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不法労働の都市蔚山、あなたがすべきことは?

[寄稿]現代車全生産工程での不法派遣の判決の意味と課題

パク・チョムギュ(非正規職ない世の中作り) 2014.09.30 17:54

労使合意による訴訟の取り下げを理由として宣告が再び延期され、 心配されていた現代車不法派遣訴訟が開かれた9月18日の午後2時、 ソウル中央地法562号法廷。 傍聴席を埋めた記者のために法廷の外で知らせを待っていた労働者たちは 「全員勝訴」の便りを伝え聞いて涙を流した。 互いに抱き合って長い間泣いた。

2010年7月22日、 大法院は「ベルトコンベアという自動流れ方式の自動車組立・生産工程は合法請負ではなく不法派遣」と判決した。 下級裁判所の交錯した判決に終止符を打った。 不法派遣の根拠として正規職との混在工程など6つの根拠が判決文に明示された理由は、 判決対象者のチェ・ビョンスンが艤装ラインだったためだった。 2010年11月12日、ソウル高等法院は大法院の判決のとおりに牙山工場4人に対し、 現代車の勤労者だと判決した。 2年以上働いた4人のうち、エンジン工場のサブ業務も不法派遣に含まれた。 現代車全体の生産工程が不法派遣である確率が高かった。

だが中央労働委員会は、 車体、塗装、艤装工程を不法派遣、 エンジン変速機シートなどの残りの工程を合法請負と判定し、 大法院の判決の趣旨を歪曲した。 現代車の代理人であるキム&チャンは最終弁論で、 大法院が根拠で提示した正規職との混在工程など6種類の根拠を充たす人は、 訴訟を提起した1569人のうち8人しかいないと主張した。 正規職と非正規職が分離し、 ベルトコンベアが自動ではなく手動で動くので、 全州工場は全てが合法請負だという主張を展開した。 2014年9月18日と19日、ソウル中央地方法院は中労委の誤った判定を正し、 大法院とソウル高等法院の判決を根拠としして現代車の生産工程全体を不法派遣と判決した。

裁判所は、 現代車と下請企業が結んだ契約の目的は仕事の完成ではなく労働力の提供そのものであり、 下請企業が固有の技術、資本、専門的な技術、特化された業務を持っていないため、 請負ではなく勤労者派遣だと判決した。 また、業務を遂行する過程について 「原告らが遂行する業務の特性などを考慮すれば、 社内協力業者の現場管理人などが原告らに具体的な指揮・命令権を行使したとしても、 これは請負人が決めた事項を伝えるに過ぎないか、 そのような指揮・命令が請負人などにより統制されているに過ぎない」と明示した。

裁判所は、自動車会社の最初の工程である車体から車を輸出するための船積みまでの全工程が、(1)一連の作業が連続的に進められ、(2)正規職業務と密接に連動して形成され、(3)作業の結果が誰の作業なのかの区別が難しいので 「合法請負」の工程は一か所もないと判決した。 消防署の業務の核心業務である火災鎮圧が正規職の業務で、 装備の整備や消防車の運転は核心業務ではないから請負業務だと区分することができないように、 自動車工場の工程は区分できないという労働界の主張を受け入れたのだ。 裁判所は、 現代車、現代グロービス、下請企業が1、2次請負契約を締結した下請労働者も、 改正派遣法により2年未満の一時下請けも正規職と認定し、 賃金についても残業、特別勤務など、個人別に確認が難しい部分を除き、 正規職との賃金差額312億ウォンを支払うよう判決した。

すべての社内下請工程が不法派遣

「現代車すべての生産工程不法派遣認定9.18判決」が及ぼす影響は、 2010年7月22日の大法院判決よりはるかに大きい。 7月1日に発表された雇用形態公示によれば、 現代、起亜、韓国GMなど完成車5社だけで2万2千人の間接雇用(所属外勤労)労働者がいる。 清掃、食堂、警備などの業務を除いても、 1万5千人以上の社内下請労働者が今回の判決の対象と同じ業務を遂行している。 ベルトコンベア・システムで運営される 自動車、自動車部品、電機電子、機械、鉄鋼など、 ほとんどの製造業の社内下請労働者が不法派遣になる可能性が高い。 雇用公示によれば、300人以上の事業場の間接雇用労働者は87万8千人だ。 300人以下の事業場を入れると少なくとも製造業の直接生産工程で働く100万人以上の社内下請労働者に直接影響する判決だ。

