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北核問題は孤立と制裁では解決できない

[コラム]北朝鮮と米国は対話と協議を

ペ・ソンイン(韓神大) 2013.02.18 14:37

北朝鮮は、周辺国家の懐柔と脅迫にもかかわらず、結局、核実験を強行した。 北朝鮮は今まで何か行動を予告すれば必ず実行してきた。2006年10月の1次実験 の時は予告6日後に、2009年5月の2次実験の時は予告26日後に、そして、今回は 予告20日後の2月12日に核実験を強行した。北朝鮮と周辺国家は、三回も同じパ ターンを繰り返し、いつものようにその責任を全的に北朝鮮に押し付けている。 これに対し韓国の進歩陣営は北朝鮮の実験を糾弾しつつ、韓国政府と米国政府 の責任を強調しているが、これとは反対に保守陣営は韓国の核保有を検討しろと 強く主張している。

しかし大衆は、大げさなマスコミとは違い、静かで無関心なほどだ。それでも 彼らは冷静でも理性的でもない。彼らの多くは強く憂慮しつつも、相変らず北 朝鮮への制裁で問題を解決することが正しいと考える冷戦的思考に閉じ込めら れている。それでも米国との対話による問題解決を望む大衆がいることは幸い だ。もちろん、世代により多少の差はあるが、保守化しつつある社会の現実と 朴槿恵(パク・クネ)の当選を考えれば、冷戦的思考から抜け出そうとする大衆 の存在は若干の慰めかもしれない。特に米朝間が互いに正面から対抗する方式 が繰り返された過去の態度からの学習効果が大衆に否定的要素を増大させた。

そのため大衆は、今回の核実験の後、これまでのように国際社会の北朝鮮制裁 が加速すれば、これに対して北朝鮮がロケット発射や追加核実験などの強硬な 対応をするだろうということをすでに知っているのだ。大衆も、多くの専門家 のように北朝鮮を糾弾し、制裁を望んでいるが、一方では米国との対話による 問題解決を望んでいる。このように朝鮮半島は、巨大な転換の時代である21世 紀にも20世紀に閉じ込められ、目に見える現実だけを認識し、解決を模索して いるのだ。同じパターンによる反復学習効果は、時として問題の本質や根源を 見失い、核に対する誤った認識を持たせる。米国の核覇権よりも『悪の枢軸』 である北朝鮮の否定的なイメージと、つまらない攻防が北朝鮮をさらに嫌いに させるのだ。

これは北朝鮮の核への正しい認識が非常に必要で、国家の関係や人間の貪欲が いかに重要かをあらためて感じさせる。核は、それが武器であれ、エネルギー であれ、人類にとって途方もない災害を与える恐怖の存在だ。特に、核兵器は 反人道的な大量破壊兵器であり、人類の歴史から必ず消えなければならない。 それでも人間は帝国主義国家の覇権の前に順応し、彼らの制度の罠にかかり、 問題の解決をさらに複雑にしている。覇権に中毒すると理性が麻痺し、陰謀を たくらむので、真実は反対側にある。そのため、陰謀説の観点から見れば因果 関係や相関関係は明らかなのに、国際情勢や国家の関係は変数が多いため、誤っ た判断や誤りを犯しやすい。したがって北の核問題はどう見るかの立場と観点 により、単純でもあり、複雑でもある。

[出処:http://www.nytimes.com画面キャプチャー]

マスコミの報道によれば、今回の核実験は米国との談判と体制安定のために行 われたもので、北朝鮮の核技術がさらに一歩進んだことを確認した。また以前 よりもさらに深刻な水準で憂慮していて、今後、朝鮮半島は一寸前を見通すこ ともできない荒波に陥ると展望している。最も大きな論争は北朝鮮が報道した ように、核兵器の小型化・軽量化の成功と核原料が高濃縮ウランだったのかど うかだ。また、北の核実験によってどの国家が最大の恩恵を受けるのかも争点 だ。今回の核実験の過程でいくつかの特徴を確認することができた。

