お笑いで世界を変えたい!〜「テレビから消えた芸人」村本大輔の挑戦 | |||||||
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松原 明 痛快な社会風刺で笑わせてくれるコメディアンが、テレビから次々といなくなった。「テレビで会えない芸人」松元ヒロ、そして「テレビから消えた芸人」村本大輔(写真下)だ。現在、松元ヒロは「憲法くん」を引っさげて、全国公演をつづけ人気を博しているが、ウーマンラッシュアワーの村本大輔はどうしているのだろう。
そんな折に、ドキュメンタリー映画『アイアム・ア・コメディアン』(日向史有監督)に出会った。映画は、7月6日の渋谷ユーロスペースを皮切りに全国の劇場公開が広がっているが、私は8月2日に「シネマート新宿」で観た。見終わって、思わずうなった。面白い、すばらしい、感動した! 『アイアム・ア・コメディアン』は、ことし私のベストワンになりそうだ。 村本大輔は、2013年のNHK漫才コンクールで「ウーマンラッシュアワー」として優勝してブレークしたコメディアン。一時期は、毎年250本のテレビに出ていた村本は、「大麻」のことをSNSに書いただけで、番組降ろしがはじまり、遂に1年に1本しかテレビに出られなくなってしまった。 安倍政権時代のテレビ業界は「忖度・萎縮・自主規制」が蔓延していたが、「米軍基地・原発・差別・安倍批判」を鋭く語る村本が目障りで仕方なかったのだろう。 テレビ局との電話のやりとりも紹介されているが、理不尽に排除される村本大輔。かれの苦しみと悲しみと怒りが、このドキュメンタリー映像に溢れていて、観る人に自分事のように迫ってくる。それは、徹底した密着取材とBGM・ナレーションを排した制作手法によるものだろう。 テレビから消されても、かれは潰れることはなかった。原発だらけの福井県出身の村本が、テレビで原発批判をすると地元の反発は大きかった。家族も肩身が狭い。たまに地元に帰ると父親と酒を飲んでは議論した。 父親に「お笑いでは何もできない。社会を変えたいなら政治家になればいい」と言われた村本は、「お笑いこそが世界で一番すごい仕事」「世界的コメディアンになる」と負けていない。ケンカをしながらも思いあう家族愛は、この映画のもうひとつのテーマだ。 村本は、次の舞台をニューヨークに求めライブハウスで、「スタンダップコメディ」に挑戦することになった。まったく英語ができなかった43歳が、猛勉強と英語丸暗記でトークショーをやっている。チャットGPTも活用している。こうしたニューヨークでの武者修行が面白い。 現地で交流するアメリカ・中国・韓国人のエピソードから、世界からみた日本人のおかしさが浮かび上がる。「コメディアンが政治を語らない」「都合の悪い歴史はないことにする」日本の姿に外国人は驚き呆れていた。 また映画は日本国内や韓国ツアーに密着し、沖縄・大阪鶴橋・福島・ソウルなどの人々との触れあいや「独演会」を見せる。いくつもの面白いネタが披露される。超早口で面白い話をしながら引きつけて、最後の落ちでグサッと風刺するのが村本の持ち味だ。その風刺は政治や権力者に向けられるだけでなく、私たち一人ひとりの胸に突き刺さる。それは「在日・障害者」への見えない差別意識だったりする。 だれにも忖度せずに本音で迫るのが、村本コントの魅力で、加害者にも被害者にも容赦ない。だから部外者はいない。「笑っているうちに最後にドカンとくる」、この感覚を、ぜひ多くの人に味わってほしい。 映画の冒頭シーンに、英語のタイトル「IAMACOMEDIAN」が出てくるが、「IAMMEDIA」が白抜きになっていた。「アイアム・ア・コメディアン」から「アイアム・メディア」が浮き上がる。あ、そうなんだ。村本大輔はたんなる「コメディアン」ではなく世界を変える「メディア」を目指しているのだ。 *2022年製作/108分/日本・韓国合作 配給:SPACE SHOWER FILMS Created by staff01. Last modified on 2024-08-05 10:04:32 Copyright: Default |