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発電所に入った政府系団体…元下請に二度握まれたキム・ヨンギュンたち

[企画(2)]西部発電の主要下請企業、韓電産業開発、クムファPSC経営陣を探索する

パク・タソル記者 2019.01.10 18:03

[編集者注]青年非正規職労働者の故キム・ヨンギュン氏が死亡してもう一か月になろうとしている。 生きていれば25歳を迎える彼は、韓国社会に「危険の外注化」という宿題を投げてこの世を去った。 この一か月はその宿題を解決するどころか、追慕するだけでも足りない時間だった。 その間、元請の西部発電はキム・ヨンギュンを奪ったそのベルトコンベアをまた動かそうと大騒ぎし、 労働部は労働者の声を無視して西部発電の利害だけに耳を傾けている。

チャムセサンは西部発電の主要下請企業の沿革と役員陣を調べ、数人の利害関係者の利益を中心として下請構造が再生産されていることを把握した。 公共事業は大企業に渡り、公企業を退職した役員は民営化された企業に行って安楽な地位を横取りした。 最初の記事ではキム氏が所属していた韓国発電技術の民営化の過程を見て、 2番目の記事では西部発電の他の主要下請企業の事例を調べてみよう。

[出処:公共運輸労組]

西部発電の協力業者約50社のうち、主要下請企業では韓国発電技術を除けば、韓電産業開発、クムファPSCがある。 韓国電力の子会社だった韓電産業開発は、燃料および環境設備運転、 機械電気整備業務を担当して、 クムファPSCはボイラー、発電設備関連経常整備工事を担当している。

これらの下請企業の役員陣も、 韓国発電技術のように韓国電力、5つの発電所の出身者が多い。 韓電産業開発の場合、民営化された後も韓電が一定の株式を持ち、 役員任命権を持っているが、 株式がないクムファPSCも退職した公企業出身者が眼につく。

韓電の子会社だった韓電産業開発は、韓電が危険で忌避する業務を遂行するために、 1990年に設立された。 その後、燃料設備の運転と飛散粉塵・自然発火予防の業務は韓電産業開発に外注された。 そのうちに政府の民営化政策により2003年に民営化されたが、 当時、韓電は韓国自由総連盟に韓電産業開発の株式の51%を売却した。 韓国自由総連盟は国内代表的な政府系団体だ。

韓国自由総連盟が最大株主になった後、韓電産業開発は押し付け人事、経営陣背任、「食い逃げ」議論など、さまざまな物議のタネになった。 韓国自由総連盟は2010年、株式市場に韓電産業開発を上場して、 すでに市場に20%の株式を出したが、2012年に残る31%の株式を民間に売却しようとして「食い逃げ」の議論を呼んだ。 その時まで最大株主で、韓国自由総連盟が得た配当金は977億ウォンにのぼり、 漢拏グループコンソーシアムに売却しようとした31%の株式の価値は約870億ウォンだった。 2003年、韓電産業開発の株式の51%を700億ウォンで買収したのと較べると、 投資の300%に近い収益をあげたのだった。 その700億ウォンのほとんどが借金で、自己資本は6億6000万ウォンに過ぎなかった。

労組が猛烈に反対しため適当な買収者が見つからず、 結局現在まで韓国自由総連盟は31%の株式で最大株主を維持している。 韓国電力は29%の株式を持っている。 この株式で韓国自由総連盟は韓電産業開発の5人の役員を、 韓国電力は4人の役員を選任できる。 これにより代表理事をはじめ、12人の役員のうち4人が韓国電力公社の出身だ。 登記理事の1人当りの平均報酬は1億6千万ウォンを越える。

この他にも韓電と韓国自由総連盟の関係者が韓電産業開発に大挙就職したこともわかった。 韓国電力に勤める夫が夫人を推薦して確認されたことだけで、158人も一緒に働いていることが分かり、 前職国務総理と現職広域市長、前職国会議員の人事推薦リストが発見された。

韓国自由総連盟は人事専横を振り回した。 韓国自由総連盟の当時の金景梓(キム・ギョンジェ)総裁は、 2016年12月に韓電産業開発に賄賂の前科がある高校の後輩であるチュ・ボグォン氏を韓電産業開発の代表理事の地位につけた。 チュ・ボグォン氏は韓電産業開発に2016年5月に社内理事に登載された時も、 賄賂事件などにかかわって雑音が多かった。 その翌年、警察は金景梓(キム・ギョンジェ)総裁が社長人事を条件として チュ・ボグォン代表理事から数千万ウォンを受け取ったという陳述を受け、 金総裁を調査した。 この他にも金総裁は側近10数人を韓電産業開発に就職させたといわれている。