まず、多数の『いわゆる』北朝鮮専門家、韓国政府、そして国際社会は画一的 に核実験の時期と核原料に焦点を合わせた。ウランとプルトニウムの選択をめ ぐり、これまでと違うと評価する分析は一面、妥当だ。高濃縮ウランを利用し た核実験は、非核化が難しくなることを意味する。これはまさに朝鮮半島平和 体制の構築が事実上不可能になることを意味するためだ。その理由は小規模で 生産が可能な高濃縮ウラン施設は、その気になれば隠すことができ、外部から 探知することも容易ではない。これは、まさに北朝鮮の核兵器が増えることを 意味する。これは事前に因果関係があるからだ。

しかし、今回の核実験がこれまでの核実験より衝撃が大きいという理由はない。 これまでの二回の核実験で北朝鮮の核技術は確認され、今後もさらに進化する ことはわかっていた。だから北朝鮮核の小型化・軽量化の論争と高濃縮ウラン の論争は副次的であり、別の名分を積む手段でしかない。ところがこの問題を めぐる保守勢力による意図的な北朝鮮の核能力過小評価、これに対する一部の 進歩勢力の北朝鮮核実験と核能力の優越性の支持は、本当に情けない。いまだ はっきり明らかになったものはなく、双方とも大げさな反応で大衆を不安にさ せたり糊塗するべきではない。

本当にこの問題が核心であれば、米国がその時に異なる方式で北朝鮮との関係 を模索しただろう。米国が北朝鮮の核保有を憂慮するのは、東北アジア情勢を 不安定にすることに終わらず、中東に流れて国際情勢を揺さぶって核拡散防止 体制を崩壊させることだ。だが米国の究極的な目的が北朝鮮の崩壊を狙いつつ、 その過程で中国より優位を占めることだということは、よく知られた事実だ。 これは2006年の米中間の密約説(ニュースメーカー、第705号、2006.12.26.)が まだ沈まない理由でもある。

したがって今回の核実験の最大の恩恵国は米国になるだろう。北朝鮮も米国も、 相手の行動パターンを十分知っていて正確に計算しているが、北朝鮮には選択 肢が少ないため最悪のカードである核実験を選択したのだ。もちろん、北朝鮮 としては避けられない選択かもしれないが、今後の影響を考えれば糾弾される ほかはない。これに対して米国は『韓日軍事協定』の締結を韓国政府に勧め、 さらにMD体系を韓-米-日に拡大改編しようとしている。事実上、MD体系は中国 を狙うもので、これを口実に北朝鮮を『脅迫』したり懐柔するように中国を 『脅迫』するとても良い機会がやってきたのだ。これと共に米国の軍需資本が、 韓国や日本に在来式の兵器を販売する絶好の機会になっており、これほどうれ しいことはない。

二番目、今回の核実験で韓国保守勢力の軍事力強化への欲望が赤裸々にあらわ れた。今回の北核問題は、北朝鮮が2012年12月12日に発射した長距離ロケット 銀河3号で始まり、1月30日に韓国の初の宇宙発射体『羅老(ナロ)号(KSLV-1)』 の成功的な発射とも密接な関連がある。

まず羅老号発射直後の朝鮮日報の冷笑的で批判的な反応に言及せざるをえない。 ほとんどの保守言論が自画自賛一色だったのに、朝鮮日報だけは異なる反応を 見せたのは、自主的な能力ではなくロシアの技術を借りて成功したという自己 恥辱感のためだった。つまり羅老号プロジェクトはロシアとの技術協力で進め られたが、2006年に韓露技術協定のミサイル技術統制体制(MTCR)違反の議論が 提起されると、ロシア側は1段目の液体エンジンへの技術的接近を禁じる条項を 追加した。そのため1段エンジンの技術移転を受けられなくなり、半分の成功と いう懐疑論が提起された。

