渡部通信（6/5） : 最近危ないと思うこと（戦前回帰とLGBTのこと）その１

渡部通信（6/5） : 明けない夜はない（198)＜最近危ないと思うこと（戦前回帰とLGBTの
こと）その１＞
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最近、大分市内の中学校で昼食中、生徒が校内放送で国歌「君が代」を流したところ、教
員が「ふさわしくない」と指導し、生徒が体調不良に陥ったと報じられた。これに対して
、いろいろな意見が出ているようだ。しかし本質的な問題が語られていないと思う。

「君が代」は戦前からの歌で、天皇主権の歌である。また。戦前戦争のシンボルともなっ
た歌である。戦後多くの教師たちは、天皇絶対主義の下で教え子を無謀な戦場に送る手助
けをしたという痛苦の反省から、「教え子を再び戦場に送るな！」というスローガンを掲
げ、「日の丸・君が代」の強制に反対し、「平和教育」をやってきた。

しかし自民党政府は戦後一貫して学校現場に「日の丸・君が代」を持ちこむことに力を入
れ、1999年には「日の丸・君が代」を法制化し、2006
年には戦後民主教育の指針となった「教育基本法」を改悪し＜愛国心＞を導入した。その
後＜道徳＞（戦前の＜修身＞）を教科化（2018
年度から小学校で実施）し、民主教育を破壊、イデオロギー的には戦前回帰の教育になっ
てきた。

そうしたなかで、「君が代」は現在、歌詞の意味も歴史的に果たしてきた役割も、生徒た
ちには教えられないまま、歌わせられているのが実態である。

こうした動きと並行して、この間、2014年には集団的自衛権の容認、2015年には「戦争法
」、2017
年には「共謀罪」（戦前の「治安維持法」の現代版」）などが次々と強行されてきた。昨
年（2022年）2
月ロシアのウクライナ侵攻が起きると、岸田政権はそれを理由に12
月には戦後防衛政策の大転換として、大軍拡と戦争準備のための防衛関連三文書を閣議だ
けで決定した。そしてさかんに中国・ロシア・北朝鮮の脅威を煽り、「平和憲法」さえ変
えようとしている。しかも、いわゆる「野党」の多くもそれに同調し、まるで戦前のよう
な「大政翼賛政治」が行われつつある。まさに「戦前回帰」である。

こうした風潮に一番影響を受けるのが子どもたちである。今回の大分での問題はこうした
背景の中で起きてきたものである。生徒はいいことをしたとおもったのかもしれないし、
それを止めた教員たちは「君が代」の意味やその果たしてきた歴史的役割を知り、再び犠
牲になるのは生徒たちだとおもったから止めたのかもしれない。だから、もし誰かに責任
があるとしたら、「日の丸・君が代」を強制し、教員たちに意味も教えさせずに学校現場
に強制してきた為政者たちにあると言える。しかし、そうしたことはほとんど語られず、
一方的に教員たちが攻められる風潮が強められそうになっている。これは、大変危険なこ
とだと思う。

戦前、少国民として育てられ軍国少女になった北村小夜さん（1925年生まれ）は、『戦争
は教室から始まる』（2008
年）という本の中で、当時の自分の経験を次のように語っている・

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1941年の12月8
日には米英両国に戦線布告し太平洋戦争が始まりました。どこからか依頼があったのでし
ょう、ある日美術の教師に「鬼畜米英撃滅」のポスターを描いてくるようにと立派な用紙
を渡されました。・・・用紙の上半分に憎い憎いチャーチルとルーズベルトの似顔を大き
く描き、体を小さく描いて肉挽き器に入れました。そして下から血肉が滴り落ちるところ
を丁寧に描きました。我ながらいいアイデアで旨く描けたと満足して明日を待ちました。
学校に着くや教員室の前で教師が来るのを待ちました。教師について教員室に入り、渡し
て褒め言葉を待ったのですが、広げて一瞥すると彼は黙ってもとのように巻いて返してよ
こすのです。よく見てほしいともう一度彼のほうに押したのですが、もう彼は私の顔も見
ませんでした。いま考えると、彼は、自分の意に染まないことには最小限の協力しかしな
いことで、自分に忠実に生きた人であったと思います。それでも、教師であるだけで、十
分国家に忠実であることを思い知ったのだと思います。

この時、せめて一言「これは人道に反する」とでも言ってくれれば、その後の私の生き方
は変わっていたかもしれませんが、
*“大人は駄目かも・・私たちが頑張らなければ”*と思ったものです。

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この最後のアンダーライン部分は、特に2000
年以降に小学校に入学し、「日の丸・君が代」について何も教えられず育ってきた青少年
たちにも当てはまる感情になるかもしれない。

ところで最近、旭日旗（戦前の軍艦旗）を掲げた護衛艦が韓国の釜山に入港した。日本は
かつて朝鮮を植民地にし、朝鮮の人々に大きな犠牲を強いた。その歴史を顧みるなら、あ
ってはならないことである。昨年の
W杯サッカー競技ではファンが持ち込んだ旭日旗は撤去されている。にもかかわらずであ
る。これも象徴的な「戦前回帰」である。

歴史的大事件は二度繰り返すようだ。しかし一度目は悲劇だが、二度目は喜劇である。な
ぜなら、そのやり口がすでに歴史的に暴かれているからである。

私たちは、こうした「戦前回帰」の危険な動きをどんどん暴露し、批判していく必要があ
るだろう。

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取組紹介

①「10・23通達から20年

教育現場の実態と悩みを聞き交流する」会

日時：2023年6月18日（日）13時開場

場所：高円寺中央会議室（チラシに地図あり）

発言：宮沢弘道さん（多摩島しょ教組委員長）、現場教職員など

連絡先：０９０－５４１５－９１９４

資料代：500円

主催：都教委包囲首都圏ネット

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②全国から集う！全国で闘う！

第13回「日の丸・君が代」問題等

全国学習・交流集会

～「新たな戦前」に向う教育の国家支配はゴメンだ！～

日時：2023年7月23日（日）10：30～17：00（開場10：10）

場所：日比谷図書文化館・コンベンションホール（地下階）

講演：児美川孝一郎さん（法政大学教授）

演題：『公教育の転覆をはかる教育DX

ーー市場化、デジタル監視、新たな戦前ーー』

主催：実行委員会（０９０－３５４３－８７４３（根津））

資料代：500円

ユーチューブ配信あり（添付参照）

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「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
    http://houinet.blogspot.jp/
千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
       http://hinokimitcb.web.fc2.com/
「ひのきみ全国ネット」のウェブサイト
       http://hinokimi.web.fc2.com/