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期間制法が改悪されればどうなるのか?

[連続寄稿]朴槿恵政権の非正規職政策批判(2)

オム・ジンニョン(全国不安定労働撤廃連帯事務局長) 2014.12.10 14:07

  1. 朴槿恵政権の非正規職政策批判
  2. 期間制法が改悪されればどうなるのか?
  3. 派遣法が改悪されればどうなるのか?
  4. 正規職が悪くなれば非正規職が良くなるか?

期間制法が作り出した出口のない非正規職労働

「再契約を絶対しないこと、それに異議を提起しないこと」という契約に印鑑を押して入社する。 そして契約期間が終われば働いた会社を辞めるのは当然のことだと考える。 「私は本来1年契約でした」、「私たちの会社は本来再契約ないんです」という労働者たちの言葉はお馴染みの事になった。 期間制法施行7年を超える期間に労働者たちの認識もまたかなり変化した。 雇用のために戦い続けることは私のことではなく、雇用が安定すればうれしいが、 私が結んだ勤労契約は初めから期間が決まっていたのだから、雇用を主張できないケースだと考える。 前が詰まっているところに入った労働者たちが希望拷問を避ける唯一の方法だ。 自ら諦めること。

これが期間制法が作り出した現実だ。 期間制法の最初の効果、それは期間制労働を基本雇用形態としての地位を固めることで 「交代使用」というシステムに期間制労働を組み込んだのだ。 期間制使用期間を2年に制限し、これを超過すれば無期契約に転換するという期間制法の構造。 これは2年経てば雇用安定になるように見えるが、期間制労働者の中で無期契約に転換される労働者は10人に1人の割合で、 働いていた所で無期契約になる割合はその半分だ。 期間制限と無期契約転換を基本構造として、例外的に期間制で使用し続ける場合を決め、 まるで労働者を保護する法律のように見えるが、 この覆いを取り払えば法形式の例外とは逆の現実を発見するようになる。 期間制として使うのが正常で、「例外的に」無期契約で転換されるということ、 ほとんどは二度と抜け出せない交代使用の罠に吸い込まれていく。 そして「交代使用」が意味するのは持続的な解雇の経験だ。

そして、これは期間制労働をまるで正規職雇用のために労働者を評価する正当な期間であるかのようにしてしまった。 仕事ができるかできないのかわからないのに、すぐ正規職として採用するのは難しいという考え、 多くのスペックを備えて入社試験に臨んでも労働の過程でまた役に立つのかどうかが評価され、その後で正式採用されるという、 企業が労働者を選ぶ経路に当然のように置かれた段階が期間制労働になった。 期間制法の二番目の効果、長期間の「試用労働」を作り出した。 労働者たちは絶えず試験台の上で評価される。 10人のうちの1人になるために。 残りの9人の労働者たちの人生は、絶えず周期的に、持続的にリセットされる。

資本の柔軟な人員活用の本質を構成する期間制労働

期間制法が無期契約転換を強制し、間接雇用で逃避する規模が大きいという。 実際に間接雇用は規制されず、派遣法が作り出した間接雇用制度化の効果と期間制の法律上の期間制限を回避する目的で持続的に拡大している。 ところが一方での無期契約転換、もう一方での間接雇用への逃避が起きれば、 期間制労働の規模は減るはずなのに、そうではない。 期間制労働は朴槿恵政権になっても減っておらず、その規模は14〜15%水準で固定している [非正規職規模と実態-統計庁、『経済活動人口調査付加調査』(2014.8)結果、2014年11月、キム・ユソン(韓国労働社会研究所専任研究委員)]。 このような統計が意味するものは、期間制雇用がそれだけ本質の労働を構成しているということだ。 無期契約転換も進められ、外注化も行われるが、その下には期間制労働の交代使用構造があって、これは企業の人員活用の主な一軸になっている。

期間制労働が資本の人員活用の最も本質を構成する雇用形態だという点は、期間制労働がすべての非正規職類型に重なって現れるという点からもよくわかるが、 期間制と時間制、間接雇用など他の非正規職類型は分離していない。 時間制労働者も期間制で採用され、間接雇用労働者も期間制で雇用される。 元請と下請の契約が2年または3年でも、その中で労働者の勤労契約期間はさらに細かく分けられる。 だから下請企業正規職、派遣会社正規職という言葉がまるで雇用をさらに保障するかのような錯覚を起こしたりもする。

また、不法派遣の直接雇用を回避する手段になったりもする。 2012年8月から不法派遣の場合、直ちに直接雇用するように派遣法の一部が改正施行された後、 製造業と大規模団体給食業者などで不法派遣が摘発されて是正措置を受けた時、 これらの資本が行ったことは直接雇用期間制で労働者を採用したり子会社を作り、 外注化することだった。 そのうち期間制で採用された労働者たちは、該当契約期間が終わった後に全員解雇された。 現代自動車の事例も同じだ。 現代自動車社内下請が不法派遣に当たるという2010年の初の大法院判決以後、今では3千人もの規模の短期契約職を交代使用する構造を備えた。 一時的に不法を是正したが、期間制法と派遣法の双方で非正規職の活用を支えている構造のもとでは、 不法の是正が労働者の権利を保障する方式では決してない。