朝鮮日報が強調する独自の技術開発は結局、自主国防の論理と同じ脈絡だが、 材料工学・燃焼工学・制御工学など、多様な分野の集約体である宇宙技術は、 他の産業への波及効果が大きい。特に自主国防のためにはぜひ必要だ。これは 宇宙開発を名分とする長距離ミサイルや核開発の欲望を示すものではないかと いう疑惑を拭えない。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と宇宙発射体の差は紙一重で、 衛星を搭載するか核弾頭を搭載するかにより、その性格と用途が変わる。特に ICBMは、大気圏から出て、再突入して目標を正確に打撃する精巧な技術が要求 されるため、多額の費用と期間が要求される。もちろん、すぐ韓国の核開発と 核武装は現実的には不可能だが、とにかく核兵器製造の前段階として核物質を 確保するウラン濃縮と核再処理技術と施設を確保することは可能だろう。現在 の核武装論に賛成する社会の雰囲気や世論は、単なる威嚇の水準ではない。

さて、宇宙開発の重要性は自主国防と直結する問題だが、北朝鮮の『銀河3号』 との差別化ができなければ、技術開発にまい進する名分と論理が成立しない。 結局、羅老号の発射も、銀河3号の発射とどんな基準によって性格が違うのかが 争点になったのであり、これを米国側が論理的に裏付けたわけだ。これに対し 韓国の保守政権ははっきりと、北朝鮮全域を打撃できる射程800kmのミサイルの 開発を加速し、韓国型ミサイル防御体系(KAMD)も発展させる気持ちを固めたよ うだ。ともに米国の在来式兵器の購入を含み、軍事強国へと無限疾走するだろう。

参考までに、衛星の発射はGPS、ナビゲーションといった日常的な生活手段とし て必要だが、月着陸をするという遠大な夢は果たして何のためなのか分からな い。常識的に考えても、なぜ宇宙開発をしなければならないのか名分は弱く、 あまりにロマンチックに接近をする傾向がある。また開発に必要な費用もとて も浪費的で消耗的だ。羅老号開発には公式の初期開発費5000億ウォンを含み、 発射費など8000億ウォン以上の費用がかかるという。これから月まで行くなら 数十兆ウォンかかるだろう。そして月に行く理由と名分を探すこともできない。 いっそ、その金を社会福祉費用に投入したほうが良い。社会的二極化で貧富の 格差と対立が極に達した社会で、星を見ながら何の夢を見るのか。

三つ目、米朝間の深い不信と、支配的な陣営の論理が全的に北朝鮮の責任を問 う局面だ。普遍的な観点から見れば、『羅老号』と『銀河3号』は、宇宙空間に 打ち上げられた衛星発射体だ。前と違い、米国は『銀河3号』に固有番号を付与 したが、これは単に発射の成功/失敗を越え、宇宙を回る物体が人工衛星である ことを認証するものだ。歴史的に衛星の発射技術をICBM技術に発展させた例は ない。二つのロケットに対する今の評価からは厳密な客観性が排除されている。

だから米国が羅老号の発射を成功と評価し、羅老号と北朝鮮のロケット発射は 比較の対象ではないと指摘したのは意図的・政治的だ。米国務省のビクトリア・ ヌーランド報道官は「韓国の宇宙活動を北朝鮮の行動と比較する根拠(basis)は ないというのが米国の見解だ」と発表した。続いて北朝鮮は国連安保理決議で いかなる発射行為も完全に禁じられているが、韓国は責任を持って宇宙発射プ ログラムを進めてきたと評価した。韓国には軍事的な意図がない点をはっきり させているので、北朝鮮の方式とは完全に違うという。

これに対し、北朝鮮は宇宙条約に基づいて宇宙空間の利用は主権的な権利だと 主張している。だが国際社会の見解は違う。『弾道ミサイルの技術を利用した いかなる発射体も打ち上げない』国連安保理決議1718号(2006)と1847号(2009) 違反だという。北朝鮮の言葉にも一理あるが、国際社会の同意を受けていない という現実的な限界も明らかに存在する。これはもはや北朝鮮には、核兵器も 人工衛星発射体も、どちらも科学技術の領域ではなく政治的領域だという意味だ。