9・18判決は私たちに多くの示唆点を投げかける。

同じ仕事をする生産工程の社内下請労働者は不法だから社内下請制度をなくせという要求を前面に掲げて闘争と交渉を行うべきであった。 しかし先日から労組は「組合員全員正規職」を全面に掲げた。 資本は少しも譲歩していないのに、労組は一歩一歩譲歩し、 結局、階級的要求の代わりに組合的な要求を掲げ、 組合員さえ全員正規職化できない誤った合意をするに至った。

現代車のイ・ギョンフン執行部だけの問題ではない。 民主派の連合執行部だったムン・ヨンムン支部長も 「組合員を最大に含む勤続一部認定特別採用」に合意しようとした。 生産工程の16.9%で社内下請労働者を使うことに合意したチョン・ガプトク執行部から、 不法派遣を容認したイ・ギョンフン執行部まで、 現代車正規職労組は明らかな不法労働を正すどころか、 労使合意で現代車資本に免罪符を与えた。

現代車正規職労組だけではない。 民主労総は誤った合意について、何の立場も出さず、誤った合意を正したり繰り返さないようにする何の努力もせずに沈黙した。 金属労組は数年間の中央交渉で 「生産工程および常時業務の正規職化」を要求に掲げて放棄した。 今年は金属産業の最低賃金適用対象に社内下請、派遣、用役労働者を入れる要求を掲げて実態調査をすることで合意して終わらせた。9.19判決によって正規職に転換すべき 社内下請労働者たちが、最低賃金適用の対象にさえならないのだ。

法は最低の基準だ。 労働組合は交渉と闘争で最低基準の法よりも高い水準の団体協約を締結してきた。 しかし、非正規職問題に対しては、不法を無視したり黙認を越え、 不法労働の共犯の役割を果たしてきた。 現代自動車の正規職活動家が今するべきことは痛烈な反省だ。 これ以上、不法労働の共犯にならないという宣言だ。

正規職活動家の痛烈な反省から

現代車全生産工程が不法派遣という9.18判決以後、 新規採用だけを待ち望んできた非組合員たちの労組加入の問い合わせがあふれている。 10年間、拘束、手配、解雇、暴力を覚悟して戦った結果に無賃乗車しようとする非組合員たちに対する怒りは大きくならざるをえない。 だが労組に受け入れて、先輩組合員の犠牲に報いてほしい。 正規職が非正規職を無視し、非正規職は一時下請け(嘱託契約職)を無視したが、 裁判所は社内下請、一時下請けも全員が正規職だと判決した。 「組合員だけ正規職転換」がいかに危険な要求なのかを明らかに見せた 現代車支部、牙山-全州非正規職支会の8.18合意を忘れてはならない。

9・18判決は製造業の社内下請のすべての工程が不法派遣だという判決だ。 現代車だけでなく、部品メーカーも同じだ。 雇用形態公示資料によれば、韓国フランジには235人、 トギャン産業には298人の間接雇用(所属外勤労)労働者がいる。 ほとんどが社内下請だ。 現代モービスと漢拏空調蔚山工場は、完全に非正規職工場だ。 現代重工をはじめとする造船所、化学事業場も同じだ。 製造業の社内下請は不法だという判決を現場に知らせ、 正規職訴訟を進めて労組に組織することを無視すれば、 不法労働の共犯という汚名を脱することはできない。

1990年代の初めまで、蔚山は労働運動の揺り籠だった。 しかし今の蔚山は不法労働の揺り籠だ。 すべての社内下請は不法派遣だという裁判所の判決を契機としてやり直さなければならない。 蔚山の労働組合の活動家なら、チラシを持って近い工場の前に行かなければならない。 首をたれて暮らしていく多くの社内下請労働者たちに希望を伝えなければならない。 不法労働の共犯になりたくなければ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-10-02 07:19:34 / Last modified on 2014-10-02 07:19:35 Copyright: Default

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