年間売上3370億ウォン(2017年基準)の最も重要な会社とされるが、 労働者が手に取った賃金はわずかだった。 韓電産業開発出身のある関係者は 「会社が好みに合う委員長を労組代表にしたりもしたし、 実際に設計された賃金原価よりはるかに少ない金額を受けた。 値上げ率は2%内外であった」とし 「このような問題は、下請企業労働者のほとんどが体験している。 キム・ヨンギュン氏が受け取っていた月給は夜間勤務を含み165万ウォンで、 最低賃金より8万ウォンしか高くない。 実際の設計金額は440万ウォンだが、こうした差益はすべて元請や下請企業に入った」と指摘した。

続いて「こうした下請構造による入札のくびきの中では、 いつも3年に1回ずつこの会社、あの会社とさまようほかはない」とし 「発電社で働く労働者はみんな発電社に所属する労働者に変えなければならない」と強調した。

発電労組破壊者、発電所協力業者の登記役員に

クムファPSCは西部発電から2016年に泰安の西仁川の機電設備経常整備工事で315億ウォンの契約を得るなど、 最も高い金額帯の随意契約を締結している会社だ。 整備業務は火力発電の安全のために最も重要な業務の一つだが、 2009年の整備市場開放以後、クムファPSCをはじめとする民間企業が蚕食している。

民間企業に任せた整備業務は非正規職労働者に行く。 会社は整備人員が不足すれば緊急に求人広告を出したり日雇いを募集して現場に投入する。 公共部門所属他勤労者勤労条件事例調査によれば、 整備担当の民間企業から再委託された下請け企業の職員は、 毒性物質露出、感電事故、火災事故など多様な労災に露出している。

クムファPSCの7人の登記役員は直間接的に韓電と5つの発電所の関係者だ。 チョン・ドジョン代表理事は韓国東西発電の出身で、 唐津火力本部長、東海火力発電所長、東西発電監査室長などを歴任した。 韓電と東西発電を経た役員、南東発電出身の役員が1人いて、 クムファPSCの系列会社のNSカンパニーには発電労組破壊の核心人物と言われるイ・ギルグ東西発電元社長が役員になっているなど、密接な関連を持っている。

2017年11月15日、泰安火力3号機のボイラー整備現場で機械狭窄事故で死亡した労働者は クムファPSCの下請け企業、NSカンパニーの労働者だった。 2017年11月2日には南部発電の三陟グリーンパワー1号機のボイラーで、 下請企業労働者が高さ15メートルから転落して死亡した。 この労働者もクムファPSCの下請企業の所属だった。

発電労組の関係者は「霊興火力発電所にもクムファPSCが入っいるので、 霊興火力発電所の出身者がクムファPSCの所長をしていた。 発電所の高位職が子会社や協力業者に入れば、 自分が率いていた職員に対して簡単に各種の要求をするようになり、 もみけしてくれという請託までする。 屋上屋の構造になるのだ。 そのような形で働けば、発電所の業務がめちゃくちゃになるほかはない」と批判した。

[出処:公共運輸労組]

この関係者は発電所の外注化システムについての大々的な手術を強調して 「生命と安全に関する常時持続業務については直接雇用の約束を守るべきなのに、 政府が出してくる子会社方案はこれまでの電力事業の歴史でわかるように、 政権が変わったり条件が変わればいくらでも処分可能な構造だ」と話した。

政府の高位公務員が退職後に公企業や関連機関に再就職して要職を独占する現象を 「官僚マフィア」と呼ぶ。 彼らは各種不正の輪で、不正は大事故につながり、 官僚社会に手を入れなければならないという指摘がセウォル号惨事の後から着実に提起された。 では彼らを官僚マフィアと見ることにはならないだろうか?

社会公共研究所のソン・ユナ研究員は、発電社から下請企業にきた人々を「官僚マフィア」と呼ぶのは難しいが、 明らかに「公企業の古くからの積弊」だと指摘した。 韓電や6つの発電社をはじめとする韓電の子会社は、 アウトソーシング企業に仕事の材料を集めて退職後の雇用を保存したという。

ソン研究員は 「政府の財政は企業に流れて行くが、 不道徳な経営陣によって費用が節減されれば、この金は事実上私有化される」とし 「労働者が残酷に死ぬ事故を防ぎ、 安全で安定した良い仕事を再生産するためにはアウトソーシング企業の直営化から始めなければならない」と強調した。

ソン研究員はまた 「現在の電力産業は中断された民営化の過渡期的な形態を帯びていて、 労働市場から見れば最悪の形態に歪められている」と診断した。 彼は「電力産業全般を公共的かつ親労働的な体制に再編する作業は、 結局、脱原発、脱石炭とも関係する問題で、 エネルギー転換政策まで含んで電力産業全般のシステム再構造化を実現しなければならない」と説明した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-01-17 04:46:03 / Last modified on 2019-01-17 04:46:04 Copyright: Default

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