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生きざまに惹きつけられ涙止まらず〜ドキュメンタリー映画『金福童』

尾澤邦子

 1月21日午後6時半、会場の東京中野ZERO小ホールは長蛇の列。開始時間の午後7時には会場はほぼ満席だった。日本軍「慰安婦」問題に長く取り組んでこられた方々や、懐かしい人たちにも会えた。若い女性たちが参加していたのもうれしかった。2019年に制作されたが、コロナ事情等で日本での上映は今回が初。順次全国で上映される予定。

 金福童(キムボクトン)さんの生きざまに惹きつけられ、涙が止まらなかった。

 2015年の「日韓合意」。安倍元首相のもと、岸田元外相が韓国の外相と会談し、被害者を無視して「最終的、不可逆的解決」として、日本軍「慰安婦」問題を終わらせようとした。日本政府は10億円を拠出し、「平和の少女像」の撤去を韓国政府に求めた。

 金福童さんは90歳を超え、結腸癌の手術をしたところだった。抗がん剤の治療を受けながら、「被害者が声を上げなければ」と、病床から起き上がる。「被害者の声を聞け」「お金はいらない。日本政府は謝罪せよ」と、雨の中、傘をさして座り込んだ。

 安倍元首相や、橋下元大阪市長の「(少女を)強制連行した事実はなかった」という事実と違うことを公言されたことに対し、金福童さんは日本に来て「ここに証人がいる」と面会を求めた。歴史を捻じ曲げる卑怯者たちは、被害者を無視し続けている。

 癌と闘いながらの金福童さんの活動は、本当にすごいと思った。アメリカやドイツの「少女像」建立に立ち合い、水曜デモで若者たちに元気を与えた。「ナビ(蝶々)基金」で戦場下、性被害にあった女性たちを支援し、日本の朝鮮学校の学生たちに「金福童の希望」と、奨学金を贈った。

 敬意を表したい。また、金福童さんを支えてきた周囲の方々にも拍手したい。

 福童さんは、日本政府が加害の事実を認め、謝ってくれれば許すと言っていた。そこまで譲歩しているのに、日本政府は事実を覆い隠そうとやっきになっている。恥ずかしくないのか。「少女像」の建立に対し、ドイツやオーストラリアやアフリカまで行って、妨害していることを、恥ずかしく思わないのか。

 上映後、韓国から来日したソン・ウォングン監督と、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動のヤン・チンジャ共同代表、夏衣麻彩子映画監督、仁藤夢乃さんのトークがあった。

 ご高齢で、生存されている被害者の方も少なくなり、直接お話をうかがう機会がなくなりましたが、映画等を通して、事実を知り、日本政府に対して、謝罪を求めていけたらと思います。


Created by staff01. Last modified on 2023-01-22 18:36:57 Copyright: Default

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