの「食い逃げ」で流れるエクアドル、アマゾンの黒い涙

エクアドル裁判所「シェブロンは賠償しろ」...シェブロン、ISDでエクアドル政府を告訴

チョン・ウニ記者 2013.11.15 00:01

2007年の泰安油流出事件で海岸を覆い尽くした原油1250万リットル。3年後にこの約62倍の7億8千万リットルが米国メキシコ湾沿岸にあふれ、世界を驚かせた。当時英国のBP社は被害住民10万人に賠償した。しかしメキシコ湾を死の海にした原油流出事故の87倍にのぼる681億4千万リットルの有毒性廃棄物と原油をエクアドルのアマゾン先住民地域に流出したシェブロン(Chevron)は、何の補償もせず「食い逃げ」し、アマゾンの黒い涙は今日も続いている。

11月13日、ソウルのエクアドル大使館は「エクアドル・アマゾン環境汚染およ び被害関連記者懇談会」を開き、被害先住民と自然への連帯を訴えた。先住民 は、2001年にテキサコ社を買収したシェブロンに対して被害補償訴訟を進めて いるが、シェブロンは居直ってエクアドル政府を告訴した状況だ。

テキサコ社は1964年に現地から撤収してから1992年まで、エクアドルのスクンビオス (Sucumbios)とオレリャナ(Orellana)州だけで7100万リットルの原油廃棄物と 6400万リットルの原油を放出し、200万エーカーの土壌を汚染した。この地域の 面積は、汝矣島の大きさに匹敵する。

先住民は被害地域で飲料水を得て、入浴し、魚を釣ってきたが、有毒性廃棄物 に汚染されたことで、生計を脅かされるだけでなく、病気などで先住民3万人が 直接の被害を受けた。何年も放置された廃棄物のために発癌率は大幅に上がり、 先住民は各種の皮膚疾患を病み、妊婦は奇形児を出産し、先住民の一部は肉が 腐っていく苦しみを受けている。

[出処:駐韓エクアドル大使館]

「汚染された水にはビタミンとミネラルが多い」

しかし、シェブロンは「この問題は、エクアドル政府の役割」という立場だ。 また、科学者を動員し、発癌は廃棄物ではなく地域そのものの問題だと明らか にする。その上、先住民の1人は「テキサコは私たちに対し、汚染された水には ビタミンとミネラルが多いと話した」と指摘する。

テキサコは当時、収益率を上げるため、ボーリング時に精油会社が従うべき 基本的な方法を無視したことで、こうした被害を誘発した。ボーリング時に 生成される有毒性廃棄物は、原油をボーリングした地下に再投入しなければ ならないが、その過程を省略し、廃棄物を土で覆って川と河川に流した。

1993年、そのために地域住民はテキサコ社による環境、住民そして共同体に対 する被害を復旧する目的で「アマゾン保護連合」を結成し、テキサコに対して 訴訟を提起した。しかし戻ってきたものは米国政府を背にした国際司法機関の 横暴だった。

エクアドルの先住民らは1993年、米国のニューヨーク裁判所に訴訟を提起したが、 10年間続いたテキサコの圧力で、訴訟はエクアドルに移管された。当時、 テキサコはエクアドル裁判所の判決に無条件に従うと約束した。

その後、2011年にエクアドル北東部のスクムビオス州地方裁判所はシェブロン に96億ドルの賠償と2週間以内の公式な謝罪と判決し、これを履行しなければ、 2倍の賠償額を追徴すると明示した。しかしシェブロンはこれを拒否し、結局 2012年にエクアドル裁判所は190億ドルを賠償しろと判決した。

しかし、エクアドルの裁判所が先住民の主張を認めると、シェブロンはエクア ドル政府に対し、ハーグ仲裁裁判所に訴訟を提起した。その後ハーグ仲裁裁判所 はエクアドル政府に前の判決の執行整理を宣告した。

[出処:駐韓エクアドル大使館]