問題は、ここから状況が複雑になる。1月23日明け方、国連の安全保障理事会は 北朝鮮の長距離ロケット発射を糾弾・制裁する2087号決議を採択し、これに対 し北朝鮮は核実験で対応すると明言した。昨年4月と8月の二回、米朝間の秘密 交渉による相互理解が崩れ、北朝鮮が反発したのだ。伝えられたところによれ ば、米国は北朝鮮に大統領選挙期間に挑発をせず、オバマの再選以後に対話と 交渉で主要懸案を解決すると言及し、北朝鮮は米国に対して北朝鮮敵対視政策 の廃棄と平和体制樹立を約束しろと要求したという。それで北朝鮮は米大統領 選挙の期間にはロケット発射も核実験もしなかったが、『銀河3号』の発射で、 米国が国連安保理議長声明で終わらせることを望んだ北朝鮮の期待を裏切り、 北朝鮮制裁を『決議』という水準に高めて通過させたのだ。

このように国連制裁で最高の水準の「決議」が採択され、北朝鮮への制裁はさ らに拡大・強化された。国連の会員国には北朝鮮の金融機関に関するすべての 活動について監視を強化するよう要求し、公海上の疑わしい船舶に対する検査 強化の基準も用意した。またロケット組み立てに利用されるすべての民間用品 の輸出入を源泉遮断し、個人と企業の制裁対象も追加で指定した。特に今回の 決議には北朝鮮の追加挑発に「重大な措置」を取ると明示されており、北朝鮮 に強い警告メッセージを送った。もちろん対北朝鮮制裁の実効性には疑問の余 地はあるが、とにかく北朝鮮の強い反発が予想され、それが核実験につながる というのも大半の意見だった。このように、銀河3号の発射とこれに対する国連 安保理の対北朝鮮制裁決議、第三回核実験予告はこうした流れの延長線上にある。

しかし、一番重要なことは、いくら制裁を強めても北朝鮮の核ミサイル開発の 意志を完全に挫くことはできないということだ。これまで北朝鮮は、持続的な 制裁を受けてきたので、どんなに強い制裁も彼らに衝撃を与えることはできな い。だから中国がどれほど制裁に参加するかが重要だ。しかし中国の指導部は 北朝鮮の核開発に反対しても、朝鮮半島の安定の方がそれより重要という姿勢 を堅持している。習近平など中国指導部の北朝鮮政策が前より強硬になったと はいえ、北朝鮮体制を威嚇する水準には達しない。

結局、北の核と長距離ミサイルを核心とする北朝鮮核問題のジレンマは、北朝 鮮の挑発的行動を傍観することもできず、制裁で解決することもできないとい うところにある。北朝鮮も、自分たちの行動がさらなる孤立を招き、東北アジ アの不安定を加重させることを正しく認識し、慎重に行動するべきだろう。特 に韓国と日本の保守勢力に、軍事力強化の口実を提供してはいけない。どうで もいいことかもしれないが、韓国の保守政権は、南北関係を改善し、米朝関係 のテコになるように、独自のロードマップを構築しなければならない。朴槿恵 政権は、李明博政権が北朝鮮の体制崩壊や体制変化を目的として南北関係を断 絶させ、事態を悪化させたことを教訓として、北朝鮮との関係を改善しなけれ ばなるまい。さらに韓米関係を水平的かつ対等な関係で再確立し、改善された 南北関係を通じ、米朝関係改善につながるように努力を傾けなければならない。 社会運動陣営も、脱核運動を核エネルギーだけでなく、北朝鮮の核をはじめと するすべての国家の核兵器を廃棄させる国際的な運動に拡大させていかなけれ ばならないだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-02-19 01:07:53 / Last modified on 2013-02-19 01:07:54 Copyright: Default

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