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●米国にとっての安倍国葬

 吉原 真次

 安倍晋三元首相の目的は国内的には安倍派と安倍の同調者の支持を確保すること、国際的には安倍が推し進めてきた日米同盟の強化=米国の下僕化の継続と深化を世界に表明することにある。    安倍が射殺された二日後の7月10日、バンコク訪問中のブリンケン米国務長官は予定を変更して弔問の為に来日することを発表し翌日には岸田文夫首相と首相官邸で会談した。さらに13日には米上院で追悼決議案が提出され20日に決議された。

 決議案は、2015年4月29日の米上下両院合同会議での演説で第二次大戦メモリアルを訪れ「深い悔悛」を胸に祈りを捧げたと述べた安倍を礼賛し、安倍の死を米国と日本が今後数十年にわたり協力して世界の自由と繁栄、安全保障を促進し権威主義と独裁に反対していく為の偉大な友人、同盟者を失ったと言っている。権威主義と独裁とは中国とロシアを指すもので、米国は決議案で中国やアジアの戦死者に「悔悛」を拒む安倍が自国の戦死者だけに「深い悔悛」を表明し、インド太平洋地域での米国の下僕化を深化させた安倍を評価することで岸田政権に安倍路線の継続を求める意思を示すものだ。

 ロシアのウクライナ侵攻によりNATO(北大西洋条約機構)内慎重派のドイツやフランスは対応を変えざるを得なかったが、日本は積極的にNATOの事実上の一員化を推し進めている。3月24日に岸田首相がブリュッセルでストルテンベルグNATO事務総長と会談して互いの連携を確認したのを皮切りに4月7日には林外務大臣が日本の外相として初めてNATO外相会議に参加。5月19日に山崎統合幕僚長がNATO参謀会議に初めて参加し、6月7日にはバウワーNATO軍事委員長が来日して岸防衛大臣と統合幕僚長と会談した。その仕上げが6月29日にマドリードで開かれたNATO首脳会談への岸田首相の初参加で、パートナー国の韓国、オーストラリアとニュージーランドと共にNATOの東アジア・太平洋支部の役割を担う意思を示した。

 問題なのは、それら一連の動きに対し国会での論争はおろか日本国内での目立った反対運動さえ見当たらないことだ。私には今の日本がマイダン革命後に今までの中立路線を放棄してNATO加盟を目指し、米英の軍事援助と軍事訓練を受け入れNATOと軍事演習をした結果としてロシアの軍事侵攻を招いたウクライナと二重写しに見えてならない。

 安倍国葬は日米同盟の深化=一層の下僕化だけでなく事実上のNATOの一員化を世界に表明するものと私は思う。                (9月23日)


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