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ガーデンファイブという空っぽの神話

[チェ・インギの写真の世の中](12)漂流する清渓川の露天商

チェ・インギ(貧民活動家) 2012.10.10 18:49

李明博政権の任期を数か月残し、多くの評価があふれています。貧民運動をし ている人にとって最もあきれる話は、清渓川復元と『ガーデンファイブ』をめ ぐる話です。1兆7715億をかけて作った『ガーデンファイブ』は、全店舗数総が 8360店にのぼります。ファッション、映画、電子製品などを消費できるライフ (Life)館と、原資材購入から製作販売が可能なワークス(Works)館、工具専門の 売り場が集まっているツール(Tool)館の三か所に分れています。

この規模は、江南コエックスの6.2倍、そしてロッテワールドの1.4倍もの巨大 な規模です。この他にも2015年までに活性化団地の『ガーデンファイブ・ドリーム (Dream)』と、物流団地の『ガーデンファイブ・エクスプレス(Express)』も 作られる計画です。ところがこの『ガーデンファイブ』が問題です。いったい なぜ問題なのでしょうか? そしてどこから出発しましょうか?

ここの商人で長い間闘争をしているユ・サンファ(女52歳)氏から、2012年10月 8日にソウル市と商人の間での討論会があるという知らせを聞き『ガーデンファ イブ』に行きました。地下鉄8号線のチャンジ駅で下車し、3番出口を出るとすぐ 『ガーデンファイブ』です。入口から、広場の中で昼食を終えて三々五々休息 を取っている市民の姿がとても平穏に見えました。

ライフ(Life)館、ワークス(Works)館、ツール(Tool)館をゆっくりと見ました。 ところが中に入るほど閑散としています。真昼なのにガラガラに空いていて、 ショッピング客の影は見つかりません。ライフ館、ワークス館の状況はもっと 深刻でした。ライフ館の場合、CGVが入っている映画館以外は大型ブランド店舗 がある1〜2階を除き、ほとんど門を閉めた状態です。ライフ館の中央に6000m2 規模で作られた広場のまるで巨大な宇宙船のような造形物が視線を圧倒します。 しかしなぜかその名声にふさわしくなく、虚勢と感じられるだけです。

『ガーデンファイブ』の平均テナント契約率は50%にも満たない状態です。ワー クス館、ツール館も、ここが果たして国内最大の流通団地か思うほど、ほとん どガラガラで静まり返っている感じもします。そればかりか、高い賃貸料とデ パートなどの大型店舗の営業行為で、SH公社側と商店街繁栄会の間での法廷紛争が 絶えない状態です。

『ガーデンファイブ』の問題は、思ったより深刻だという気がしました。原因 はよく知られているように、李明博前ソウル市長の時の清渓川復元工事です。 2003年7月から本格的に工事を推進します。ところがソウル市でも大規模工事を 強行しようとし、商人への対策作りが必要な状況でした。そして妙策として出 てきたのが、2009年完工目標でソウル市松坡区に地下5階、地上11階の建物3棟、 総面積が82万300m2になる流通団地の『ガーデンファイブ』に商人を移転させる 計画です。

都市開発段階で初めのボタンは、まさに利害当事者間の十分な合意と約束があっ たのかです。これに対し「私たち家族は清渓川黄鶴洞のサミルアパート21棟で、 1989年から食堂を営んできました。当時、一日売り上げが250万ウォンを上回る 商店でした。お得意さんはたくさんいました。権利金が1億8千に達しました。 2002年、ソウル市の清渓川復元事業で、移住要請に同意したのは、ソウル市が 約束した東南圏流通団地中に7坪約7000万ウォン程度の分譲権提供の約束を受け たからです」。写真の中のおばあさんは、ユ・ソンファ氏のお母さんで、アン・ ヨンヒ(女78歳)氏です。涙を浮かべながら訴えます。