シェブロン、二国間投資協定(BIT)を利用してエクアドル政府を起訴

シェブロンは1993年にエクアドルと米国が締結した二国間投資協定(BIT)を理由 に、エクアドル政府が協定に違反したという立場だ。BITは、政府に投資家保護 義務を課し、意見が対立した場合は政府が解決を保障するようにしており、こ れに違反すれば国際仲裁裁判所に回付できると規定する。

しかしエクアドル政府は、テキサコが撤収してから5年後の1997年にBITが発効 したので、ハーグ仲裁裁判部は管轄権を主張できないと見ている。エクアドル 政府も自国の憲法により、判決執行中止を裁判所に要求できないと説明する。

シェブロンはまた「テサコは環境復元費用を支払ったとエクアドル政府が承認 し、過去と未来のいかなる環境的責任も問わないと約束した」という立場だ。 しかしエクアドル政府は1998年、当時のハミル・マフアド政府が署名したが、 これはアマゾン地域社会を顧みず、国民の要求とは全く違う立場であり、起訴 者は政府ではなく被害地域住民であり、シェブロンはこれに答える義務がある という見解だ。

これ以外にも、シェブロンは環境的な影響の責任は、コンソーシアムを結んだ エクアドルのペトロエクアドル社にあると責任転嫁している。しかしエクアド ルは各種の根拠を基礎に、主な環境的影響はテキサコ社の責任だという点を 明確にする。

シェブロンはまた、環境の被害は明らかで、復元費用を支払うべき状況に置か れているという事実を知りながらテキサコを買収したのに、自社はエクアドル では一度も事業を運営したことがないとして、責任を回避している。

そればかりかシェブロンは、ラファエル・コレア大統領に対して、エクアドル 政府が裁判に介入したと非難しているが、以前の政府関係者たちがシェブロン と行った11回の公式会議に対しては口を閉ざしている。この会議にはエクアドル の2人の元大統領と副大統領、エネルギー資源管理部署長官、内務長官などが 参加した。

エクアドル政府によれば、シェブロン社は毎年数百万ドルをかけて反対キャン ペーンを展開している。米国上院と通商部にエクアドルの信用を低下させ、 関税恩恵の更新不許可などの貿易被害を与えるように圧力を加えている。

エクアドル政府は、こうしたシェブロンの問題を世界に知らせる一方、国民と 環境よりも超国籍資本の利害を優先する二国間協定を取り消したり中止している。 多国籍企業のISD(投資家-国家訴訟制度)に反対する国際会議を進めることもある。

▲ニコラス・トルヒーヨ・ニュリン駐韓エクアドル大使が記者懇談会でアマゾン先住民の被害実状を説明している。[出処:駐韓エクアドル大使館]

エクアドル先住民に対する連帯の支援

11月12日、エクアドルの最高裁はシェブロンに対し、88億ドルを住民に賠償し ろと最終判決した。しかしシェブロンはこれを詐欺だと主張、住民への賠償金 支払いを拒否する立場に固執している。

シェブロンは先住民に苦痛の人生を残して出て行ったが、先住民は一人ではない。

米国やドイツなど、世界でもエクアドルのアマゾン先住民と自然に連帯する組織 が結成され、国際的な機運が高まっている。韓国で彼らと連帯する会は「大韓 民国連帯委員会(KSC)」という名前で進められている。KSCは宣言文でシェブロンに 「テキサコ社が石油ボーリングをした地域で被害を受けた住民に対する補償と環境 破壊の費用負担をエクアドル政府に転嫁するのを止めろ」と指摘する。

エクアドル政府はガン闘病中の被害住民などに対して医療福祉サービスを提供 しているが、シェブロンの賠償拒否により金銭的な補償はなされずにいる。

記者懇談会でニコラス・トゥルヒーヨ・ニュリン駐韓エクアドル大使は「経済的 な規模で見れば、シェブロン社はエクアドル全体よりはるかに大きい。 われわれは先住民の正義と権利のために戦っている」とし「国際的な支援を 訴える」と伝えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-17 09:37:39 / Last modified on 2013-11-17 09:37:40 Copyright: Default

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