現在議論されている期間制法の改悪内容の深刻性

ところで期間制法の規制を緩和するという。 現政権が話すいわゆる「規制の合理化」だが、まず2年の期間制限を拡大するという。 2年という期間が労働者の解雇を誘発するだけでなく、資本の人員活用にも役に立たないということだ。 さらに、働きたい労働者にもっと働ける期間を保障するという雇用労働部の釈明は、現実には空しい話でしかない。 期間制労働者のひとつの会社の勤続期間は2年ではない。 勤続期間が1年に至らない労働者たちは非正規職の半分だ。 2年という期間が非正規職労働者の雇用安定期間ではなく、資本の人員活用に柔軟性を加える要素という点は、すでに知られた事実だ。 その期間を拡大するということは、資本に労働者を解雇する余裕をさらに保障するということであり、 非正規職人員をさらに低賃金で長期的に使えるように保障するということでしかない。 そして緩和された期間と同じほどに非正規職解雇は分散して現れて、状況の深刻性は隠される。

こうした期間延長に対する労働者の反対の声があがると、これを特定の年齢帯に限って施行する方案を検討するともいう。 現在、期間制法は55歳以上の高齢者の場合、2年以上継続して期間制で使えるようにしている。 「特定の年齢帯に限り」というのは50歳以上の準高齢者で期間制限例外を拡大したり、 青年層をターゲットにしたものだったりする。 2010年、李明博政権で新設企業に対して2年を超えても期間制を使いつ付けられるようにしようとしたことを振り返れば、 さらに深刻な水準で期間制限の例外が拡張されるかもしれない。 色々な可能性を考えることができ、政策は確定しておらず発表されていないが、 政府が政策を一つずつ流して労働者の対応を試験している状況なので、 私たちもさまざまな可能性と問題点を推定してみる必要がありそうだ。

まず特定の年齢帯がどうなるとしても、該当年齢帯の労働者の労働を低評価するしくみになるが、 非正規職という雇用形態は低賃金と低い価値評価を導き、 またそうして作られた低評価はまた該当労働自体を非正規職として使ってもよいという社会的認識を形成するためだ。 例えば青年層に対して期間制労働を使い続けられるようにすれば、青年労働は当然、低賃金の非正規職だという認識が固着するだろうし、 安定した雇用への進入はますます不可能になるだろう。 また、準高齢者に拡大する場合を考えてみよう。 企業の早期退職強制と非正規職での交替の風が急激に形成されるだろう。 どんなものでも資本は常時労働力を非正規職に転換できる画期的なしくみを得ることになる。

期間制法が存在する限り、度重なる改悪、悪法廃止だけが解答だ

期間制法の改悪は、期間制限を延ばすだけで終わることもないだろう。 日本の有期契約法を例にしよう。 この内容を調べれば、韓国の期間制法がどう進められるのかを察することができる。 日本の有期契約法には休止期間の条項があるが、これは最長5年まで期間制労働を使用できるようにした基本構造に加え、 一定期間の休止期間をおけばこの期間がリセットされるようにする。 つまり、一生非正規職として働けということであり、企業にはずっと非正規職を使えるようにする規定だ。 これは常時労働の完全な非正規職での代替を意味する。 もちろん、今の韓国政府ならこれを「多様な正規職」という名前で隠そうとするだろう。 このように期間制の使用期間を延ばすことは、それだけで終わらずそれとともにさまざまな制度的な措置の変化を伴うほかはない。 そしてそれが労働者を保護するという保障はどこにもない。

政府が本当に正規職転換を強制するのなら、期間制から無期契約への「転換」という接近方式自体を変えなければならない。 期間制使用を完全に開いておいて転換する構造を強制することでは、決壊した堤防を防止できないということだ。 期間制法をいくら良くするといっても、悪法の本質は変わらないからだ。 期間制を使用できる理由そのものを制限しなければならない。 そして期間制雇用が認められる例外的な理由に該当しても、 また期間制限を追加して常雇いを代替する可能性を遮断しなければならない。 この内容は労働者権利保障のために勤労基準法に当然入れるべき内容であり、 期間制法は廃止されなければならない。

期間制労働を規制するために作ったという法が、なぜ労働者を正規職に転換する力がないのか。 理由は明白だ。 法自体が「期間制労働」を正常な雇用形態と見なしていて、政府と資本はこれを拡張し続け、安定した労働を侵害しようとしているからだ。 期間制法が存在する限り、この状態はずっと繰返されるほかはない。 98年に制定された派遣法が当時の姿を維持しているのだろうか? 2006年にかっぱらい通過した期間制法は、最初の姿を維持しているのだろうか? 違う。今でも法は改悪されてきた。 存在する限り、悪法は絶えず変態するだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-12-20 01:07:32 / Last modified on 2014-12-20 01:07:33 Copyright: Default

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