保守言論はこの当時から、李明博前ソウル市長をかつぎ始めました。清渓川の 造成で営業被害を受けた周辺の商人に、大規模モールを建設して半額の水準で 特別分譲をすることに、皆が卓越した識見だというような支持を送りました。 付け加えて、こうした人が国家を経営すべきだという記事が続々と出始めたの もその頃でした。清渓川復元工事は一瀉千里で進められましたが、清渓川近隣 の商圏はばらばらになり、多くの人々は生計の方法を探しに出なければなりま せんでした。

写真の中のアン・ギュホ(男 61)氏は、『ガーデンファイブ商店街繁栄会』会長 です。「ソウル市は2007年に新しく建てる『流通団地』に入居できる商人は 6097人と発表し、同年12月『契約特殊条件』とやらを突然持ち出して、商人を 圧迫し始めました。その内容に含まれた『二重営業を禁じる。契約日から転売 制限期間をおく。そしてこれを破った場合、摘発する』などを突きつけ始めま した」と伝えます。これは清渓川商人が零細な人である事実を無視した決定で した。

これにより2008年になると、入店できる対象はソウル市の主張で4718人に減り ました。結局蓋を開けてみると、当時1350人程度しか契約を終えていないこと が調査されます。「2008年に6千から7千なら分譲が可能だといったが、約束を 破っておよそ2億という高額の分譲価格で分譲を試み、清渓川の商人たちは結局 『ガーデンファイブ』を諦め始めました」。

また一日の平均収益が5万ウォンにもならない小店舗の商人のテナントに坪当た りの賃貸料は20万ウォン水準、5坪でも1か月で管理費を含み100万ウォン以上を 払わなければならないという、とんでもない水準になりました。全てが当時の 李明博ソウル市長の業績目的で進められていることが問題でした。周辺の零細 商人のような利害当事者の経済的・物的な補償がきちんと行われず、急いで 復元事業を貫徹したことが最大の原因でした。

今、契約終了による資格喪失で、多くの商人は抜き差しならぬ状況に置かれる ことになりました。一方、入店契約率が低調になり、あわてたソウル市は流通 団地の30%について、ソウル市のSH公社が持分を持ったり一般企業に分譲しまし た。こうした渦中で、実績中心の分譲率を上げるために他店舗優先分譲を実施 し、特典分譲の疑惑が果てしなく出てきている実情です。

こうした状態で、蚕室のロッテデパートとコエックスという大型商圏がすでに 存在しています。商圏が過飽和の状態で、消費者を引き込むほどの特別な要因 がないのも大きな問題です。この他にも、流動人口が多い割に商圏に直接的な 影響を与える常住人口が少ないこともひとつの原因です。そんなわけですから、 天文学的な血税を注いで鬼の棲家を誕生させたという指摘が流れ出るのです。

本来この文を準備する前に、清渓川について話そうとしました。なぜなら『ガー デンファイブ』は、当初清渓川復元のための商人の移住目的で作られたためです。 ところが目的が利益獲得と持てる者の祭りに転落した時、祭りの場には決して なれないことを赤裸々に示す所がまさに『ガーデンファイブ』です。

清渓川復元工事を進めた李明博前ソウル市長は、マスコミを通じ、一つの神話 になりました。そして大韓民国大統領になり、今任期がいくらも残っていませ ん。しかし清渓川約15万坪の周辺住民と6万5千の商店街20万余の商人はどうなっ たのか、誰も知りません。ただ確認されるのは、一部の露天商が崇仁洞と東廟 の近くに押し出され、商売の命脈を続けていることと、一部の商人は表面的に はピカピカですが内容がない『ガーデンファイブ』に閉じ込められて、どうす ることもできずに漂流するだけです。神話の中の虚構は多くの人々の目を通じ、 一つ二つと明らかになっています。それは『ガーデンファイブ』だけでしょうか? 次は清渓川に行ってみます。

参照
2007年11月12日ソウル市主要業務報告で(ソウル特別市均衡発展推進本部)
李明博、清渓川は未来で流れる(レンドマウス)
李明博、神話はない(キムヨンサ)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-10-11 20:14:23 / Last modified on 2012-10-11 20:14:24 Copyright: Default

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